なんでも探偵部!

きとまるまる

文字の大きさ
上 下
266 / 330

266話「努力は期待を裏切らないから、まずは努力をしましょう①」

しおりを挟む

 9月のとある日。東咲高校1-Bでは、授業中の時間帯にも関わらず生徒たちが席を立ち、仲の良い友達と手にした用紙の見せ合いをしていた。

夏休みが終わり数日後に開催された、地獄の行事「夏休み明けテスト」その結果の一部が返却され、教室内は授業中にも関わらず賑やかとなっていた。ある者は高得点に喜び、ある者は予想よりも遥か下をいき絶望し、ある者は半分を超え安堵の息を吐き出しーーーなんだかんだで今まで赤点という絶望を免れてきた張間は、特に怯える様子もなく喜ぶ様子もなく、大きなあくびを一つ吐き出し名前を呼ばれるのを自席で待っていた。


先生「次、張間~。」

張間「はいはぁ~い。」

張間「先生~張間ちゃん、どうでした~? 100点満点でしたか~?」

先生「お前、こんな点数でよく100点満点か聞けるな? ちゃんと見直ししたのか?」

張間「あっ、もしかして凡ミスいっぱいでした? あちゃ~やらかしたぜ!」

先生「凡ミスどころか、ミス、ミス、ミスだ。お前、夏休みだからって勉強サボりまくってただろ?」

張間「なっ!? 失礼な! 張間 彩香ちゃんは、ちゃんとしっかり勉強してましたよ! 酷いこと言わないでくださいよ!」

先生「そうかそうか、勉強してたのか...。勉強してたのに、これか...。」

張間「...先生?」

先生「あまりこういうことは言いたくないが...勉強の仕方が間違ってると思うぞ。今度、先生と一緒に張間に合うやり方を探そうな。」

張間「......ま、まさかまさか!そんなそんな!」


 教師の言葉を受け、最悪のシナリオが脳内に浮かび上がる。その最悪のシナリオをかき消すかのように大きく頭を左右に振り、ブルブル震える手で裏向きのまま差し出された答案用紙を受け取る。

恐る恐る、答案用紙の表面へと視線を移す。
張間 彩香と雑に書かれた字の隣に、濃く、ハッキリと存在する「26」という数字。


先生「補習と追試に関しては、また追って伝えるから。ちゃんと受けろよ? わかったな?」

張間「へ、へい、てぃーちゃー!」

先生「はい、なんでしょう?」

張間「こ、ここここれは...これは、もしかして...!?」

先生「もしかしなくても、赤点です。補習と追試、しっかりと受けましょう。以上。席に戻りなさい。」

張間「あ、あ...あか...あかあかあか...!?」

西田(あーあ...。)

北台(ついにやったか...。)

狗山(勉強しろって言ってんのに...。)

卯ノ森(やっぱり、おバカですわ。)


 背後から突き刺さるクラスメイトの視線に振り返ることなく、張間 彩香は地獄行きの切符を手にしたまま、膝から崩れ落ちていった。
しおりを挟む

処理中です...