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【第二部】東の国アル・ハダール
87 東の国境の神殿
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東の国境近くにあるという神殿までの旅は意外なほど順調だった。
天気が良かったのはもちろんだけど、僕がかなり馬に慣れてきてたってのが一番大きい。なんせ毎日乗ってたからね。
しかし今回僕が乗っているのは例の黒王号(仮)ではない。
というのも黒王号、賢いしタフだしどんな難所やちょっと障害物のあるような場所でも勝手に最善のルートで走ってくれるのとってもありがたかったんだけど、なんせ体格が良すぎる。つまり高さがありすぎて一人じゃ乗り降りできないし、胴回りも太すぎて僕の体格ではこっちの世界で標準の立ち乗りが出来ないのだ。
ウェスタン映画なんかで見る『鞍の上に座って乗る』のと違って、こっちは鐙が長くて、ほとんど足を伸ばして立ち乗りしてるのに近い。
この方が長時間乗るのに疲れにくいし、踏ん張りがきいて武器の取り回しも上手くいくんだそうだ。
今回の宰相さんとダルガートの方針は『一刻も早く神殿についてできるだけ早く帰ってこよう』らしい。仲は悪くてもこういう仕事の面ではちゃんと意志のすり合わせができてるってのが大人って偉いなぁって思う。
で、僕もかなり馬に慣れてきたし、今回は毎日の練習で乗ってたごく普通の栗毛の馬で来ている。もちろん立ち乗りで、だ。これだと休憩時間を減らして長く走れるので早く着く、とう寸法。じゃあ黒王号は帝都でお留守番なのかっていうと……。
「…………すごい迫力だ……」
「ははっ、確かに!」
思わず漏れた独り言にヤハルが元気よく答えてくれる。
そう、黒王号は今回ダルガートが乗っているのだ…………。すごいよなんか地響きとか起こりそう……さすが世紀末覇者…………。
それはともかく道中トラブルもなく、帝都を出発して十日目の昼に東の国境の神殿に着いた。
「長旅お疲れ様でございました」
そう言って頭を下げるのはここまで案内してくれたナルドという中年の神官だ。そう、あの政堂で大騒ぎしていたグループの代表者だ。
「我らが東の神殿に神子様をお迎えできたこと、歓喜の極みにございます」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
とりあえずそう答えて頭を下げた。
ヤハルの取り調べによると、ナルド神官たちはやっぱり東の国境の渇水を『慈雨の神子』になんとかして欲しい一心で帝都まで来たらしい。そんな彼に僕が「神殿に行く」と答えると、涙を流して感謝してくれた。
多分悪い人じゃあないんだろう……。それだけ切羽詰まってたってことなんだよね、きっと……。
それに僕が一番ビビった『神子を宮殿に閉じ込め神殿へ戻さないのはなぜか』みたいな発言は旅の間一度もなかったのでちょっとホッとした。
神殿の前で馬を降りると、中から何人かの神官や傍仕えらしき人たちが走って出てくる。
「ナルド様!」
「まさかそちらのお方は……」
「喜べ! ついに『慈雨の神子』様がいらっしゃられたぞ!」
「おお……!」
なんだかすごく盛り上がって、一斉に僕の足元に両膝を突いて頭を下げてくるから思わずビビッてしまった。
「神子様、どうぞ我らをお助け願います!」
「小麦はおろか牧草も枯れ、このままではこのアーケルの地は……!」
何か言わなきゃ、と思うけどこういうのに慣れていない僕は咄嗟に言葉が出てこない。すると今回一緒にここまで来ていたアスールという人がパッと前に出て彼らに言った。
「まずは神子様にお休みいただく部屋へ案内して頂きたい。話はそれからゆっくりお聞きしましょう」
すると彼らはお互い顔を見合わせると、もう一度頭を下げて僕たちの神殿の中へと案内してくれた。
このアスールという人は帝都にある中央神殿の神官らしい。
右も左もわからない僕や、基本神殿とは無関係な立場であるダルガートやヤハルに代わって、こちらの神殿との折衝のために宰相さんがつけてくれた人だ。
早速助けてもらって、宰相さんの先見の明に密かに感謝する。
僕が案内されたのは神殿の東翼の来客用の部屋だった。続き部屋になっていて、隣にダルガートやヤハルにアスール神官、そして一緒に来ている騎士たちが休む部屋があるらしい。
それから例によって例のごとくお茶を振舞われながら、この神殿のナルド神官の話を聞いた。
ナルド神官はこの神殿の上級神官で、下級神官やさらにその下の人たちを纏めている立場らしい。ここには上級神官が二人いて、トップに神殿長がいるのだそうだ。
「神殿長様は只今神殿を離れておられますが、使いをやりましたのですぐこちらに戻って来られるかと」
「あの、それで早速ですがこの辺りの地図はありますか? 元々、川やそういったものがあったのかどうか、そういうのも合わせて現状を教えて頂きたいんですが……」
そう尋ねると、一瞬奇妙な空白がナルド神官の顔に現れた。思わずあのオアシスの聖廟で見た、感情が抜け落ちたようなサイードさんの顔を思い出してぞくっとする。
ところがふと我に返ったようにナルド神官は頷いて、傍仕えの人に命じて地図を持ってこさせた。
「これがこのアーケル領の絵図にございます」
帝都で勉強している時に習ったことだけど、このアル・ハダールは封建制度をとっていて、カハル皇帝を頂点にしてその下に各地の領地を預かる領主がいる。
領主は自分の領地を守り治め、年に二回『カタール』と呼ばれる租税をカハル皇帝に治めるのだそうだ。ところがここ数年、このアーケル領では渇水と異民族の侵入でとても税を治められる状況になく、逆に中央の方から国境を守る兵を増やすための助成金が出ているんだそうだ。
ちなみに国境を守るのは中央から派遣された兵じゃなくて、その領地の領主が雇ってる私兵らしい。
「領地のほぼ中央にこの神殿があり、北に領主の館がございます。大きな川や湖などは元からなく、しかし各地に井戸が掘られそこから生活に必要なだけの水は得られておりました。ですが三十年ほど前から井戸の水が徐々に減っていき、今では住民たちの飲み水を確保するのが精一杯の有様で……」
「三十年前?」
思わずそう聞き返すと、ナルド神官はちょっと驚いたように頷いた。
「さようにございますが、何か……」
「あ、いえ、なんでもないです」
でもおかしいな、と僕は首を傾げる。
これまで旅の途中や帝都でも、あちこちで国内の治水に関することを聞いて来た。そこで共通してたのは『約二十年前から水が減り始めた』ということだ。
ちなみにこの『二十年前』というのはイスタリア王国にいた先代の神子が病死した年だということをイスタリアの騎士・クリスティアンさんから聞いて知っている。
でもこの地方で水が減ったのは三十年前らしい。この十年のズレは一体何なんだろうか。
それにこの間のオアシスみたいに、分かりやすい大きな水の供給地があるわけじゃないってこともわかった。
こういう場合、一体どうするのが一番手っ取り早くて効果的なんだろう?
天気が良かったのはもちろんだけど、僕がかなり馬に慣れてきてたってのが一番大きい。なんせ毎日乗ってたからね。
しかし今回僕が乗っているのは例の黒王号(仮)ではない。
というのも黒王号、賢いしタフだしどんな難所やちょっと障害物のあるような場所でも勝手に最善のルートで走ってくれるのとってもありがたかったんだけど、なんせ体格が良すぎる。つまり高さがありすぎて一人じゃ乗り降りできないし、胴回りも太すぎて僕の体格ではこっちの世界で標準の立ち乗りが出来ないのだ。
ウェスタン映画なんかで見る『鞍の上に座って乗る』のと違って、こっちは鐙が長くて、ほとんど足を伸ばして立ち乗りしてるのに近い。
この方が長時間乗るのに疲れにくいし、踏ん張りがきいて武器の取り回しも上手くいくんだそうだ。
今回の宰相さんとダルガートの方針は『一刻も早く神殿についてできるだけ早く帰ってこよう』らしい。仲は悪くてもこういう仕事の面ではちゃんと意志のすり合わせができてるってのが大人って偉いなぁって思う。
で、僕もかなり馬に慣れてきたし、今回は毎日の練習で乗ってたごく普通の栗毛の馬で来ている。もちろん立ち乗りで、だ。これだと休憩時間を減らして長く走れるので早く着く、とう寸法。じゃあ黒王号は帝都でお留守番なのかっていうと……。
「…………すごい迫力だ……」
「ははっ、確かに!」
思わず漏れた独り言にヤハルが元気よく答えてくれる。
そう、黒王号は今回ダルガートが乗っているのだ…………。すごいよなんか地響きとか起こりそう……さすが世紀末覇者…………。
それはともかく道中トラブルもなく、帝都を出発して十日目の昼に東の国境の神殿に着いた。
「長旅お疲れ様でございました」
そう言って頭を下げるのはここまで案内してくれたナルドという中年の神官だ。そう、あの政堂で大騒ぎしていたグループの代表者だ。
「我らが東の神殿に神子様をお迎えできたこと、歓喜の極みにございます」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
とりあえずそう答えて頭を下げた。
ヤハルの取り調べによると、ナルド神官たちはやっぱり東の国境の渇水を『慈雨の神子』になんとかして欲しい一心で帝都まで来たらしい。そんな彼に僕が「神殿に行く」と答えると、涙を流して感謝してくれた。
多分悪い人じゃあないんだろう……。それだけ切羽詰まってたってことなんだよね、きっと……。
それに僕が一番ビビった『神子を宮殿に閉じ込め神殿へ戻さないのはなぜか』みたいな発言は旅の間一度もなかったのでちょっとホッとした。
神殿の前で馬を降りると、中から何人かの神官や傍仕えらしき人たちが走って出てくる。
「ナルド様!」
「まさかそちらのお方は……」
「喜べ! ついに『慈雨の神子』様がいらっしゃられたぞ!」
「おお……!」
なんだかすごく盛り上がって、一斉に僕の足元に両膝を突いて頭を下げてくるから思わずビビッてしまった。
「神子様、どうぞ我らをお助け願います!」
「小麦はおろか牧草も枯れ、このままではこのアーケルの地は……!」
何か言わなきゃ、と思うけどこういうのに慣れていない僕は咄嗟に言葉が出てこない。すると今回一緒にここまで来ていたアスールという人がパッと前に出て彼らに言った。
「まずは神子様にお休みいただく部屋へ案内して頂きたい。話はそれからゆっくりお聞きしましょう」
すると彼らはお互い顔を見合わせると、もう一度頭を下げて僕たちの神殿の中へと案内してくれた。
このアスールという人は帝都にある中央神殿の神官らしい。
右も左もわからない僕や、基本神殿とは無関係な立場であるダルガートやヤハルに代わって、こちらの神殿との折衝のために宰相さんがつけてくれた人だ。
早速助けてもらって、宰相さんの先見の明に密かに感謝する。
僕が案内されたのは神殿の東翼の来客用の部屋だった。続き部屋になっていて、隣にダルガートやヤハルにアスール神官、そして一緒に来ている騎士たちが休む部屋があるらしい。
それから例によって例のごとくお茶を振舞われながら、この神殿のナルド神官の話を聞いた。
ナルド神官はこの神殿の上級神官で、下級神官やさらにその下の人たちを纏めている立場らしい。ここには上級神官が二人いて、トップに神殿長がいるのだそうだ。
「神殿長様は只今神殿を離れておられますが、使いをやりましたのですぐこちらに戻って来られるかと」
「あの、それで早速ですがこの辺りの地図はありますか? 元々、川やそういったものがあったのかどうか、そういうのも合わせて現状を教えて頂きたいんですが……」
そう尋ねると、一瞬奇妙な空白がナルド神官の顔に現れた。思わずあのオアシスの聖廟で見た、感情が抜け落ちたようなサイードさんの顔を思い出してぞくっとする。
ところがふと我に返ったようにナルド神官は頷いて、傍仕えの人に命じて地図を持ってこさせた。
「これがこのアーケル領の絵図にございます」
帝都で勉強している時に習ったことだけど、このアル・ハダールは封建制度をとっていて、カハル皇帝を頂点にしてその下に各地の領地を預かる領主がいる。
領主は自分の領地を守り治め、年に二回『カタール』と呼ばれる租税をカハル皇帝に治めるのだそうだ。ところがここ数年、このアーケル領では渇水と異民族の侵入でとても税を治められる状況になく、逆に中央の方から国境を守る兵を増やすための助成金が出ているんだそうだ。
ちなみに国境を守るのは中央から派遣された兵じゃなくて、その領地の領主が雇ってる私兵らしい。
「領地のほぼ中央にこの神殿があり、北に領主の館がございます。大きな川や湖などは元からなく、しかし各地に井戸が掘られそこから生活に必要なだけの水は得られておりました。ですが三十年ほど前から井戸の水が徐々に減っていき、今では住民たちの飲み水を確保するのが精一杯の有様で……」
「三十年前?」
思わずそう聞き返すと、ナルド神官はちょっと驚いたように頷いた。
「さようにございますが、何か……」
「あ、いえ、なんでもないです」
でもおかしいな、と僕は首を傾げる。
これまで旅の途中や帝都でも、あちこちで国内の治水に関することを聞いて来た。そこで共通してたのは『約二十年前から水が減り始めた』ということだ。
ちなみにこの『二十年前』というのはイスタリア王国にいた先代の神子が病死した年だということをイスタリアの騎士・クリスティアンさんから聞いて知っている。
でもこの地方で水が減ったのは三十年前らしい。この十年のズレは一体何なんだろうか。
それにこの間のオアシスみたいに、分かりやすい大きな水の供給地があるわけじゃないってこともわかった。
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