15 / 17
14話 命がけのインフラ整備――挑む者たち
しおりを挟む
田中と真理子は、これから各地を巡ってインフラを整えていくために、どうしても知っておかなければならないことがあった。
それは、黒い瘴気の正体と、そこから湧き出す魔獣への対応だ。
このまま、それぞれの街で魔獣を個別に浄化すればよいのか――
それとも、もっと根本的な対策が必要なのか。
この問題に関して、田中も真理子もまったくの素人である。
やはり、女神レグリス様に頼るしかない。前に緊急信託があった時になんでも相談してほしいとの言葉を頂いてあるのだ。
近くの神殿で、田中と真理子は神託を求め、深い祈りを捧げた。
――静寂の神殿に、ふたりの祈りの声が響く。
「女神レグリス様……この街を覆う瘴気の正体を教えてください」
やがて、柔らかな光に包まれて、レグリスの声が降りてきた。
『それは封じられた古き災いです。
かつてこの土地では、“穢れ”を流し込むことで大地の力を奪う禁断の術が使われました。』
女神はさらに静かに語り出す。『……その術は、かつて隣国との争いが絶えなかった時代に生まれたのです。
敵国の繁栄を妬んだ王と術師たちが、大地の力を枯らすために穢れを流しこみました。
力に溺れた人々の欲望が、土地そのものを蝕み、穢れが全ての土地に広がり、ついには王や術師たちにも手が負えなくなったのです。
慌てた人類は力を合わせて禁術として封印したのです。』
真理子は息を呑む。
「……私たちの工事が、その封印を揺るがせたというの?」
『いいえ。あなたたちは正しいことをしました。
でも、水脈を整えたことで、地中深くに沈んでいた穢れが動き出したのです。当時は封印するしかなかった“穢れの核“も、今こそ真なる浄化の儀が出来るようになりました。
地中深くにある“穢れの核”を見つけ、神力と技術を重ねて浄化し消してしまえるのです。』
田中が静かに問う。
「……今まで、俺たちは日本の神様の力を借りて、その場その場で魔獣を浄化してきた。それはそれでよかったんでしょうか?」
少しの間を置いて、レグリスの声がそっと降りてきた。
『ええ、それは確かに正しかったのです。
瘴気から湧く魔獣に対して、神の力なくして抗う術はありませんでした。
あなたたちがとってきた行動は、この地にインフラを発展させる為には必要で、大切なことでした。』
真理子は安堵の表情を浮かべた。
『……ですが、それでも私は、あなたたちに頼らざるを得ないこの現状を、本当に申し訳なく思っています。
本来ならば、私たち神々が封じ切るべき過去の過ちでした。
なのに、その後始末を、異なる世界から来たあなたたちに本来なら担うべきではなかった浄化の役目まで……どうか、許してください。』
一拍の沈黙の後、レグリスは、ゆっくりと言葉を紡いだ。
『それでも、今なら根本から断つ方法が見えてきたのです。
あなたたちの神力と技術、その融合が、失われかけたこの大地に生命の息吹きを甦えさせられるかもしれないのです。
勝手を言っているのはわかっています。それでも力を貸していただけるのなら……心から感謝いたします。』
田中と真理子は、静かに頷いた。
「つまり、地中の魔脈の修復だな。俺たちの出番だ」
女神は、さらに言葉を重ねる。
『あなたたちがもつ神力に、私の魔法を重ねてください。 穢れの核は“地中の魔脈の最も深き場所”にあります。
正しき水の流れを導く者にしか辿り着けません。本当に古の因縁の後始を押しつける様な事になってしまった事を申し訳ないと思います。けれどお願いします。』
女神レグリスの言葉に田中も真理子も黙って頷いた。この世界の現状を知ってしまったなら見過ごす事など2人には出来ないのだ。やり遂げる決意は既に魂として呼ばれた時につけていた。
田中と真理子は、すぐさま準備に取りかかった。
「さあ、行くわよ。今度は街の根っこごと綺麗にするわよ」
真理子の目には、確かな決意が宿っていた。
「魔脈探査、開始だ。今度は地下の深層工事だぜ」
