愛されない王女は世界を壊す

夢花音

文字の大きさ
17 / 30
1章《赦されざる者たち》

17話 後編 冬の訪れ凍てつく復讐の吹雪

しおりを挟む

セレナはゆっくりと目を閉じ、内なる精霊に心の声を届けた。

(私の望みを叶えて。この国が永遠に凍てつく冬となるように。食物も育たない極寒の地となるように)

内なる声が答えた。

(それがお前の望みなら、我の力は解き放たれるだろう)

その直後、セレナの体を白い光が包んだ。光は放たれるように広がり、国全体を包んで消えた。

皇帝は目を見開いてその光景を見ていた。

どうやって、セレナが閉じ込められた塔から逃げたのか、それだけが不思議だった。今、やっとわかった。あの輝きは精霊の力に違いない。

それも……わが国に伝わる断罪の精霊……
セレナは精霊の力を手に入れたのか、皇帝は理解した。

事実とは少し違うが流石に前世の記憶が蘇ったとは考えつかなかったようだ。


セレナは目を開けると皇帝に伝えた。

「あなたには償ってもらうわ。でも殺しはしない。運よく逃げ出して私はまだ生きている。だけど塔の中での苦しみは忘れることはないわ。」

その時、セレナの頭の中で、再び精霊の声が響いた。

『皇帝は罪を認めた。では、他の者たちは?この国の民、沈黙した家臣たちは……裁くべきではないのか?』

セレナの瞳がわずかに揺れた。かすかに唇を噛みしめる。

「……あの時、私が“本物じゃない”と知ってこの国は、国民は私を処刑しろと叫んだのよね。私を塔に閉じ込める時、兵士が話していたわ。」

「私は、祖国で魔法によって拘束されていてこの国にきた時も自由に話すこともできなかったわ。魔法はこの国で解いてくれたけど話しは聞いてくれなかった。私に一言の弁明さえもさせてくれなかった」

「貴族が『この小娘に与えるパン一切れも水一滴も惜しい』と『勿体ない』と言っていて、それに対して誰も何も言わなかった。皆が当然のように受け入れた……」

『その沈黙もまた、罪だ』

胸の奥で怒りが静かに膨らんでいく。燃えるような怒りではなく、凍てつく氷のように、冷たく、深く、静かに――。

「……民も、国も、私の死を望んだ。誰一人……誰一人、話すら聞いてくれなかった。手を伸ばしてはくれなかった。」

セレナは目を開けると皇帝に伝えた。

「この国はもう暖かな春も夏も訪れることはないわ。いつも凍てつく冬……植物も育たないわ。飢えと寒さに苦しめばいい。私と同じ痛みを感じなさい。あなたはこの国の人々にも、皇帝として、あなたの言葉で真実を語るのね」

「……わかった」

これからの混乱と民の生活を憂い、皇帝の声に後悔が宿る。

それでも立ち上がり民を導かなくてはならないと决意を固めた。










しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...