254 / 330
254話「夏休みが終わったこと以外にも、色々と問題があった⑤」
しおりを挟む朝、HR前の1-B教室。
テストを明日に控えているにもかかわらず、生徒たちは何事もないように楽しそうに友達と語り合っている。
張間は特に誰とも話す様子はなく、一人自席に座り頭を抱えていた。
張間(ぜ、全然寝られなかった...! というか、寝られるわけがない...! このままの状態では、マズイ...非常にマズイ...! 睡眠不足で倒れてしまう...! しかし、二人の関係性を知る良い方法が、全く浮かばない...! 直接聞く以外に、浮かばない...! でも、直は嫌だ...仮にそうだとした時のダメージが...ぐ、ぐぅぅ...!!)
狗山「彩香、大丈夫っすか?」
張間「え...なにが...?」
狗山「一目で元気ないってのがわかるっす。どうしたんすか?」
張間「あ、え、えっと...。」
張間(自分じゃ聞きづらいし、羽和ちゃんに頼むってのもありかなしかで言えば...でも、なんでって聞かれたらどう答えよう...? 正直に...いやでも、なんか恥ずかしいなぁ...。でもでも、他にいい案は思い浮かばないし...。)
狗山「なんだよ、悩みっすか? なんでも聞いてやるっすよ。」
張間(うぅ...恥ずかしいけど、これ以上いい案が思い浮かばない...。羽和ちゃんは咲ちゃんと仲良いからサラッと聞けそうだし、それに優しいから万が一にも本人にバラしたりとか絶対にしないし...! よ、よーし...!)
張間「あ、え、えっと...と、とりあえず、場所変えたい! いい!?」
狗山「おう、いいぜ。」
ーーー
張間の悩みを聞くために、人気のない校舎の廊下へとやってきた二人。
狗山「んで、どうしたんすか? 人に聞かれちゃマズイ話なんすか?」
張間「まぁ、そうと言えばそうだし、別にそうでもないと言えば...でも、あまり聞いてほしくない話かなぁ...。」
狗山「ふーん。ま、なんでもいいっす。俺にできることならなんだってしてやるから、遠慮すんなっす!」
張間「ありがとう、羽和ちゃん! えっと...早速で悪いんだけど、本題にいきます...!」
狗山「おう。」
張間「えっとですね...その...あのぉ...えっと...。」
狗山「そんな言いづらいことなんすか?」
張間「......聞いてきてほしいの...。」
狗山「ん? なにを?」
張間「えっと......さ、咲ちゃんのことなんだけどね。その...。」
狗山「新沼のこと?」
張間「うん...。」
顔を真っ赤に染め、俯く張間。
数秒黙り込んだと思うと、自分の頬を二回ほど叩き、意を決し言葉を吐き出す。
張間「さ、咲ちゃんに、間宮先輩のことどう思ってるのか、聞いてきてほしいの!」
狗山「......へ?」
真っ直ぐに目を見つめて言い切る張間。
狗山は、予想していなかった言葉を受け、目を大きく見開き見つめ返す。
張間「お願いします! 自分じゃ聞きづらいから...お願い!」
狗山「え、えっと...一応理由を聞いてもいいっすか...?」
張間「う、うん。」
張間「さ、咲ちゃんさ、最近すごく間宮先輩と仲良いというか、そう見えるというか...。海でも楽しそうに話してたし、祭りだって二人で行って...今は漫画の貸し借りしてるし...。」
張間「だ、だから、その......さ、咲ちゃんは、間宮先輩のことどう思ってるんだろって思ったの! すごく仲良く見えるから、気になって気になって...。」
狗山「......あ、あの...一つ確認、いいっすか...?」
狗山「あ、あ、彩香って、その......ま、間宮先輩のこと...す、す、すすすす...好き...なんすか...?」
狗山の疑問を受け、顔を俯かせる張間。そして、小さく小さく頷き、答えを示す。
狗山「な、な、なるほどっす!! そ、そうかそうかそうか! そりゃ、気になっちゃうっすよね! 気になるのは当たり前っす! うんうんうん!!」
張間「ど、どうかな...? 無理にとは言わないし、聞きづらいならーーー」
狗山「ま、任せろっす! 俺に任せておけっす! そういうの、本人には直で聞きづらいっすよね! わかるわかる!うんうんうん!!」
張間「ほ、本当に!? ありがと、羽和ちゃん!」
狗山(んぎゃぁぁぁぁ!?!? 何やってんすか、俺ぇぇぇぇ!! そんなこと聞けるわけが...ってか、なんでこんなことにぃぃぃぃ!?)
狗山(ま、まさかまさかの、被るなんて...! 新沼と彩香の好きな人が、被っちまうなんて...!! ど、ど、どうしたら...俺はどうしたらいいんすか!? と、とにかく、今一つだけ言えることは...!!)
狗山(...どんまいっす、西田...!!)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる