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207話「もっと笑ってと言われるほど、笑えない①」
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登場人物
関 幸:♂ 三年生。なんでも探偵部の部長。
間宮 傑:♂ 二年生。なんでも探偵部の部員。
張間 彩香:♀ 一年生。なんでも探偵部の部員。
新沼 咲:♀ 一年生。バドミントン部の部員。
狗山 羽和:♀ 一年生。バドミントン部の部員。
ーーーーー
夏の日差しが、グラウンドで部活動をする生徒たちに容赦なくサンサンと降り注いでいる8月のとある日。飲み物を買いに部室を出た張間は、水滴がポタポタと滴り落ちる飲み物を首にピタリと当て、額から汗をダラリと垂れ流しながらトボトボと廊下を歩いている。
張間「......暑い。暑い暑い暑い暑い暑い暑ぅぅぅぅぅぅい!!」
サウナと化した蒸し暑い廊下に耐えることは出来ず、汗や水滴を撒き散らしながら勢いよく廊下を駆け出す張間。
ゴール地点である探偵部の前まで辿り着くと、急ブレーキをかけ勢いよく扉を開ける。部室内からは、廊下の蒸し暑さを忘れさせてくれる心地よい温度が張間を出迎える。
張間「あ、あぁぁぁ...! 生き返るぅ~...! ここは、天国じゃ...!」
関「張間くん、扉は静かに開けなさい。壊れちゃうでしょ?」
間宮「というか、早く閉めてくれない? 暑い空気が入ってくる。」
張間「いや~なんでも探偵部は天国ですね~! 外は、地獄と化してますよ! 見てください、この汗! 飲み物を買いに行っただけで、この汗! 半端ねぇぜ! ジィ!」
関「お嬢様、タオルでございます。」
張間「うむ! 素晴らしい働きじゃ!」
間宮「おい、人のタオル勝手に使ってんじゃねぇぞ。」
張間「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしないですよ、間宮先輩! それに、この超絶美少女の張間 彩香ちゃんの汗が染み込んだタオル...超レアものですよ! よかったですね!」
間宮「二回洗って返してね。」
張間「なんだと、てめぇ!? 二回ってどういうことじゃい!? 一回なら笑って許せますけど、二回は怒りの感情しか湧いてきません!! 怒りました、唾もつけてやる! ぺっ!ぺっ!」
間宮は無言で立ち上がり、唾を吐き続ける張間に近づくと、両拳で張間の頭を挟み、そのまま力任せにぐりぐりと拳を動かす。
張間「あだだだだだだ!? それは痛い! めちゃくちゃに痛い! 痛いですってばぁぁぁぁぁ!!」
関「あれは、伝説の技「みさえのぐりぐり攻撃」! まさか、生で見られる日がくるとは...!」
張間「変な解説してないで、助けてくださいぃぃぃぃ!! 痛い痛い痛いぃぃぃ!!」
関「誰がどう見てもあなたが悪いので、罪はしっかり受け止めて償いなさい。」
間宮「ったく...! 二度とするなよ、わかった?」
張間「い、痛い...! 頭が割れるかと思ったぜ...!」
関「あなたたち、ギャーギャー騒がしくしてると、この部室も暑くなっちゃいますよ?」
張間「そんな時は、温度をガンガン下げてしまいましょう! というか、今の設定温度何度ですか? 暑くないですか? 22度にしましょう! 部長、リモコン!」
関「貸すわけないでしょうに。」
間宮「外との寒暖差で風邪引くわ。」
張間「張間 彩香ちゃんは強い子なので、風邪引きませーん!」
間宮「前、風邪引いてたじゃん。」
関「あなた、もしかしてですけど...家では22度にして、ガンガンエアコンを働かせてるんじゃないでしょうね?」
張間「そんなことしてませーん! 温度下げすぎたら、お姉ちゃんにど叱られるんで。「こんなに温度下げてたら、風邪引くでしょ!」って。」
間宮「さすがお姉さんだ...! 素晴らしい...!」
