【完】鬼に金棒、エルフに恋。※番外編完結

伊藤クロエ

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Ⅴ エルフの恋も信心から 編

アドルティス、初めての……。 ★

「……っふ、……んん……っ」

 あんまりにもがっつきすぎて、上手く息継ぎできなくてヘンな声が漏れてしまう。
 だってよく考えたら俺は今まで誰とも契りを交わしたことがなかったし、もちろん口づけだってしたことがない。だからこの時はもう必死だった。

 とにかくなんでもいいからラカンが欲しい。ラカンのキスも愛撫も、あの容赦なくて意地悪で、でもすっごく俺を気持ちよくさせてくれるセックスも、全部全部俺のものにしたかった。その一心で、ラカンにしがみついて無我夢中で唇を貪る。
 するとラカンが、俺の背中を掴んでぐいっと舌を絡めてキスに答えてくれた。

 ああ、よかった。ラカン、俺とキスしてくれるんだ。
 あれだけ激しいセックスを何度もしておいて、キス程度で何を心配してるんだって言われるかもしれないけど、でもキスとセックスって別物のような気がしないか?
 昔、どこかの酒場の歌姫が話していた気がする。セックスはできてもキスはできない、気持ちがない相手には、って。
 よかった。ラカン、俺とキスできるんだ。俺は思わず泣き出したくなる。よかった。今までわざと避けてたわけじゃなかったんだ。

「お前は本当にめちゃくちゃなやつだな」

 ふと、ラカンが呟く。

「お陰でこっちは振り回されてばっかだ」
「……え……?」

 いや、どう考えてもそれはこっちの台詞だろう。でももうそんなことはどうでも良かった。俺はラカンのがっしりとした顎や傷跡の残る頬を両手で挟んで、精一杯の思いを込めて口づけた。
 触れて、撫でて、吸って、絡めて、与えて奪う。でもやっぱり上手く息が出来なくて仕方なく顔を離すと、一瞬見えたラカンの顔も確かに欲情してた、と思う。その、奥にちらちらと何かが揺らめく目を見ただけでお腹の奥がゾクゾクした。

 ラカンが乱暴な手つきで腰に下げた剣帯をむしり取るように緩める。そしていきなり俺を抱え上げると大股で部屋の片方にある扉を開けて中に入った。

「……え、部屋に風呂……?」
「ああ、凄いだろう」

 そう言って俺をひょい、と降ろすと、壁に埋め込まれた魔石のはめ込まれたコックに触れた。まだ服を着たままなのにいきなり上から湯が降ってきて身体を強張らせる。思わず抗議しようと口を開きかけた時、ラカンが俺の両手を掴んで壁に押し付けると、さっきの俺より乱暴に口づけてきた。

「…………ん、ん…………っ」

 熱くてざらざらした分厚い舌が俺の口の中に入って来る。今まで全くキスしてくれなかったのはなんだったのかと呆れてしまうような無遠慮さと荒々しさで、すでに何度もラカンに抱かれて彼の嵐のような愛撫と責めを知ってしまっている俺の身体はどんどん熱を宿していった。

「……っふ、……ぁ……」

 ラカンが濡れて俺の身体に張りつく服を一枚ずつ剥いでいく。そして俺は降り注ぐ湯を浴びながら壁にもたれて、ラカンが脱いでいくのを蕩けた目で見ていた。

 見れば見るほどラカンは大きい。大きくて硬くて分厚くてものすごく重そうだ。赤銅色の肌も、そして股間のずっしりと大きな逸物もなにもかも俺とは正反対で、つい見蕩れてしまった。

 ああ、すごい。あれが、あんなおおきなものがおれのなかにはいるんだ。
 ラカンのモノはすでに兆し始めていて、赤黒い亀頭がこちらを向いて揺れている。
 ラカンは濡れた髪をかき上げると、こっちに向かって再び手を伸ばしてきた。それを掴んで引き寄せて、ラカンの顔を覗き込む。
 ああ、ようやく間近で、正面からちゃんと顔が見れた。

