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【第二部】東の国アル・ハダール
閑話 冷めぬ欲★(サイード)
サイードはカイの手と身体を掴んで立ち上がる。そして先程のサイードの視線に気づいてやってきたヤハルに言った。
「先に休む。カイは疲れているようだ」
「はっ、それではすぐに身を清める湯をお持ちします」
「頼む」
薄く口を開いたまま火照った顔でサイードを見上げているカイを毛布で隠す。そして自分より小さな肩を抱き寄せると、浮かれ騒いでいる者たちに気づかれぬよう気配を殺して天幕へ連れ去った。
途中、目敏くこちらに気づいたカハルが何か言いかけたようだったが、後ろからダルガートに酒の壺を渡されて気が逸れた。
一瞬ダルガートがサイードを見て微かに目を細める。数日前に遊牧民の一家の幕家でカイと再会した時と同じ彼の気遣いに感謝しながらサイードは宴の喧騒から抜け出した。
カイが熱を出して伏せていた時にカハルより与えられた天幕は決して広くはないが、カハルや領主ラムナガルの心遣いで野営用の組み立て式の簡素な寝台には厚い毛布が敷かれ、火櫃や外の冷気を遮る衝立も置かれて温かく整えられている。
サイードはカイを抱き上げて寝台に下ろすと、頭から被せた毛布と被り布を剥ぎ取った。そしてずっと触れたくてたまらなかった柔らかな唇に食らいつくように口づける。
「ん……っ」
腕を伸ばしてしがみついて拙いながらも懸命にサイードの舌に応えてくれるカイが愛しくてたまらない。
カイは何度夜をともにしても慣れぬ様子で顔を真っ赤にしながらも、全てをサイードに預け、受け入れてくれる。いつもはそんなカイを大事に大事に優しく抱いてひたすら快楽だけを与えて可愛がってやりたいと思うのに、今はとにかく彼の肌に直接触れてその体温を感じ、何もかも奪い尽くしてその熱を食らいたかった。
「サイード様」
天幕の外からヤハルの声がする。サイードは名残惜しいのを堪えて深々と口づけると、カイから身を引き剥がすようにして天幕の入口に行った。
「湯をお持ちしました」
「ああ」
ヤハルから湯気のたつ木桶を受け取り「ここはもういい」とだけ言う。するとヤハルはサイードのそっけなさに一瞬呑まれたような顔をしたが、すぐに拳を胸に当てて礼をとった。
サイードはぶ厚い二重の天幕を締めて寝台へ戻る。するとまるで先程のキスに酔ったかのように呆けた顔でカイが寝台に座ってサイードを見ていた。
サイードは床に木桶を置くと布を濡らして軽く絞る。そしてカイの服を緩めて少しずつその肌を露わにしながら、全身を愛撫するように拭いて清めた。
「ん……っ……、あ、っ」
サイードが触れ、白い首筋やツンと尖った胸の先端や脇腹や両足の付け根の際どいところを拭うたびにカイが小さく声を上げる。大勢の人がいる外を憚ってか、拳で口を押えながら息を荒げているカイがあまりにも愛らしく煽情的で、サイードはカイの服を脱がせるのもそこそこに寝台に組み敷いた。
「サイードさ……」
驚いたように声を上げかけた唇を再び塞いで圧し掛かる。
(駄目だ。我慢できない)
欲しくて欲しくてたまらない。今すぐカイの全てを味わい尽くしたい。
「んっ、っふ、んちゅ、ふ……んっ」
甘い口内を思う存分貪って、上手く息が出来ずに弾ませているカイの胸を手のひらで覆って揉みしだく。指の付け根の堅い肉刺に乳首が当たるとカイの口から甘い声が漏れた。
「ふ、っ、ん、っぅ、あ、んっ」
カイの細い腰を抱え込んで仰け反る喉に唇を這わせ、期待に震える乳首を乳輪ごと咥えて舐めて吸う。その間も纏わりつく服の隙間から手を挿し込んで小さな尻を掴み、すでに兆し始めているカイの股間に自分の腹を擦りつけた。
「サ、サイード、さ……っ、ひうんっ!」
サイードはそのまま身体を下へとずらしてカイのモノを咥え込んだ。
「う、うそ……っ、だ、だめ、だめ、サイード、さん……っ!」
カイがサイードの髪を掴み、声を押し殺しながらも必死に言い募る。だがサイードよりも一回りも二回りも小柄な彼が力で敵うはずもなく、不意に息を詰めてサイードの頭を抱え込み、ビクビクと身体を震わせた。
「~~~~~ッ!!」
サイードがカイが達した証を飲み込むと、カイは信じられないと言わんばかりの顔をして硬直していた。
「どうした? カイもしてくれていることだろう」
「そ……、そうだけ、ど……っ」
今まで以上に顔を赤くして震えているカイを見ながら、傍らに置かれた水差しを掴んで直に飲む。そしてカイの荷物を開けて乾燥から肌を守るラヴァンドラの香油を取り出すと、たっぷりと手のひらに落とした。これからされることを予感したのか、カイがピクンと肩を跳ね上げる。
サイードはいつになく狂暴で貪欲な感情がこみ上げてきそうになるのを抑えながら、カイの上に圧し掛かり足を開かせて香油にまみれた手を奥へと滑らせた。
「あっ」
昨夜サイードが指でたっぷりと愛撫してやったソコは、再びサイードの指を喜んで受け入れてきゅうきゅうと締め付けてくる。
「んっ、あっ、いい、きもちいい、……っ、サイードさん、ゆび、きもち、いい……っ」
いつもなら散々責め立てられて快感に溺れてしまうまでは恥ずかしがって言葉に出さないカイが、今日はひどく素直に自らの官能を伝えてくる。おそらくサイードの不在の間にダルガートにそう躾けられたのだろう。
「や、そこ、ぐりぐり、するの、あっ! きもちいい、もっと、もっと、して……ひうっ」
サイードはカイの声を聞くのが好きだ。
初めて見る食べ物や生き物に驚いてサイードに尋ねてくる声や、時々言葉を詰まらせながらも一生懸命思うことを話してくれるのも、そして深夜ベールを落とした寝台で自分たちに抱かれて身も世もなく泣いて喘ぐ声も。
だから今、カイがサイードの愛撫に応えて「気持ちがいい、もっとして」と言葉にして甘えてくるのがたまらなく嬉しかった。
「そんなに気持ちがいいか、カイ」
「んっ、い、イイ、ゆび、きもち、いい、きもちいい……っ」
「そうか」
「ひ、ぁ……っ」
指を一本から二本、そして三本と増やしながら狭い肉壁を押し広げ、ふっくらと盛り上がった場所をぬるぬると擦っては押し潰す。そのたびにカイの身体が小さく跳ねて開きっぱなしの口から呑み込み切れない声と唾液が零れ落ちた。
「あ……っ、サイードさん、んっ、サイードさん、すき、すき……っ」
何度もそう繰り返し、サイードの指を呑み込んで白い内腿をひくひくと震わせているカイの姿に思わず目をすがめた。
「……すまない、カイ。今夜は本当に手加減してやれないかもしれない」
「え、なに……ひんっ!」
ずるり、と指を引き抜くとカイが小さく悲鳴を上げる。すると突然、天幕の外で何かに沸き返るような笑い声がどっと上がった。カイの肩がビクンと震え、一瞬その表情が強張る。けれどサイードが着ていた物を脱ぎ捨て、カイの足を開かせてその間に自らの腰をねじ込むと、息を呑んで二人の身体が合わさったソコを凝視した。
滴るラヴァンドラの香油とサイードの指に柔らかく融かされた後腔に硬く勃ち上がったモノを押し当てる。すると少し赤らんだカイのソコが早く、早く、とねだるように吸い付いてきた。
「……くそっ」
サイードは歯を食いしばると、できるだけゆっくりと慎重にカイの中へと自分のモノを潜り込ませていく。
「あ……っ」
カイが両手で口を塞ぎ、きゅっと目を瞑った。その身体を抱え込んで少しずつ奥へと押し開いていく。そしてようやく全てを収めると深々と息を吐きだした。
「大丈夫か?」
しっとりと汗ばんだ前髪を掻き上げてやりながら尋ねると、カイが小さく頷く。ほんのわずかでも動けばねっとりと絡みついてくるきつくて狭い感触に、一発でもっていかれそうだった。
めちゃくちゃに腰を動かしたい衝動に耐えながら、カイの身体が馴染むまでサイードは待つ。
「サ、サイード、さん」
カイが濡れた黒い目でサイードを見上げて囁いた。
「サイードさん、好き。会えてうれしい、ずっと会いたかった」
「…………ああ、俺もだ」
わざと煽っているのかと疑いそうになりながらサイードはカイの唇に食らいつく。そしてそのままぐい、と最奥を抉るように突き上げた。
「~~~~っ!」
カイの口から漏れかけた悲鳴のような嬌声を自らの口で塞ぎながら、サイードは何度も貫き、責め立てた。
「ひっ! んっ、んぐ、……っ、ふぁ、……っ!」
カイがサイードにぎゅうぎゅうと抱きつきながら喘ぐ。その時、天幕のすぐ向こうから誰かの話し声がした。途端に身を強張らせるカイを抱きしめて動きを止めたが、しばらくしてその肩からわずかに力が抜けた瞬間、再び腰を揺らし始めた。
「あっ、や、サ、サイード、さん、ど、どうしよう、こえ、だめ……っ、んっ」
慌てて敷布を掴んで口を塞ぐカイを見下ろしながら、サイードは熱く狭い隘路をこじ開けて挿れては引き、また突いては入り口近くまで引き抜く。ぬめる粘膜を引きずるように何度も何度もナカを行き来していると、漏れ聞こえるカイの声がどうしようもなくぐずぐずと甘く蕩けていった。
「っふ、んっ、んっ、ひぁ、ん……っ」
誰かがこの野営地に持ち込んでいたのか、天幕越しに弦楽器の音色が遠く聞こえてくる。それに合わせて皆が手拍子を打ち歌を歌う。それは北の大地にラハル神の息吹が届き、冬の狼に囚われ眠らされていた春の女神がついに目を覚ます、という歌だった。
「んっ、ゃ、あっ、んんっ、んぐっ」
背中を丸めて必死に声を殺すカイを抱き込み、サイードはどくどくと熱い精を注ぎ込む。するとカイも小さく痙攣して二人の腹にとぷり、と白濁が溢れ出た。
「上手にイけるようになったな。ダルガートに教えて貰ったか?」
サイードが顰めた声で尋ねると、カイが耳まで赤くして俯く。あまりにも男の劣情をそそるその顔にサイードは微笑んで、今度はカイを後ろから抱きすくめてゆるゆると責め始めた。
「あっ! や、またおおきく、ん、ひぐ、っ」
(駄目だ、もっと、もっと欲しい。まだ全然足りない)
すまないと思いつつもカイを求める気持ちがどうしても抑えきれない。今度は優しく、と思っていたのに気づけばガツガツとカイを貪り尽くそうとしている。これでは獣と同じだ。
サイードはきつく奥歯を噛みしめてから、カイの頬を撫でて尋ねた。
「カイ、身体はどうだ。熱は? 辛ければここで止める」
するとカイが一瞬驚いたように目を見開く。そしてうろうろと視線を泳がせてからそっと答えた。
「…………そ、それは、あの、大丈夫、です」
「本当に? 無理をしていないか?」
重ねて問えば、カイが小さく頷く。
「そうか」
それ以上はサイードも自分を抑えることができなかった。
「や……っ、だめ、な、ナカ、あ、またイっちゃう、こえ、でちゃう……っ」
「ここが好きだろう? 気持ちがいいか? カイ」
「ん……っ、いい、きもちいい、あ、ソコ、や、イイ、イイ……っ」
泣きそうな声で呟くカイの口を再びキスで塞ぐ。
