息子を訪ねて何万光年?

夢花音

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1章

2話

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意を決して異世界に行くのを今か今かと、待ち望んでいた、美月の部屋の窓の外が突然に真昼のように明るくなった。ヘッドライトの光が部屋の壁を照らし、影が跳ね上がる。眩しさに思わず目を閉じたその瞬間、轟音と共に全身を叩きつけられたような、強い衝撃と痛みが走った。次の瞬間、美月の身体は崩れ落ち、そのまま息絶えた。

 ――大型バイクが、突然二階の美月の部屋に飛び込んできた。運転していたのは、まだあどけない十歳ほどの少女で跨がっているのは、まるで獣のような存在感を放つ真紅の大型バイクだった。その圧倒的な車体の前面には、「ジルド」と刻まれた強化シールド。
どんな高速転移や長距離タイムトラベルにも耐えうるかのような、異様なほどの堅牢さを備えていた。

 ――そう、その少女は、遥か日本の一万年先の未来から来た研究者だった。
少女はバイクと同じ真紅のライダースーツを身にまとい、その小さな身体からは、緊張と焦燥が入り混じった気配が漂っていた。

 慌ててバイクから飛び降りる少女、ナミ。
「嘘……! 家があったなんて! 計算ミス? いや、そんなはずない……」
彼女は震える手でヘルメットを外し、倒れている美月の元へ駆け寄った。
「ちょっと、あなた大丈夫? ねえ……え、やだ! 死んでる!」

ナミの顔が青ざめる。
「どうしよう……時代に干渉しちゃダメなのに!ましてや、死なせてしまうなんて……どうしよう、どうしよう……!」

唇を噛み、必死に考えを巡らせた末、ナミは決意したように立ち上がった。
「……ともかく、このままではまずい。この時代、この世界は固定して――
とにかく、連れて戻りましょう」
ナミはその容姿とはとても似つかわしくない力で美月を軽く抱き抱え、バイクまで戻ると首を傾げた。
「1人用なんだよね。どうしようか……。」
「そうだわ。背中に背負いましょう。」
と非常の紐で美月と自分をしっかり結ぶとエンジンをかけ戻る為に、空間設定とさらに細かく年月日と時間まで設定する。
アクセルを全開にして一瞬で、その場から消えた。
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