「……ラカン、疲れてるのか?」

 ラカンの目を下をそっと親指で撫でながら聞くと、ラカンは一瞬目を見開いてから答えた。

「……いや、今はそうでもないな」

 そしてニヤッと笑う。

「お前が元気にしてくれるんじゃないのか?」

 その言い草に思わず俺も笑ってしまった。だから少し半目になって言ってやる。

「ああ、だが俺も今、具合が悪いんだ」
「何?」

 ラカンがぐっと眉を顰めた。

「ラカン欠乏症という病だな」

 ぱちくりと瞬きをするラカンの手を取り、ぺろっと舌先で舐める。ごつごつしてて骨の太さがよくわかる大きな手だ。この手が、指が、どんなに俺をいやらしく責めたてたか一生忘れられないだろうな。
 俺はラカンの長くて節くれだった指を咥えて、根元から短く切られた爪の先までちゅぷちゅぷ吸い上げながら舌を絡める。そしてちらっとラカンを見上げた。

「ラカン……ラカンが、ほしくてたまんない」

 ラカンの帰りをずっと一人で待ってて、今夜だってラカンに飛びつきたいのを必死に我慢しながらお行儀よく隣に座ってた。でももう我慢できない。
 ラカンにぎゅって抱きしめられたい。ぴったりくっついてすぐ近くでラカンの顔を見て、低くて少し擦れたいつもの声で名前を呼んで欲しい。恥ずかしくてとても口に出しては言えないけれど。

 その時、ラカンの目にあの光がふいに宿った。鬼が獲物を見つけた時のあの目の光。
 でも俺はラカンの手を掴んだまま離さなかった。そして背伸びしてそっと触れるだけのキスをした後、舌先を伸ばしてラカンの尖った牙をちろっと舐める。あんたに食われるの大好きだけど、今はその牙は仕舞っておいて。そんな気持ちを込めて。

 俺はラカンの、まさに戦うための筋肉に覆われた身体に触れた。そして壁の棚に小さな石鹸が置かれているのに気づく。さすがダナンでも指折りの宿だな。部屋で湯が浴びれるってだけでもすごく驚いたのに。
 俺は薄い黄色のそれをとって匂いを嗅ぐ。多分リールの実の絞り汁を混ぜてあるんだな。いい匂いだ。

 俺は両手で石鹸を泡立てて、何日もぶっつづけで野宿して疲れただろうラカンの身体をこすってやる。時々くすぐったいみたいに首をすくめてたけど、あんただって俺の意思なんて関係なしに好き放題やってきたんだからちょっとくらい我慢してもらおう。

 後ろからラカンの背中にキスをして、それからちょっと屈んで貰って髪を洗ってやる。黒光りしてる短い角にうっかり指が当たってしまうのがすごく不思議な感覚だった。
 ラカンの頭や肩や胸を洗っている間も、俺が昔から何度も見とれたバネの塊みたいな強靭な腿に自分の足を擦り付けたり、ラカンの胸や背中に自分の身体を押し付けたりして久々のその感触を味わう。
 ふとした拍子に俺のモノとラカンのモノがかすって、思わず身体が跳ねそうになった。するとラカンが喉の奥で笑うのが聞こえて俺はゾクゾクと感じてしまう。

 はあぁ……、ラカンだ。ほんとにラカンがここにいるんだ。
 そのまま視線を下ろすと、度々互いの身体に擦れ合ってた二人のモノが確実に勃ち上がりつつあった。俺はぽーっとした頭でラカンの腰を両手で掴んでソコに自分のモノを押し付けて上下に擦りだす。するとラカンがおかしそうに喉の奥で笑った。そしてこちらの動きに合わせるように腰を揺らし始める。

「あっ、んっ、んっ」
「フッ、ハッ、ハ……ッ」

 二人の荒い息が浴室にこだまする。ああ、なんだこれ。すごい、すごい興奮する。ラカンにぴったりと一分の隙もなく上半身をくっつけて、ペニスを押し付け合って、いやらしく腰を上下させて。

「ん……っ、あっ」

 俺はラカンのぶっとい胴体に腕を回してしがみつく。するとラカンが俺の尻を両手で掴んでますます強く俺のモノとラカンのモノを擦り合わせた。
 ラカンの分厚い胸に頬をすりすりしながら俺はかなり馬鹿になった頭で考える。今日のラカンは、いつもみたいに自分からガンガン攻めてこないで、俺のしたいようにやらせてくれてる。それが俺はうれしい。

 でもこうやって擦り付けあってるだけでは正直刺激としては全然足りない。さっきからもっと強い快感が欲しくてたまんない。俺がそう思うってことはラカンだってきっと同じだ。
 とうとう我慢できずに俺はラカンから上半身を引き剥がすと、俺たちの腹の間でガチガチに勃っているペニスに手を伸ばす。ところがその手が二人のモノに触れる直前、ラカンに掴まれてしまった。
 突然のことにビクッてなると、ラカンは俺をなだめるみたいに親指の腹で俺の手首の内側を撫でてくれる。そして俺の手を引いて位置を入れ替えた。
 俺は背中をタイルの壁に押し付けられて、ラカンの挙動を息を飲んで見守る。するとラカンがニヤッと笑って、俺の身体に唇を這わせながらゆっくりとしゃがんでいった。

 ラカンの唇が俺の喉元を滑り落ちる。喉仏を小さく舐められ、鎖骨に軽く歯を立てられる。そのまま更に下へ降りて、期待に震えている俺の乳首を含んでちゅうっと吸った。反対の乳首を指でやさしく擦られて、それはあっという間に硬く尖り始める。
 うう……、我ながらなんてだらしのない身体だろう。恥ずかしくてたまらないのに、俺はドキドキしながらさらに胸を突き出して、もっと♡ もっと舐めて♡ もっとソコにキスして♡ って全身で訴えてしまってる。

 なのにラカンの唇と指先はあっさりと俺のはしたない、ぷっくりと膨らんだ乳首から離れて更に下へと向かう。腹筋の溝をなぞり、ヘソの穴を舌先で突かれて思わずひくん、と腰が揺れた。
 え、うそ、まさかこんなとこまで感じるとか言うんじゃないよな、俺。いくらなんでもそれはないだろう……!?

 動揺する俺を笑うようにラカンの肩が小さく揺れた。う、うるさい。ほっといてくれ。すると次の瞬間、ヘソにあったラカンの舌がまた滑り落ち、舌と指で梳くように濡れた薄い毛を掻き分けながら、ガチガチに勃起して先走りを垂らしている俺のモノへとたどり着いた。
 え。まさか。
 一瞬、息が止まる。ラカンは俺の前にひざまづいてこちらを見上げるだけで動こうとしない。けどその口元にはあの獣じみた笑みが浮かんでいる。

 ああ、でも、そんな。

 止まった心臓が再び、一層激しく脈打ち始める。体中の血液が股間のその一点に集まりだすのがわかる。喉がカラカラに渇いて、俺は興奮を抑えきれずに震える熱い息を吐き出す。
 俺がラカンの髪をかき混ぜるようにしてから掴むと、ラカンの笑みが一層深くなった。俺もだらしなく微笑むと、ラカンの頭を恐る恐る自分の股間に押し付ける。それと同時にラカンが口を開けて俺のモノを飲み込んだ。思わず俺の喉の奥でひゅっと音が鳴る。

「ひ…………ぁあっ!」

 ラカンの暖かい口の中で、ざらついた舌が俺のモノに絡み付いてくる。たまらず俺は声を上げてしまった。
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