なんでも探偵部!

きとまるまる

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188話「幽霊なんているわけないじゃないですか!科学的に考えて...って言ってる奴の後ろに幽霊はいる⑥」

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 花ノ山を佐伯に任せた三人は、次の不思議の舞台である家庭科室前へと歩みを進めている。


張間「で、次が家庭科室で夜な夜な何かを作る魔女ですか。」

間宮「これも、よくある不思議ですね。」

関「次は、誰がいるんでしょうね~?」

間宮「もう、幽霊がとか言わないんですね。」

関「ここまでくると、さすがに...ねぇ?」

間宮「まぁ、言いたいことはわかります。」

張間「油断はいけませんよ、部長、間宮先輩! まだ七不思議の三つを解明しただけ! まだ半分以上残ってます! おそらく、この中に本物の幽霊話が紛れ込んでいるに違いありませんよ!」

関「は、張間二等兵の言う通りだ...! 油断してはいけない! 最後まで気を抜かずに、七不思議の謎を全て解明してみせる!」

間宮「そんなこと言ってると、本当にあり得そうだからやめてよ...。」

張間「では、四つ目の謎...家庭科室の魔女の正体を暴きましょう...!」

間宮「幽霊とかじゃありませんように...。」


 三人は、家庭科室の扉を少し開け、中の様子を確認する。グツグツと煮える鍋の前に立つ、怪しげな人影ーーー


張間「あ、あれは...!!」


 黒いローブを着て、煮えたぎる鍋をジッと見つめる少女ーーー紙相撲部のトラブルメーカーである津々浦 紅葉が、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら鍋の中をかき回している。


津々浦「ふふふ...うふふふ...! もう少しで...もう少しで完成する...! この薬が完成すれば、私は強大な力を得ることができる...! これを飲めば、私は最強になれる...そう、最強に...! そうなれば、もう誰にも負けることはない...花ノ山さんにも、菊さんにもね...!」

津々浦「もう、負けたくない...あんな思いはしたくはない...! 私は、強くなる...誰にも負けないくらい、強く...! 強くなり、勝ち...勝って勝って勝って勝って...! 私が、紙相撲界の王となるのだ!! わっはっはっはっは!! あーっはっはっはっは!!」

