なんでも探偵部!

きとまるまる

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15話「どすこいっ!紙相撲部!③」

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 日曜日、とある市民体育館。紙相撲大会の会場となっている体育館の駐車場には、沢山の屋台が出店しており、大会というよりはお祭りのような雰囲気に包まれている。


張間「部長、間宮先輩、見てくださいよ! すごい盛り上がりですよ!!」

関「試合が始まる前から、熱くなっちゃいますね~!」

間宮「ここ、大会の会場だよね? 祭りの会場じゃないよね? あっちに神輿みこし担いでる人たちいるけど、みんなお祭りと勘違いしてない? あってるの?」

花ノ山「紙相撲の大会は、毎回こんな感じの盛り上がりでごわすよ。」

間宮「紙相撲って、そんなに盛り上がるものなのか...?」

張間「あっ、部長! 見てください!」

オヤジ「ちゃんこ鍋だよ~! 美味しい美味しい、ちゃんこ鍋だよ~~! ちゃんこ鍋はいかが~!」

関「ふむ、美味しそうなちゃんこ鍋ですね。オヤジ、一鍋ひとなべ。君たちは?」

張間「私も一鍋!」

花ノ山「おいどんは三鍋ください。」

間宮「一鍋って、お前ら鍋持ちながら歩くの!? 持ち運び不便すぎるだろ! りんご飴感覚で買わないで!!」

 「よぉ、花ノ山じゃねぇか! 久しぶりだなぁ!」

花ノ山「ごわす?」


 花ノ山の背後から、筋骨隆々の白タンクトップの男が、胸を張り堂々とゆっくり歩いてくる。


花ノ山「り、陸山女 育四郎りくやまめ いくしろう!? お前も来ていたのでごわすか!?」

陸山女「あったりめぇだろ? 俺は、お前を倒すために毎日毎日鍛えてんだ。今日は負けねぇからな?」

間宮「この人も紙相撲大会参加者なの? 腕パンパンなんだけど。筋肉すごいんだけど。腕相撲大会と間違えてない?」

怪盗2「はーはっはっはー!!」

花ノ山「はっ!? こ、この声は...!?」


 またも花ノ山は背後を振り返る。数メートル離れた先に、怪盗2が腕を組み堂々とした態度で花ノ山たちを見つめている。


怪盗2「逃げずにちゃんと来たようだな、花ノ山!」

関「張間くん、今の登場はどうでした?」

張間「私なら「逃げずに来たようだな!」って言って、「ちゃんこってなんだよ!? ちゃんとだろ! 脳内までちゃんこにおかされたか!?」っていう間宮先輩のツッコミを待ちますね。」

関「素晴らしい! 百点満点の解答ですね! それに比べて向こうの怪盗は...やれやれですね。」

張間「怪盗なんですから、もう少ししっかりとした解答をしてほしいですよね~。」

怪盗2「う、うるさーーい!! と、とにかく、私に勝てばお前のどすこいは返してやる! 決勝まで負けるんじゃないぞ! じゃあな!!」

花ノ山「ま、待つでごわす!」

陸山女「負けられねぇ戦いが始まるな。」

間宮「今更なんだけど、あの人はなんで花ノ山さんのどすこい盗んだの?」

張間「あっ、部長! トーナメント表見てください! 本当に決勝行かないと戦えませんよ!」

関「本当だ、漫画みたいなこともあるもんですね。頑張ってくださいね、花ノ山くん。」

花ノ山「ごわす!!」

間宮「そんな偶然あるんだな。えっと、花ノ山さんの初戦の相手は...。」


 間宮は、入り口に張り出されたトーナメント表を見つめる。花ノ山 川角の名の下には、張間 彩香と見覚えのある名前が書かれている。


間宮「...は?」

張間「おっ、私ですね!」

間宮「なんでお前参加してんだよ!?」

関「傑くんもエントリーしておきましたよ。頑張りましょうね。」

間宮「なに勝手なことしてんの!? あぁ、本当だ! 名前あるし!!」

花ノ山「全力でぶつかるでごわすよ!」

張間「望むところよ、かかって来なさい。」

間宮「張間さん! あんたが勝ったら、花ノ山さんのどすこい戻ってこないからね!? わかってる!?」

関「さてさて、私たちもそろそろ会場入りしましょうか。」

張間「はい!」

花ノ山「ごわす!」

陸山女「やってやるぜ!」

関「必ずや、花ノ山くんのどすこいを取り戻すぞぉぉ!!」

張間・花ノ山・陸山女「おぉぉぉ!!」

間宮「さっきから一人、関係ない奴が溶け込んでるぞ、おい!!!」
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