関「しっかり者の姉がいるからこそ、こんな風になってしまったんでしょうね...。世は、キチッとバランスが取れるように作られているのだと、改めて感じましたよ...。」
張間「いやいやいや、私だってしっかり者でしょうに。」
「失礼します。」
張間「ん?」
蒸し暑い空気と共に部室へと入ってきた男子生徒ーーー地獄と化している廊下を歩いてきたにも関わらず、無表情で汗ひとつかいてなく、関へと視線を送ると「よっ。」と軽く挨拶を交わす。
関「おやおや、岩ちゃんじゃないですか。どうしたんですか?」
張間「がんちゃん? 部長の友達ですか?」
関「三年生の岩橋 千里くんですよ。見ての通り、強い男です。」
張間「たしかに...! あの地獄と化している廊下を歩いてきたにも関わらず、あの涼しげな表情...もしかして、氷魔法の使い手!?」
間宮「何言ってんだ、お前は?」
張間「ところで部長、なんでがんちゃんなんですか? いわはし せんりって、がん要素なくないですか?」
関「岩橋の岩は、岩とも読むでしょ? だから、がんちゃんなんですよ。」
張間「ほうほう、なるほど!」
間宮「もしかして張間さん、読み方知らなかったの...?」
張間「こんにちわ、がんちゃんさん! 私は、なんでも探偵部の紅一点、張間 彩香ちゃんと申します! ここに来たということは、あなたは困りごとがあるということ! さぁさぁ、こちらに座って話を聞かせてくださいませ!」
間宮「僕、張間さんの将来が本当に不安だよ...。」
関「これは、お姉さんに勉強も教えてもらった方がいいですね。」
間宮「これ以上、お姉さんの負担を増やしてあげないでください。」
張間「おい、こら! なにボサっとしてんですか!? 早くお客様に、お茶なりなんなりお出ししなさいよ!」
間宮「はいはい...。」
関「お茶なり話なりは私たちがやりますので、張間くんは勉強していなさい。」
張間「お黙り!! 口を動かす前に、身体を動かしな!! お待たせしました、お客様! ささっ、お悩み事を吐き出してくださいませ~!」
関 幸:♂ 三年生。なんでも探偵部の部長。
間宮 傑:♂ 二年生。なんでも探偵部の部員。
張間 彩香:♀ 一年生。なんでも探偵部の部員。
新沼 咲:♀ 一年生。バドミントン部の部員。
狗山 羽和:♀ 一年生。バドミントン部の部員。
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夏の日差しが、グラウンドで部活動をする生徒たちに容赦なくサンサンと降り注いでいる8月のとある日。飲み物を買いに部室を出た張間は、水滴がポタポタと滴り落ちる飲み物を首にピタリと当て、額から汗をダラリと垂れ流しながらトボトボと廊下を歩いている。
張間「......暑い。暑い暑い暑い暑い暑い暑ぅぅぅぅぅぅい!!」
サウナと化した蒸し暑い廊下に耐えることは出来ず、汗や水滴を撒き散らしながら勢いよく廊下を駆け出す張間。
ゴール地点である探偵部の前まで辿り着くと、急ブレーキをかけ勢いよく扉を開ける。部室内からは、廊下の蒸し暑さを忘れさせてくれる心地よい温度が張間を出迎える。
張間「あ、あぁぁぁ...! 生き返るぅ~...! ここは、天国じゃ...!」
関「張間くん、扉は静かに開けなさい。壊れちゃうでしょ?」
間宮「というか、早く閉めてくれない? 暑い空気が入ってくる。」
張間「いや~なんでも探偵部は天国ですね~! 外は、地獄と化してますよ! 見てください、この汗! 飲み物を買いに行っただけで、この汗! 半端ねぇぜ! ジィ!」
関「お嬢様、タオルでございます。」
張間「うむ! 素晴らしい働きじゃ!」
間宮「おい、人のタオル勝手に使ってんじゃねぇぞ。」
張間「まぁまぁ、細かいことは気にしない気にしないですよ、間宮先輩! それに、この超絶美少女の張間 彩香ちゃんの汗が染み込んだタオル...超レアものですよ! よかったですね!」
