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213話「夏と恋と祭りと花火②」
しおりを挟む男子サッカー部、部室前。部室の掃除を終えたマネージャーの北台は、扉を閉め、鍵をかける。
北台「鍵の確認、よし。さてとーーー」
西田「北台さん。」
北台「ん? 聖也くん、どうしたの?」
西田「日曜日の夏祭りことなんだけど。」
北台「うん。」
西田「狗山さんも一緒にいいかな?」
北台「狗山? 別にいいけど...急にどうしたの?」
西田「え? あ、いや...え、えっと...!」
北台「私としては、これ以上ライバルを増やして欲しくないってのが本音なんだけどねぇ~。」
西田「い、いや、そういうわけじゃないよ! 狗山さんは、別にそういうんじゃーーー」
北台「うふふ...! わかってるわかってる。ってか、わざわざ直接じゃなくて、メッセ飛ばしてくれればよかったのに。」
西田「あ、いや...北台さんはいつも残って部室の掃除してくれてるから、多分いるかなと思ってさ。」
北台「そっかそっか。なんか嬉しいな~! ありがと!」
西田「お礼を言われるようなことは、なにもしてないよ。」
北台「そうだね。せっかくの夏祭りに、女の子をまた一人連れてくるんだもんね~。むしろ、寛大な心を持っている私にお礼を言ってほしいくらいだよ。」
西田「あ、そ、それは...。」
北台「ごめんごめん、ちょっと意地悪しすぎたかも。狗山も一緒に来てもいいから、聖也くんからいいよって言っといてもらえる?」
西田「それは、もちろん。」
北台「じゃあ、よろしくね。」
西田「うん。」
北台(狗山か...。張間とよく一緒にいるし、聖也くんとも仲悪くなさそうだし...狗山に手伝ってもらおうって感じなのかな?)
北台「うふふ...! 頑張ってるね、聖也くん。」
西田「え? なにを?」
北台「なんでもなーい。じゃあ私、部室の鍵返してくるから。」
西田「うん、今日もありがとね。お疲れ様。」
北台「聖也くんも、お疲れ様。」
北台「...あ、そうだ。」
西田「どうしたの?」
北台「日曜日、楽しみにしてる。とびっきり可愛くして行くから。期待しててね。」
西田「え? あ、うん!」
北台「じゃあ、バイバイ!」
にっこりと笑い、西田を見送る北台。
北台「よーし...私もがんばろ!」
西田の姿が見えなくなるまで見送ると、拳を軽く握りしめて気合を入れ直し、職員室へと駆けて行った。
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