関「おやおや、また禁忌に手を出そうとしてますよ、あの子。」

張間「花ノ山さんは、ちゃんと努力してるのに...。しっかりちゃんと、花ノ山さんに教育してもらわないとですね。」

間宮「というか、なんでどいつもこいつも家で出来ることを学校でしてるんだよ...?」

関「理由は、さておき...注意しましょうか。」

張間「...間宮先輩、注意してきてください。」

間宮「えぇ...。張間さん、一緒の学年なんだし、張間さんが行った方がいいんじゃない?」

張間「そんなことないです。それに、あの子と関わると、いつもいつもとんでもないことになるので、なるべく関わりたくないです。」

間宮「はっきり言ってやるな。」

関「じき、かなねぇが来ますから。注意は教師であるかなねぇにお任せしましょう。私たちは、かなねぇが来るまで待機で。」

間宮・張間「はーい。」


間宮(M)こんな感じで、僕らの巡回という名の七不思議ツアーは、くだらないオチで次々と終わっていった。

関(M)五つ目「グラウンドに現れる、巨大なミステリーサークル!」


 グラウンドでは、UFO研究部の宇宙 人男うちゅう じんおと、その仲間たちが、白い石灰でラインを引いている。


宇宙「さぁ、今日こそUFOを呼び出しますよ!! UFO、最高! UFO、素敵! UFOには、夢と希望が詰まっているでござんす!」

仲間A「人男さん! ラインが少しズレている気がします!」

宇宙「な、なんですと!? 少しでもズレれば、この文字は別の意味となってしまうでござんすよ! 確認してくだされ!」

仲間B「う、上から見下ろす形でないと、ズレてるかどうかわかりません!」

宇宙「えぇい、そうなれば...肩車でござんす! さぁ、私の肩に乗るでござんす!」

仲間たち「はい!」

張間「...あれは、なんですか?」

間宮「あんま見ない方がいいと思うよ...。」

関「でも、青春してるって感じしませんか? 仲間たちと協力して、何かを成し遂げようとする...私は、いいと思いますけどね。」

張間「まぁ、楽しそうにやってますからね。」

間宮「あぁいうのも、青春なんですね...。」

宇宙「ど、どうだ...君たちぃぃ...!?」

仲間A「ゆ、揺れないでください、人男さん! 揺れると視界も揺れて、全部歪んで見えます!」

宇宙「そ、そんなこと言われても...! ぬ、ぬぐぅぅおぉぉぉ...!」

仲間B「あ、あぁぁぁぁ!? く、崩れる...うわぁぁぁ!?」

宇宙「あぁぁぁぁ!? せっかく引いた線が、めちゃくちゃでござんすぅぅぅぅ!!」

佐伯「...とりあえず、注意してきます...。」

三人「いってらっしゃ~い。」


関(M)六つ目「人を殺し、高々と笑う極悪の姫君!」


 生徒会室は明かりがついており、中では一年生の生徒会会計補佐である卯ノ森 沙月が、会長の席に座り気分良さそうにパタパタと扇子で仰いでいる。


卯ノ森「うふふ...! やはり、会長の席は気分がいいですわ...! ゆくゆくは、私も必ずやこの席に...! そして、この学校の会長として、全てを支配するのよ! おーっほっほっ!」

卯ノ森「うふふふ~! やっぱり、私ともあろう人が、会計だなんて小さい器に収まるわけがありません! ここからの眺めも、素晴らしいし...! 私には、ここが一番ですわ!」

張間「あ、あの子は、何してるんですか...?」

間宮「見て、そのまんまでしょ...。」

関「普段は座れませんからね、あそこには。あぁしてまでも座りたいってことですよ。」

張間「さすが自分中心女ですね...。」

卯ノ森「じぃ! この席に座る美しい私を写真に収めなさい! この写真、家に飾るわよ!」

卯ノ森「...あれ? じぃ? あ、あれ...? ちょっと、じぃ!? じぃってば! ど、どこに行ったの!? ねぇ! こんな夜中の学校に、一人にしないでよ! じぃってばぁぁ!」

張間「じぃなら、さっきトイレに行くって。」

関「写真なら、私が撮ってあげますから。撮り終わり次第、帰りましょうね。」

卯ノ森「へ...? い、いやぁぁぁぁ!? お、お化けぇぇぇぇ!!」


関(M)七つ目「教室で行われる、殺人ゲーム! あなたは、生き残れるか...!?」


 とある教室内では、女子テニス部の本田が縄で椅子に縛られ眠っている。本田の周りには黒いローブに身を包み、真っ白なお面をつけた人たちが静かに立っており、本田をジッと見つめている。


本田「...う、うぅ......。...あ、あれ? ここは...? って、え!? な、なに、これ!? 身体が...! 一体、何がどうなってんの!?」

黒ローブA「ようやくお目覚めか。」

本田「え...? い、いやぁぁぁ!? だ、誰よ、あんたたち!!」

黒ローブB「起きてすぐなのに、元気なやつだ。これは、非常に楽しみだな。」

黒ローブA「えぇ。この先、どんな反応をするのか...非常に楽しみだよ。」

本田「な、なによ、これ...!? なんなのよぉ...! わ、私が...私が何したっていうのよ...!? は、早く家に帰して...! お願いだから...!」

黒ローブA「家に帰れるかどうかは、今から行うゲームの結果次第だ。」

本田「ゲ、ゲーム...?」

黒ローブB「今から君には、我々が考えたゲームを行ってもらう。それを見事クリアできたら、君を家に帰してあげよう。」

本田「そ、そんな...! も、もしかして、これって...!」

黒ローブA「うふふ...! そう、これはあなたを断罪する、楽しい楽しいデスゲーム...!」

黒ローブB「自分の罪を思い出し、嘆き、謝罪し...我々の前で散るがいいわ。この、裏切り者が。」

本田「......おい。」

黒ローブA「おいぃ? おいおいおい、自分の立場をわかっていないのかぁ?」

黒ローブB「そんな口の利き方して、生きて帰れると思ってるのかしら? 面白い子ね...ますます楽しみだわ...!」

本田「...もしかしなくても、あんたは友梨奈ゆりなで、あんたは佳江よしえでしょ?」

黒ローブA「...あら、誰かしら? それ?」

黒ローブB「私たち、わからないわ~。」

本田「バレバレなのよ、あんたたち! 私たち、なんだかんだずっと一緒だったのよ!? 顔隠したくらいでバレないと思った!? 声でバレバレなのよ!!」

黒ローブA「ちぃ...! バレたか。」

黒ローブB「バレたところで、こちとら痛くも痒くもないわ。」

本田「どうして...どうしてこんなことするのよ...! 私たち、親友でしょ!? ねぇ! ねぇってば! 私との思い出、全部忘れちゃったの!? 友梨奈、佳江!」

黒ローブA「えぇ。忘れたわよ。裏切り者との思い出なんて。」

黒ローブB「あんな汚れた思い出、捨ててやったわ。」

本田「汚れたって何よ!? 酷くない、それは!? どうして、そんなに汚れちゃったの、あんたたちは!?」

黒ローブA「どうして? 嫌だわ~! わかってるくせに~!」

黒ローブB「皆さん、今の言葉を聞きました? 自分が悲劇のヒロインみたいに...笑っちゃいますよね~!」

黒ローブたち「お~っほっほっほっほ~!」

本田「あれぇ!? 暗くてわかんなかったけど、後ろにもいっぱいいるぅ!? 思ってた倍の数いるんだけど!? 私、そんな悪いことした!? 全然身に覚えがないんだけど!?」

