なんでも探偵部!

きとまるまる

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209話「もっと笑ってと言われるほど、笑えない③」

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関「と、いうわけで...改めてまして、本日の素敵な素敵な審査員の方をご紹介していきましょ~! まずは、この方! Mr.笑わない男、岩橋 千里!」

岩橋「よろしくお願いします。」

張間「続いては、この方! 守備と笑いは俺に任せろ! 元野球部キャプテン、ショートさんこと、今本 健斗!」

今本「よろしく~!」

関「笑顔の裏にはトゲがある!? いやいやあるのは可愛い顔だけ! バドミントン部のアイドル、新沼 咲!」

新沼「よろしくお願いします。」

張間「チワワじゃねぇぞ、狂犬だ! でも本当はとっても優しいワンワンです! バドミントン部の番犬、狗山 羽和!」

狗山「あの、俺新沼に無理やりここに連れてこられたんで、何が起こってるのかさっぱりなんすけど? 誰でもいいから、説明してくれっす。あと、ワンワンじゃねぇす!!」

張間「えっとね、今からお笑いの審査してほしいの。」

狗山「はい? 笑いの審査?」

関「こちらにいらっしゃる三年の岩橋 千里くんがだね、笑うことが苦手なんですよ。」

狗山「ほうほう。あっ、初めましてっす。俺、一年の狗山 羽和って言います。」

岩橋「三年の岩橋 千里だ。わざわざご丁寧にどうも。」

関「今から私たちがあなたたちを全力で笑わせますから、面白かったら我慢せずに思い切り笑ってください。」

張間「人が笑ってるとこ見ると、つられて笑っちゃう時あるでしょ!? つまり、つられ笑い作戦なのだ!」

関「私たちみんなの力で、岩ちゃんを笑顔にしようということですよ。」

岩橋「なんか、すまないな。俺のために色々と。」

今本「いいっていいって、気にすんなよ岩橋! でもまぁ、俺たちが笑うかどうかは探偵部の腕次第だからな~! 期待してるぜ、探偵部~!」

関「張間くん。」

張間「変な顔っ!!」

今本「ぶっ...! んふふふ...! は、張間ちゃん、その顔は...!」

張間「変な顔っ!パート2!」

今本「ぶははははは!! そ、それはダメでしょ! ダ、ダメだって! ひぃぃ!」

関「よし、これで一人は確実に笑うぞ。」

張間「私たちも、気持ち良くボケられますね!」

間宮「今本さんをアンパイにするな。今本さんに逃げるな。」

関「では、審査員の方々にはこちらを口に含んでもらいま~す!」

張間「面白かったら、盛大に吹き出してくださいね~!」

狗山「なんすか、これ? 水っすか?」

新沼「うふふ、こういうことって普段やらないから、ちょっと楽しみかも。」

狗山「まぁ、そう言われればそうっすね。俺たちは見てるだけっすから、気楽っちゃ気楽っすしね。」

新沼「ワンちゃん、もし吹き出した水を私にかけたら...言わなくてもわかるよね♡」

狗山(全然気楽に見れないっす!!)

今本「は、腹痛い...! 笑いすぎて、腹が...!」

岩橋「おい、今本。早く水を含め。始まらないぞ。」

関「審査員の方々は、そちらの椅子に座ってもらって、水を口に含み、目の前に桶をセットしてくださ~い!」

張間「皆さんの準備ができ次第、始めていきますよ~!」

間宮「なんか思ったより盛大になってきてますね。」

関「そうですね~ワクワクしますね~!」

張間「ではでは、まずはこの張間 彩香ちゃんが先陣を駆け抜けていきますよ! 笑いの台風、巻き起こしたるで!!」

関「いったれやったれ、張間さん! 笑いの洪水、起こしてあげて!」

間宮「台風か洪水か、どっちかにしろ!!」

張間「ん"ん"ん"っ...! え~~ではでは、いきまーーーす!「スイングは豪快なのに、ガッツポーズはとても小さい、アリゲーターズ五番レフト、アレックス・ラミアス」」

間宮「まさかの野球ネタ!?」

関「ターゲットを健ちゃん一人に絞り込みましたね。」

間宮「アンパイに走るな!! 岩橋さんを笑かしにいけ!!」

関「健ちゃんなら、題名だけでも笑いそうーーー」

今本「......!!」

関「なっ...!? た、耐えているだとぉぉぉ!? 笑いのダムが崩壊している今本 健斗が、野球ネタに耐えているぅぅぅ! これは予想してなかった展開だぞ、張間くぅぅぅぅん!!」

間宮「アンパイに走ってなんの成果も得られませんでしたって、一番最悪なパターンじゃん!!」

今本(お、面白い...めちゃくちゃに面白い...! でも、ここで笑うわけには...水を吐き出すわけには...!!)

