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211話「もっと笑ってと言われるほど、笑えない⑤」
しおりを挟む張間「あぁ~...なんか、疲れました...。」
関「ギャーギャー騒いでましたし、身体もポカポカ暑くなってきましたよ...。」
今本「俺たちも、笑い疲れて暑いわ~!」
岩橋「だな。」
関「いや、あなたは笑ってないでしょうに。」
岩橋「そうだな、すまん。」
今本「んふふ...! なんだよ、そのやりとり...! んふふふ...!」
関「笑う要素、どこにもないでしょ。やれやれ、あなたのその笑いを少し分けてあげてくださいよ...。」
張間「結局、がんちゃんさんを笑わせられませんでしたね...。」
間宮「だね...。」
岩橋「なんか、すまないな。色々としてもらったのに。」
関「こちらこそすみません。せっかく我々探偵部を頼ってくれたというのに、このような結果で。」
張間「これからは「なんでも探偵部」じゃなくて「そこそこ探偵部」って名乗ります...。」
今本「そ、そこそこ...そこそこ探偵部...! んふふふ...! そこそこ...!」
狗山「めちゃくちゃ笑うっすね。この先輩。」
新沼「ね。」
張間「羽和ちゃんたちも、どうしても笑いが欲しい時はショートさんにお願いするんだよ。」
関「なにしてもすぐ笑ってくれるから、安心だよ。」
狗山「俺たちお笑い芸人じゃないんで、そんな笑いが必要な場面こないっすよ。」
今本「そこそこ探偵部って、なんだよ...! そこそこ...んふふふ...!!」
岩橋「俺はお前が羨ましいよ、今本。そんだけ笑えて。」
今本「そうか? 逆に、俺はお前が羨ましいけどな。」
岩橋「俺がか?」
今本「おう。俺はお前と違って、ちょっとしたことでもすぐ笑っちまうからさぁ~! そうやってどっしり構えてられる岩橋が、すげぇ羨ましいぜ!」
岩橋「......。」
今本「だからさ、無理して笑おうとしなくてもいいんじゃないか?」
岩橋「え?」
今本「全然笑えねぇっていうお前の短所も、俺みたいに羨ましがるやつだっているんだ。だから、笑えないことを短所と思わずに、お前の長所だと思えばいいんじゃないか?」
岩橋「俺の、長所...?」
今本「そうそう! 俺なんか、いつもいつも笑ってばっかだから、よく野球部のやつらに「ヘラヘラしてんな!!キャプテンだろ!!」って怒られてたし!」
岩橋「笑えないことを、長所に...か。そんなこと、考えたこともなかったわ。でもさ、この先社会に出る身としては、やっぱり少しは笑えた方がいいと思うんだが...。」
関「岩ちゃんの言う通りですね。どの職種かにもよりますけど、基本的に誰かと関わることが多いでしょうし。愛想笑いくらいはできるようになっていた方がいいと思いますよ。第一印象はとても大切ですしね。」
岩橋「だよな。でも、今本の言うことも一理あると思う。無理して笑ったりしても、逆に怖い気がするし...難しい問題だな。」
張間「がんちゃんさん! もう一度、私たちにチャンスをください! 次こそは、ドカーンと派手に笑わせてあげますから!!」
関「そうですね。このままでは、我々のプライドが許しませんからね。」
張間「そうですよ! 次こそは絶対に笑わせてみせます!」
岩橋「おう。またなんかあったら、探偵部に顔出すよ。」
張間「はい! お任せください!」
関「では、本日はここらで解散にしますか。」
今本「だなぁ~! 楽しかったぜ、探偵部!」
岩橋「ありがとな。色々としてくれて。」
関「新沼くんも羽和くんも、急だったのにありがとうございました。」
新沼「いえいえ。」
狗山「すごく楽しかったっす! またやる時は呼んでほしいっす!」
張間「次回開催のために、今からネタ合わせしましょうね! 間宮先輩!」
間宮「もうやりません。」
張間「えぇ~!? なんでですか!? あんなにノリノリだったじゃないですか!」
間宮「やめろやめろ! もう思い出させるな!!」
関「では、私は使った桶を洗ってきますね~。」
岩橋「俺も手伝うよ。」
狗山「あっ、俺も手伝うっす! 幸先輩!」
関「ありがとうございます。では、羽和くんは女性陣の使った桶をお願いできますか?」
狗山「了解っす!」
今本「んじゃ、俺はたくさん笑わせてくれた探偵部にお礼をということで、購買部行ってきま~!」
間宮「え!? お礼なんていいんですよ、今本さーーー」
張間「何を言ってるのですか、間宮先輩! ご厚意というものは受け取るものです! 遠慮する方がダメなんですよ! 素直に受け取るものです! ショートさん、ありがとうございまぁぁぁす!!」
今本「そうそう、張間ちゃんの言う通りだぜ間宮くん! 俺がやりたくてやってんだから、素直に受け取ってくれよ! ってことで、行ってきま~す!」
張間「いってらっしゃ~い!!」
間宮「あぁ、もぉ...。戻ってきたら、ちゃんとまたお礼いいなよ?」
張間「わかってますって!」
新沼「では、私もそろそろ。」
間宮「あ、うん。ごめんね、急に変なことで呼び出して。」
新沼「いえいえ、気にしないでください。すごく楽しかったです。また呼んでください。」
張間「バイバイ、咲ちゃん! また会おう!」
新沼「うん、またね。」
新沼「...あっ、そうだ。間宮先輩。」
間宮「なに?」
新沼「えっと...日曜日、楽しみにしてます。」
間宮「あ、うん。僕も楽しみにしてるよ。」
新沼「で、では...失礼しました...!」
間宮「うん。またね。」
張間「おやおやおやおや~? 間宮先輩~?」
間宮「なに?」
張間「なに?じゃありませんよ~! なんですか~? なんなんですか~? 日曜日に何があるんですか~? この張間 彩香ちゃんに教えてくださいよ~!」
間宮「なにって...日曜日、新沼さんと夏祭り行くんだよ。」
張間「夏祭り! いいですねいいですね~! やっぱり、夏といえば祭り! わっしょいわっしょいお祭りです! というか、夏祭り咲ちゃんと二人でなんて、本当に......ん?」
張間「...え? ん? え...?」
間宮「な、なに?」
張間「ま、ま、ま、間宮先輩...。」
間宮「なに? どうしたの?」
張間「い、行くんですか...?」
間宮「お祭り? うん。誘われたから。」
張間「ふ、二人でですか...?」
間宮「たぶん。」
張間「ふ、ふ、二人っきりで...?」
間宮「誰か他来るか聞いてないけど...多分二人だと思うよ。」
張間「......。」
間宮「...どうしたの?」
張間「...え? えぇぇぇぇぇぇ!?!?」
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