なんでも探偵部!

きとまるまる

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255話「昨日の敵は今日の友①」

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 夏休みが終わったにもかかわらず、今だに夏休み気分でふわふわしている学生たちーーーそんな怠け者たちを現実に引き戻すと言わんばかりに、東咲高校では夏明けテストという地獄の行事が朝から行われていた。

教師からジロジロと監視されながら、ひたすら机に置かれた答案用紙と問題を睨みつける生徒たちーーーある者は、何事もなかったかのように涼しげな顔でスラスラペンを走らせ...ある者は、早々に諦め机に突っ伏し...そしてある者は、考えても考えても答えが浮かばぬ難問を前に頭を抱えて絶望していた。


張間(集中できない...全然集中できない...! あのことが気になりすぎて、集中できない...!)

張間(でも、今考えたって答えが出てくるわけでもないし...今はテストに集中しなきゃ...! 赤点取ったら、それこそ大問題...! 集中...集中集中集中ーーー)

狗山(できるかぁぁぁぁ! 集中なんてできるかぁぁぁぁ!! あんな話聞かされて、集中なんてできるかぁぁぁぁ!!)

狗山(ど、どうしよう...俺は、どうしたら...!? なんで、こんなことにぃ...! 友達の好きな人が被ってたって、なんだよ、それ!? どこの漫画っすか!? ここは、なんつー名の恋愛漫画っすか!? ぐわぁぁぁぁぁ!なんでこんなことにぃぃぃぃ!!)

狗山(俺は一体、どうしたら正解なんすか...!? 何をすれば正解なんすか...!? ってか、彩香に聞くって言っちまった以上、聞かなきゃいけねぇ...というか、聞かなくてもわかってるっすよ!! 新沼が間宮先輩のことどう思ってるのかなんて、聞かなくてもわかってるっす!! だからこんな悩んでんだ、馬鹿野郎!!)

狗山(う、嘘吐くか...? それがいいんすか...? 新沼は別に間宮先輩のこと...いやいやいや、そんなの絶対にすぐバレるっす! バレる予感しかしないっす! でもだからって、本当のこと言うんすか!? いやいやいや、言えるわけねぇっすよ! 言ったらどうなるんすか!? 好きな人、被ってるんすよ!? どうするんすか!? だって、間宮先輩は一人っすよ!? どうするんすか!?)

狗山(そ、相談してぇぇぇ...! 誰でもいいから、相談させてくれっすぅぅぅ...! こんなクソでかい問題、一人じゃ抱えきれないっすよぉぉぉ...押し潰されちまうっすよぉぉぉぉ...!)

狗山(でもでもでも、こんなの相談できる相手なんて、俺の周りには一人もーーー)

狗山(......あっ!? そ、そうだ!!)



ーーー



 三限目のチャイムが鳴り響き、生徒たちに地獄の終わりを告げる。


張間「うへぇ...やっと終わった...。お腹空いた...。羽和ちゃーん、お昼食べよ~。」

狗山「すまん、彩香! 俺、今日は別の人と食べる約束してるんす! てことで、んじゃ!!」

張間「あ、うん。わかったー。」

張間「...別の人って、誰だろ?」
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