そしてサイードはリュートの音色と男たちの歓声と、カイの甘く蕩け切った喘ぎ声に耳を傾けながら、久々の逢瀬を心ゆくまで堪能し尽くした。
「先に休む。カイは疲れているようだ」
「はっ、それではすぐに身を清める湯をお持ちします」
「頼む」
薄く口を開いたまま火照った顔でサイードを見上げているカイを毛布で隠す。そして自分より小さな肩を抱き寄せると、浮かれ騒いでいる者たちに気づかれぬよう気配を殺して天幕へ連れ去った。
途中、目敏くこちらに気づいたカハルが何か言いかけたようだったが、後ろからダルガートに酒の壺を渡されて気が逸れた。
一瞬ダルガートがサイードを見て微かに目を細める。数日前に遊牧民の一家の幕家でカイと再会した時と同じ彼の気遣いに感謝しながらサイードは宴の喧騒から抜け出した。
カイが熱を出して伏せていた時にカハルより与えられた天幕は決して広くはないが、カハルや領主ラムナガルの心遣いで野営用の組み立て式の簡素な寝台には厚い毛布が敷かれ、火櫃や外の冷気を遮る衝立も置かれて温かく整えられている。
サイードはカイを抱き上げて寝台に下ろすと、頭から被せた毛布と被り布を剥ぎ取った。そしてずっと触れたくてたまらなかった柔らかな唇に食らいつくように口づける。
「ん……っ」
腕を伸ばしてしがみついて拙いながらも懸命にサイードの舌に応えてくれるカイが愛しくてたまらない。
カイは何度夜をともにしても慣れぬ様子で顔を真っ赤にしながらも、全てをサイードに預け、受け入れてくれる。いつもはそんなカイを大事に大事に優しく抱いてひたすら快楽だけを与えて可愛がってやりたいと思うのに、今はとにかく彼の肌に直接触れてその体温を感じ、何もかも奪い尽くしてその熱を食らいたかった。
「サイード様」
天幕の外からヤハルの声がする。サイードは名残惜しいのを堪えて深々と口づけると、カイから身を引き剥がすようにして天幕の入口に行った。
「湯をお持ちしました」
「ああ」
ヤハルから湯気のたつ木桶を受け取り「ここはもういい」とだけ言う。するとヤハルはサイードのそっけなさに一瞬呑まれたような顔をしたが、すぐに拳を胸に当てて礼をとった。
サイードはぶ厚い二重の天幕を締めて寝台へ戻る。するとまるで先程のキスに酔ったかのように呆けた顔でカイが寝台に座ってサイードを見ていた。
サイードは床に木桶を置くと布を濡らして軽く絞る。そしてカイの服を緩めて少しずつその肌を露わにしながら、全身を愛撫するように拭いて清めた。
「ん……っ……、あ、っ」
サイードが触れ、白い首筋やツンと尖った胸の先端や脇腹や両足の付け根の際どいところを拭うたびにカイが小さく声を上げる。大勢の人がいる外を憚ってか、拳で口を押えながら息を荒げているカイがあまりにも愛らしく煽情的で、サイードはカイの服を脱がせるのもそこそこに寝台に組み敷いた。
「サイードさ……」
驚いたように声を上げかけた唇を再び塞いで圧し掛かる。
(駄目だ。我慢できない)
欲しくて欲しくてたまらない。今すぐカイの全てを味わい尽くしたい。
「んっ、っふ、んちゅ、ふ……んっ」
甘い口内を思う存分貪って、上手く息が出来ずに弾ませているカイの胸を手のひらで覆って揉みしだく。指の付け根の堅い肉刺に乳首が当たるとカイの口から甘い声が漏れた。
「ふ、っ、ん、っぅ、あ、んっ」
カイの細い腰を抱え込んで仰け反る喉に唇を這わせ、期待に震える乳首を乳輪ごと咥えて舐めて吸う。その間も纏わりつく服の隙間から手を挿し込んで小さな尻を掴み、すでに兆し始めているカイの股間に自分の腹を擦りつけた。
「サ、サイード、さ……っ、ひうんっ!」
サイードはそのまま身体を下へとずらしてカイのモノを咥え込んだ。
「う、うそ……っ、だ、だめ、だめ、サイード、さん……っ!」
カイがサイードの髪を掴み、声を押し殺しながらも必死に言い募る。だがサイードよりも一回りも二回りも小柄な彼が力で敵うはずもなく、不意に息を詰めてサイードの頭を抱え込み、ビクビクと身体を震わせた。
「~~~~~ッ!!」
サイードがカイが達した証を飲み込むと、カイは信じられないと言わんばかりの顔をして硬直していた。
「どうした? カイもしてくれていることだろう」
「そ……、そうだけ、ど……っ」
今まで以上に顔を赤くして震えているカイを見ながら、傍らに置かれた水差しを掴んで直に飲む。そしてカイの荷物を開けて乾燥から肌を守るラヴァンドラの香油を取り出すと、たっぷりと手のひらに落とした。これからされることを予感したのか、カイがピクンと肩を跳ね上げる。
サイードはいつになく狂暴で貪欲な感情がこみ上げてきそうになるのを抑えながら、カイの上に圧し掛かり足を開かせて香油にまみれた手を奥へと滑らせた。
「あっ」
昨夜サイードが指でたっぷりと愛撫してやったソコは、再びサイードの指を喜んで受け入れてきゅうきゅうと締め付けてくる。
「んっ、あっ、いい、きもちいい、……っ、サイードさん、ゆび、きもち、いい……っ」
いつもなら散々責め立てられて快感に溺れてしまうまでは恥ずかしがって言葉に出さないカイが、今日はひどく素直に自らの官能を伝えてくる。おそらくサイードの不在の間にダルガートにそう躾けられたのだろう。
「や、そこ、ぐりぐり、するの、あっ! きもちいい、もっと、もっと、して……ひうっ」
サイードはカイの声を聞くのが好きだ。
初めて見る食べ物や生き物に驚いてサイードに尋ねてくる声や、時々言葉を詰まらせながらも一生懸命思うことを話してくれるのも、そして深夜ベールを落とした寝台で自分たちに抱かれて身も世もなく泣いて喘ぐ声も。
だから今、カイがサイードの愛撫に応えて「気持ちがいい、もっとして」と言葉にして甘えてくるのがたまらなく嬉しかった。
「そんなに気持ちがいいか、カイ」
「んっ、い、イイ、ゆび、きもち、いい、きもちいい……っ」
「そうか」
「ひ、ぁ……っ」
指を一本から二本、そして三本と増やしながら狭い肉壁を押し広げ、ふっくらと盛り上がった場所をぬるぬると擦っては押し潰す。そのたびにカイの身体が小さく跳ねて開きっぱなしの口から呑み込み切れない声と唾液が零れ落ちた。
「あ……っ、サイードさん、んっ、サイードさん、すき、すき……っ」
何度もそう繰り返し、サイードの指を呑み込んで白い内腿をひくひくと震わせているカイの姿に思わず目をすがめた。
「……すまない、カイ。今夜は本当に手加減してやれないかもしれない」
「え、なに……ひんっ!」
ずるり、と指を引き抜くとカイが小さく悲鳴を上げる。すると突然、天幕の外で何かに沸き返るような笑い声がどっと上がった。カイの肩がビクンと震え、一瞬その表情が強張る。けれどサイードが着ていた物を脱ぎ捨て、カイの足を開かせてその間に自らの腰をねじ込むと、息を呑んで二人の身体が合わさったソコを凝視した。
滴るラヴァンドラの香油とサイードの指に柔らかく融かされた後腔に硬く勃ち上がったモノを押し当てる。すると少し赤らんだカイのソコが早く、早く、とねだるように吸い付いてきた。
「……くそっ」
サイードは歯を食いしばると、できるだけゆっくりと慎重にカイの中へと自分のモノを潜り込ませていく。
「あ……っ」
カイが両手で口を塞ぎ、きゅっと目を瞑った。その身体を抱え込んで少しずつ奥へと押し開いていく。そしてようやく全てを収めると深々と息を吐きだした。
「大丈夫か?」
しっとりと汗ばんだ前髪を掻き上げてやりながら尋ねると、カイが小さく頷く。ほんのわずかでも動けばねっとりと絡みついてくるきつくて狭い感触に、一発でもっていかれそうだった。
めちゃくちゃに腰を動かしたい衝動に耐えながら、カイの身体が馴染むまでサイードは待つ。
「サ、サイード、さん」
カイが濡れた黒い目でサイードを見上げて囁いた。
「サイードさん、好き。会えてうれしい、ずっと会いたかった」
「…………ああ、俺もだ」
わざと煽っているのかと疑いそうになりながらサイードはカイの唇に食らいつく。そしてそのままぐい、と最奥を抉るように突き上げた。
「~~~~っ!」
カイの口から漏れかけた悲鳴のような嬌声を自らの口で塞ぎながら、サイードは何度も貫き、責め立てた。
「ひっ! んっ、んぐ、……っ、ふぁ、……っ!」
カイがサイードにぎゅうぎゅうと抱きつきながら喘ぐ。その時、天幕のすぐ向こうから誰かの話し声がした。途端に身を強張らせるカイを抱きしめて動きを止めたが、しばらくしてその肩からわずかに力が抜けた瞬間、再び腰を揺らし始めた。
「あっ、や、サ、サイード、さん、ど、どうしよう、こえ、だめ……っ、んっ」
慌てて敷布を掴んで口を塞ぐカイを見下ろしながら、サイードは熱く狭い隘路をこじ開けて挿れては引き、また突いては入り口近くまで引き抜く。ぬめる粘膜を引きずるように何度も何度もナカを行き来していると、漏れ聞こえるカイの声がどうしようもなくぐずぐずと甘く蕩けていった。
「っふ、んっ、んっ、ひぁ、ん……っ」
誰かがこの野営地に持ち込んでいたのか、天幕越しに弦楽器の音色が遠く聞こえてくる。それに合わせて皆が手拍子を打ち歌を歌う。それは北の大地にラハル神の息吹が届き、冬の狼に囚われ眠らされていた春の女神がついに目を覚ます、という歌だった。
「んっ、ゃ、あっ、んんっ、んぐっ」
背中を丸めて必死に声を殺すカイを抱き込み、サイードはどくどくと熱い精を注ぎ込む。するとカイも小さく痙攣して二人の腹にとぷり、と白濁が溢れ出た。
「上手にイけるようになったな。ダルガートに教えて貰ったか?」
サイードが顰めた声で尋ねると、カイが耳まで赤くして俯く。あまりにも男の劣情をそそるその顔にサイードは微笑んで、今度はカイを後ろから抱きすくめてゆるゆると責め始めた。
「あっ! や、またおおきく、ん、ひぐ、っ」
(駄目だ、もっと、もっと欲しい。まだ全然足りない)
すまないと思いつつもカイを求める気持ちがどうしても抑えきれない。今度は優しく、と思っていたのに気づけばガツガツとカイを貪り尽くそうとしている。これでは獣と同じだ。
サイードはきつく奥歯を噛みしめてから、カイの頬を撫でて尋ねた。
「カイ、身体はどうだ。熱は? 辛ければここで止める」
するとカイが一瞬驚いたように目を見開く。そしてうろうろと視線を泳がせてからそっと答えた。
「…………そ、それは、あの、大丈夫、です」
「本当に? 無理をしていないか?」
重ねて問えば、カイが小さく頷く。
「そうか」
それ以上はサイードも自分を抑えることができなかった。
「や……っ、だめ、な、ナカ、あ、またイっちゃう、こえ、でちゃう……っ」
「ここが好きだろう? 気持ちがいいか? カイ」
「ん……っ、いい、きもちいい、あ、ソコ、や、イイ、イイ……っ」
泣きそうな声で呟くカイの口を再びキスで塞ぐ。
そしてサイードはリュートの音色と男たちの歓声と、カイの甘く蕩け切った喘ぎ声に耳を傾けながら、久々の逢瀬を心ゆくまで堪能し尽くした。
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