黒ローブA「これだから裏切り者は嫌になる...。いいわ、私たちが教えてあげる。」

黒ローブB「あんた...明日、晴翔はるとくんとどこにいくの~?」

本田「え? 明日? 明日は、晴翔くんと夢の国に...はっ!? ま、まさか...!?」

黒ローブA「もぉ~ひど~い! 私たちっていう、素敵な素敵な親友がいるのに、別の人と夢の国だなんて~!」

黒ローブB「しかも、彼氏とだなんて~! そんなの、許されるはずがな~い!」

黒ローブA「さぁ! 我々を裏切り、夢の国に行こうとする彼女に、断罪を!!」

黒ローブB「この幸せは、我々の手でぶち壊す!」

黒ローブたち「断罪を! 断罪を! 断罪を! 断罪を!」

本田「心狭すぎるでしょ、あんたたち!! 友の幸せを素直に喜べないの!?」

黒ローブA「我々に黙って彼氏を作り...あろうことか、晴翔くんというイケメンを...!」

黒ローブB「貴様が晴翔くんとイチャイチャしてると思うと、反吐が出るわ!!」

黒ローブC「う、うぅ...!? 晴翔くんと...イケメンと、二人で夢の国...! うぅ...!!」

黒ローブD「も、桃子ぉ! しっかりして! 桃子ぉ!」

黒ローブE「友梨奈さん、佳江さん! 裏切り者から漂う幸せオーラに、桃子が!」

黒ローブA「なんですって!?」

黒ローブB「どこまで私たちを傷つければ気が済むのよ、あんたは!!」

本田「なにもしてませんけど!? むしろ、この状態でなにをしろと!?」

黒ローブD「うぅ...!? ま、眩しいぃ...!」

黒ローブE「これが、勝ち組の...リア充の光...! いやぁぁぁ!」

本田「だから、何にもしてないってば! あんたたちが勝手にやってんでしょ!? こんなんで罪倍増される私の気持ちにもなって!」

黒ローブA「さて...早いとこ断罪しようか...!」

黒ローブB「まぁ、断罪って言っても、親友の私たちと朝まで楽しくお話しするだけだから~! そんな怖がらなくていいからね~絵里えり~!」

本田「え? 朝まで...?」

黒ローブA「うん、朝まで♡」

黒ローブB「朝までいっぱい語って...寝不足で夢の国にいって眠気で頭いっぱいになって晴翔くんを疎かにして待ち時間気まずくなれ。」

本田「やることがゲスすぎるでしょ、あんたたち!! よくそんな酷い作戦が思いつくわね!!」

黒ローブA「酷い? 酷いのは、どっちよぉ!」

黒ローブB「私たちは、あんたのこと信じてたのに...信じて...うぅ...!」

本田「彼氏を作ること、そんなに悪いことなんですか!? そんなに罪が重いことなんですか!?」

黒ローブたち「「悪いし重い!!」」

本田「こんちくしょぉぉ! こんな奴らに、私の幸せをめちゃくちゃにされてたまるかぁぁぁぁ!」

黒ローブA「どれだけ暴れても無駄よ。ガッチガチに縛ってあるからね。」

黒ローブB「私たち~絵里の幸せトークがいっぱい聞きたいな~? ねぇ、みんな~!」

本田「待て待て待て! その、手にしてるピコピコハンマーは、なに!? もしかして、幸せ一つ語る度に、一発ぶん殴られるの!?」

黒ローブA「ねぇ~早く~♡」

黒ローブB「親友の幸せは、私たちの幸せだよ♡」

本田「いやぁぁぁぁ! 助けてぇぇぇぇ! このままじゃ、楽しみにしてたデートが...はっ!? そうだ! ねぇ、佳江! あんた、バスケ部の鬼龍 千秋きりゅう ちあきくんのことが好きなんでしょ!? 晴翔くん、千秋くんとすごく仲良いし、千秋くんは今フリーだって言ってたから、私が頼んであんたとの仲を取り持ってあげる! だから、助けて! お願い!」

黒ローブA「あらあらあら、そんな命乞いで助けてもらおうなんて、私たちも舐められたものねぇ。佳江、まずはあんたからよ。裏切り者を断罪しなさい。」

黒ローブB「もう、やめようよ...こんなこと...!」

黒ローブA「...え?」

黒ローブB「絵里は、私たちの親友なんだよ...? 親友に、こんなことするなんて...バカだよ...! 私たち、馬鹿野郎だよぉ...! ごめん、ごめんね、絵里...!」

黒ローブA「お前、手のひら返すの早すぎるでしょうが!! 現金な女め! なんだ、その涙は!? よく流せんな!? これだから女は嫌になる!!」

黒ローブB「さぁ、逃げて絵里! 晴翔くんとのデートを、こんなクソみたいな形で無くすなんて絶対にダメだよ!」

黒ローブA「ついさっきまでクソみたいなことやってたぞ、あんたも! もういい...佳江、あんたもそいつと同じ裏切り者よ! みんな、奴らを断罪するわよ!!」

黒ローブD「も、もしかしたら、絵里側につけば私たちにも...!」

黒ローブE「気になるあの人と、夢の国に...!?」

黒ローブA「夢を見るな、夢を!! 現実を見ろ!! 我々がやるべきことは、裏切り者の断罪だ!! 夢なんて、見るだけ無駄な代物ーーー」

本田「もちろん、友梨奈の気になる人も!」

黒ローブA「さぁ、逃げて絵里! せっかく手に入れた幸せ、離しちゃダメだよ!」

黒ローブD「裏切りじゃぁぁぁ!! 奴らもろとも断罪しろぉぉぉぉ!!」

黒ローブE「幸せをぶち壊せぇぇぇぇ!!」
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