間宮「二回洗って返してね。」
張間「なんだと、てめぇ!? 二回ってどういうことじゃい!? 一回なら笑って許せますけど、二回は怒りの感情しか湧いてきません!! 怒りました、唾もつけてやる! ぺっ!ぺっ!」
間宮は無言で立ち上がり、唾を吐き続ける張間に近づくと、両拳で張間の頭を挟み、そのまま力任せにぐりぐりと拳を動かす。
張間「あだだだだだだ!? それは痛い! めちゃくちゃに痛い! 痛いですってばぁぁぁぁぁ!!」
関「あれは、伝説の技「みさえのぐりぐり攻撃」! まさか、生で見られる日がくるとは...!」
張間「変な解説してないで、助けてくださいぃぃぃぃ!! 痛い痛い痛いぃぃぃ!!」
関「誰がどう見てもあなたが悪いので、罪はしっかり受け止めて償いなさい。」
間宮「ったく...! 二度とするなよ、わかった?」
張間「い、痛い...! 頭が割れるかと思ったぜ...!」
関「あなたたち、ギャーギャー騒がしくしてると、この部室も暑くなっちゃいますよ?」
張間「そんな時は、温度をガンガン下げてしまいましょう! というか、今の設定温度何度ですか? 暑くないですか? 22度にしましょう! 部長、リモコン!」
関「貸すわけないでしょうに。」
間宮「外との寒暖差で風邪引くわ。」
張間「張間 彩香ちゃんは強い子なので、風邪引きませーん!」
間宮「前、風邪引いてたじゃん。」
関「あなた、もしかしてですけど...家では22度にして、ガンガンエアコンを働かせてるんじゃないでしょうね?」
張間「そんなことしてませーん! 温度下げすぎたら、お姉ちゃんにど叱られるんで。「こんなに温度下げてたら、風邪引くでしょ!」って。」
間宮「さすがお姉さんだ...! 素晴らしい...!」
関「しっかり者の姉がいるからこそ、こんな風になってしまったんでしょうね...。世は、キチッとバランスが取れるように作られているのだと、改めて感じましたよ...。」
張間「いやいやいや、私だってしっかり者でしょうに。」
「失礼します。」
張間「ん?」
蒸し暑い空気と共に部室へと入ってきた男子生徒ーーー地獄と化している廊下を歩いてきたにも関わらず、無表情で汗ひとつかいてなく、関へと視線を送ると「よっ。」と軽く挨拶を交わす。
関「おやおや、岩ちゃんじゃないですか。どうしたんですか?」
張間「がんちゃん? 部長の友達ですか?」
関「三年生の岩橋 千里くんですよ。見ての通り、強い男です。」
張間「たしかに...! あの地獄と化している廊下を歩いてきたにも関わらず、あの涼しげな表情...もしかして、氷魔法の使い手!?」
間宮「何言ってんだ、お前は?」
張間「ところで部長、なんでがんちゃんなんですか? いわはし せんりって、がん要素なくないですか?」
関「岩橋の岩は、岩とも読むでしょ? だから、がんちゃんなんですよ。」
張間「ほうほう、なるほど!」
間宮「もしかして張間さん、読み方知らなかったの...?」
張間「こんにちわ、がんちゃんさん! 私は、なんでも探偵部の紅一点、張間 彩香ちゃんと申します! ここに来たということは、あなたは困りごとがあるということ! さぁさぁ、こちらに座って話を聞かせてくださいませ!」
間宮「僕、張間さんの将来が本当に不安だよ...。」
関「これは、お姉さんに勉強も教えてもらった方がいいですね。」
間宮「これ以上、お姉さんの負担を増やしてあげないでください。」
張間「おい、こら! なにボサっとしてんですか!? 早くお客様に、お茶なりなんなりお出ししなさいよ!」
間宮「はいはい...。」
関「お茶なり話なりは私たちがやりますので、張間くんは勉強していなさい。」
張間「お黙り!! 口を動かす前に、身体を動かしな!! お待たせしました、お客様! ささっ、お悩み事を吐き出してくださいませ~!」
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