今本(ごめんな、張間ちゃん...俺だって、男なんだ...! 可愛い張間ちゃんが、可愛い一年生たちが見てる中で、アホみたいに水を吹き出すなんて、できない...! 可愛い子たちには、カッコいい姿を見せていたい...! だから、ごめん...張間ちゃん...! 俺は、絶対に耐えてみせる...! 絶対にーーー)

張間「うぉ~うぉうぉうぉうぉぉ~~!うぉうぉぉ~~!ラ・ミ・ア・ス! うぉ~うぉうぉうぉうぉぉ~~!うぉうぉぉ~~!ラ・ミ・ア・ス!」

今本「ぶふぅぉぉ!?!?」

間宮「あぁ...今本さん...。」

関「応援歌も、打撃フォームも完璧ですね。あんなにお尻フリフリしてたら、流石に耐えられませんよ。」

間宮「あいつには、恥というものがないのか?」

張間「ホームランホームラン、ラ・ミ・ア・ス!ホームランホームラン、ラ・ミ・ア・ス! カキーーンッ!! 打ったぁぁぁぁ!! センター方向! センター見上げた見上げた、ホーーームラーーーーンッッ!!」

張間「......イエス......。」

狗山「んふぅ...!!」

張間「はいはいはい笑った笑った! 審判、判定! 笑ったでしょ!」

関「んんん~~~アウツッ!!」

張間「しゃおら! スイングスイング、バッターアウツッ!!」

関「ゲームセット! 張間 彩香、二人抜き!」

張間「おっしゃぁぁぁ!!」

間宮「岩橋さん笑ってないから喜ぶな!!」

関「ではでは、審査員の方々に感想を聞いていきましょうか~!」

今本「ダ、ダメだって...! は、張間ちゃん...ダメだよ...! に、似すぎてて...あ、あははははは...!!」

狗山「な、なんすか、最後の...! ガッツポーズ、ちっさ...! ん、んふふふ...!」

新沼「野球ネタ、よくわからなかったです。」

岩橋「同じく。」

張間「う~ん、野球わからない人でも笑えそうなネタをチョイスしたんですけども...まぁ、咲ちゃんは最初から捨ててたので、この結果は良しですね。」

間宮「良くないわ。本来の目的は、岩橋さんを笑わせるだからね? 多くの人を笑わせることじゃないからね?」

関「さてさて、次は私ですね。張間くんが作ってくれたこの勢いに乗っていきますよ!」

張間「いけいけ部長! 笑いのビッグウェーブ起こしたれ~!」

間宮「さっきから笑いの台風とか洪水とか、絶妙にダサいぞ、お前ら!」

関「え~~暑い日が続く夏でございます。体調を崩さぬようにと色々気を使うことが多くて、気を使うことの多さに頭を抱えて、体調を崩しそうになるとんでもない季節でございます。」

張間「...なんですか、これ?」

間宮「さぁ?」

関「私は、食に関して特に気を使っておりまして、毎日毎日何を食べようか何を食べようかと頭を捻っているのでございます。本日も、何を食べようか何を食べようか......おっ、蕎麦屋じゃねぇか。お~い蕎麦屋さん、何ができるんだい? 花巻にしっぽこかい? しっぽこひとつ頼むよ。」

間宮・張間「まさかの落語!?!?」

今本「ぶふぅぉ!?」

間宮・張間「いや、なんで!?」

今本「ら、落語...! まさかの落語チョイス...! ん、んふふふ...!」

間宮「さすが今本さん...もう何しても笑うよ...。」

張間「でも、ショートさんのおかげで...見てください、間宮先輩! 羽和ちゃんがつられて笑いそうですよ! プルプルしてますよ! これがつられ笑いってやつですよ! ショートさんを呼んだ、私たちの作戦勝ちですね!」

間宮「岩橋さんまで笑いが連鎖すればいいけどね。」
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