ふたりは再び魔法を発動し、街の地下深くへと向かった。
それは、黒い瘴気の正体と、そこから湧き出す魔獣への対応だ。
このまま、それぞれの街で魔獣を個別に浄化すればよいのか――
それとも、もっと根本的な対策が必要なのか。
この問題に関して、田中も真理子もまったくの素人である。
やはり、女神レグリス様に頼るしかない。前に緊急信託があった時になんでも相談してほしいとの言葉を頂いてあるのだ。
近くの神殿で、田中と真理子は神託を求め、深い祈りを捧げた。
――静寂の神殿に、ふたりの祈りの声が響く。
「女神レグリス様……この街を覆う瘴気の正体を教えてください」
やがて、柔らかな光に包まれて、レグリスの声が降りてきた。
『それは封じられた古き災いです。
かつてこの土地では、“穢れ”を流し込むことで大地の力を奪う禁断の術が使われました。』
女神はさらに静かに語り出す。『……その術は、かつて隣国との争いが絶えなかった時代に生まれたのです。
敵国の繁栄を妬んだ王と術師たちが、大地の力を枯らすために穢れを流しこみました。
力に溺れた人々の欲望が、土地そのものを蝕み、穢れが全ての土地に広がり、ついには王や術師たちにも手が負えなくなったのです。
慌てた人類は力を合わせて禁術として封印したのです。』
真理子は息を呑む。
「……私たちの工事が、その封印を揺るがせたというの?」
『いいえ。あなたたちは正しいことをしました。
でも、水脈を整えたことで、地中深くに沈んでいた穢れが動き出したのです。当時は封印するしかなかった“穢れの核“も、今こそ真なる浄化の儀が出来るようになりました。
地中深くにある“穢れの核”を見つけ、神力と技術を重ねて浄化し消してしまえるのです。』
田中が静かに問う。
「……今まで、俺たちは日本の神様の力を借りて、その場その場で魔獣を浄化してきた。それはそれでよかったんでしょうか?」
少しの間を置いて、レグリスの声がそっと降りてきた。
『ええ、それは確かに正しかったのです。
瘴気から湧く魔獣に対して、神の力なくして抗う術はありませんでした。
あなたたちがとってきた行動は、この地にインフラを発展させる為には必要で、大切なことでした。』
真理子は安堵の表情を浮かべた。
『……ですが、それでも私は、あなたたちに頼らざるを得ないこの現状を、本当に申し訳なく思っています。
本来ならば、私たち神々が封じ切るべき過去の過ちでした。
なのに、その後始末を、異なる世界から来たあなたたちに本来なら担うべきではなかった浄化の役目まで……どうか、許してください。』
一拍の沈黙の後、レグリスは、ゆっくりと言葉を紡いだ。
『それでも、今なら根本から断つ方法が見えてきたのです。
あなたたちの神力と技術、その融合が、失われかけたこの大地に生命の息吹きを甦えさせられるかもしれないのです。
勝手を言っているのはわかっています。それでも力を貸していただけるのなら……心から感謝いたします。』
田中と真理子は、静かに頷いた。
「つまり、地中の魔脈の修復だな。俺たちの出番だ」
女神は、さらに言葉を重ねる。
『あなたたちがもつ神力に、私の魔法を重ねてください。 穢れの核は“地中の魔脈の最も深き場所”にあります。
正しき水の流れを導く者にしか辿り着けません。本当に古の因縁の後始を押しつける様な事になってしまった事を申し訳ないと思います。けれどお願いします。』
女神レグリスの言葉に田中も真理子も黙って頷いた。この世界の現状を知ってしまったなら見過ごす事など2人には出来ないのだ。やり遂げる決意は既に魂として呼ばれた時につけていた。
田中と真理子は、すぐさま準備に取りかかった。
「さあ、行くわよ。今度は街の根っこごと綺麗にするわよ」
真理子の目には、確かな決意が宿っていた。
「魔脈探査、開始だ。今度は地下の深層工事だぜ」
ふたりは再び魔法を発動し、街の地下深くへと向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる