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14話「どすこいっ!紙相撲部!②」
しおりを挟むなんでも探偵部の部室。四人の前で、ヴェネツィアンマスクを着けた女の子ーーー怪盗2が正座させられている。瞳は潤んでおり、半泣き状態である。
花ノ山「怪盗2、どうしておいどんのどすこいを盗んだのでごわす!?」
関「怪盗2じゃなくて、青海 七海ちゃんだよ。」
間宮「おい、やめてやれ。」
花ノ山「答えるでごわす! 怪盗2!!」
張間「青海 七海さんだよ。」
間宮「やめてあげてって。」
関「どすこいを盗んだ罪は...!」
張間「重いでごわす!」
間宮「だから、どすこいってなんだよ? お前らをそうさせるどすこいってなんなんだよ?」
花ノ山「怪盗2、お前は一体何者でごわすか!?」
関「え? あれだけ答えを目の前にぶら下げてあげたのに、まだ気付いてないの?」
張間「この人は、青海 七海さんだよぉぉぉ!!」
間宮「もうやめてあげてってば! 顔真っ赤っかだよ! 怪盗2って呼んであげようよ!!」
関「怪盗2(青海 七海)! どうしてどすこいを盗んだ!? 答えなさい!!」
間宮「かっこで正体をバラすな。ってか、どすこいってなんだよ?」
張間「青海・怪盗・七海! どすこいはどこだ!?」
間宮「怪盗を名前で挟むな! ってか、どすこいってなに!? いい加減教えてよ!!」
怪盗2「う、うるさーーい! 貴様ら、私を怒らせるようなことをしていていいのか!? どすこいは今、私がもっているんだぞ!?」
張間「あなたが持ってることは、もうわかってんだよ!!」
関「早く返せって言ってるんですよ!!」
間宮「お前ら、今日厳しいな!? そんなにどすこいって大切なものなの!?」
怪盗2「返して欲しかったら、今度の日曜日の春場所で私に勝つんだな! はっはっはっは!!」
怪盗2はスッと立ち上がり、マントを翻し颯爽と扉へ駆けていく。
怪盗2「おぶしっ!?」
扉の手前でマントの裾を踏みバランスを崩すと、勢いそのまま前のめりに倒れていく。
間宮「......。」
花ノ山「......。」
関「ふっ。」
張間「ダッサ。」
怪盗2「ちくしょぉぉ!! 覚えてろよ! 特に、そこの二人!!」
顔を真っ赤に染めながら、鼻で笑った二人を睨みつけ、怪盗2は部室を去っていく。
花ノ山「あっ!? に、逃げたでごわす!」
張間「追いかけますか、部長?」
関「これ以上刺激すれば、どすこいがどうなるかわからない。その場で待機だ。」
張間「はっ! 承知!」
花ノ山「でも、追いかけないとどすこいが...!」
関「返してほしかったら春場所にこい。と、彼女は言っていたでしょう? どすこいを取り戻したいのなら、春場所に行くしかありません。」
花ノ山「春場所...。」
張間「花ノ山さん、諦めないで! あなたなら、きっとどすこいを取り戻せるわ! 自信を持って!!」
花ノ山「ご、ごわす! おいどん、頑張るでごわす!!」
間宮「ねぇ、お願い! そろそろ、どすこいについて説明して!!」
関「もぉ、傑くんはうるさいんだから~。これのことですよ、これ。」
関はポケットの中から一枚の紙を取り出し、机に立てかける。紙は軽く山折りに折られて、くの字に曲がっており、外側にはデフォルメされたお相撲さんのイラストが描かれている。
間宮「...なんですか、これ? 紙でできたお相撲さん?」
張間「どすこいです。」
間宮「これ、紙相撲で使う...なんていうんだ? 駒?」
関「どすこいですよ。」
間宮「花ノ山さんって、何部に入ってるの?」
花ノ山「おいどんは、紙相撲部でごわす。」
間宮「紙相撲部?」
花ノ山「紙相撲部でごわす。」
間宮「相撲部じゃなくて?」
花ノ山「紙相撲部でごわす。」
間宮「紙相撲って、机トントンするやつ?」
花ノ山「トントンするやつでごわす。」
間宮「どすこいって、これであってる?」
花ノ山「そうでごわす。紙相撲で自分の代わりに戦ってくれる、おいどんたちの分身...それが、どすこいでごわす。」
間宮「どすこいが盗まれたって、紙でできた紙相撲に使うお相撲さんが盗まれたってことでOK?」
花ノ山「OKでごわす。」
間宮「そうですか。」
花ノ山「そうでごわす。 」
間宮「新しいの作れやぁぁぁぁ!!」
花ノ山「ごわすぅぅぅ!?!?」
間宮「アホ二人が真剣だからなにかと思ったら、紙ぃぃぃ!? 僕は紙切れ一枚に声を張り続けてツッコミしてたのか!? 仕事量と報酬が割に合わないだろうが、おい!!」
張間「ま、間宮先輩! 落ち着いてください!」
関「春場所で勝てば全て収まるから! とりあえず、春場所に行きましょう!! ね!?」
間宮「春場所ってなんだよ!? つーか、日曜って言ってたよね!? なんで休みの日までお前らに付き合わなきゃいけないんだよ!? 今日で一週間分の仕事したわ! ツッコミ疲れたわ!! 絶対いきません!!」
関「二年Cクラスのぉ?」
間宮「何時集合ですか?」
張間「手のひらを返すスピードがチーター並みですね。」
関「さぁ、これで役者は揃いましたね。では、行こうではないか...いざ、春場所へ!!」
張間「おぉー!!」
間宮「ちなみに、春場所ってなんですか?」
花ノ山「紙相撲の大会でごわす。」
間宮「あぁ、なるほど。うん、わかった。」
間宮(M)こうして僕らは、花ノ山さんのどすこいを取り戻すべく、春場所へと向かった。
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