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256話「昨日の敵は今日の友②」
しおりを挟む夏の暑さが和らぎ、涼しげな風が吹く東咲高校の中庭。
生徒が外でお昼を食べられるようにと設置されている、木で作られた椅子と机ーーーそのうちの一つに、なんでも探偵部の部長である関が腰掛けており、お弁当箱を前に誰かを待っている。
狗山「幸先輩ー!」
関「やぁやぁ、羽和くん。こんにちは。」
狗山「こんにちわっす! すんません、急に呼び出して...。」
関「気にしないでいいですよ。ところで、相談事ってなんだい?」
狗山「えっと、それなんですけど...その...。」
関「ふむ、なんだか長くなりそうな相談事ですね。ご飯食べながらでもいいですか?」
狗山「あ、はい! それはもちろんっす!」
関「では、まずはいただきますから始めましょうか。全ての食材に感謝を込めて...いただきます!」
狗山「い、いただきます!」
互いに弁当箱を開封し、それぞれおかずを一つ口に放り込むーーーその様子を背後からジッと見つめる、影二つ。
張間「おやおやおや~別の人と食べるっていうから、誰かと思えば~!」
新沼「ワンちゃんってば、積極的なんだから~!」
張間「ところで、咲ちゃん。」
新沼「なに?」
張間「なんで写真撮ってるの?」
新沼「ワンちゃんになにかお願い事する時に見せつけるため♡」
張間(酷い女だ...。)
新沼「こう見てると、お似合いじゃない? あの二人。」
張間「なんだかんだで仲良さそうだしね! 羽和ちゃんって、部長のこと好きなのかな?」
新沼「好きじゃない人に、お昼一緒に食べよなんて言う?」
張間「うーん...言いませんなぁ~! つまりつまり...もぉ~羽和ちゃんってば~~! 相談してくれてもいいのにぃ~!」
新沼「ワンちゃんってば、恥ずかしがり屋さんなんだから~!」
張間「咲ちゃん、いつまで写真撮ってるの? というか、二人でなに話してるんだろ? むむむ、気になりますなぁ...!」
新沼「盗み聞きは良くないよ、彩香ちゃん。せっかくの二人っきりなんだし、そっとしておきましょ。」
張間「さっきまで写真撮りまくってた人とは思えない発言。」
新沼「何かいいましたか~?」
張間「いえ、何も! さぁ、帰りましょう!」
帰ろうと言いつつも、遠目で狗山たちを見つめる二人。内容はわからないものの、雰囲気良さげで話し合う二人ーーー
張間(二人でお昼かぁ...。)
新沼(二人でお昼かぁ...。)
互いに同じことを考えいるとは露知らず、張間たちはお昼を食べるために教室へと帰っていった。
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