【完】ユールの祝祭

伊藤クロエ

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04 スヴェンの夜番 ★



 それから一刻あまり後、スヴェンは辺りに誰もいないことを確認してからそっと王子の部屋に入り、鍵を掛けた。
 冷たい石造りの部屋を温めている鉄のストーブに置いていた湯沸かしから桶に湯を注ぎ、水を足してちょうどいい温度にする。それから懐に隠しておいた棒状の物と小さな瓶を桶の湯に浸けてイリアスの寝台に近づいた。
 どうやら今夜も無事に眠られたようだ。スヴェンはホッと安堵の息をつく。
 薬のお陰か、イリアスはぐっすりと眠っている。こんな寒い夜はせめて悪戯好きの妖精フェアリーにもちょっかいを掛けられることもなく深く眠って元気を養ってほしい。
 スヴェンは桶を傍の机の上に置き、静かに夜具を剥いだ。そして穏やかに上下するイリアスの胸を見下ろして夜着の裾から手を差し入れると、白く滑らかな両足が露わになった。
 イリアスの膝を立てて左右に開き、夜着の影が落ちたその両足の間にじっと視線を注ぐ。スヴェンが彼の下着を剥いで更に大きく足を開かせてもイリアスは目を覚まさなかった。

(相変わらず本当によく効く薬だ)

 スヴェンは湯の入った桶に両手を浸して手を温めると、瓶の香油を手のひらに落とす。そして湯で温められたオイルにまみれた指をイリアスの陰嚢の奥の小さな窄まりに押し当てた。
 スヴェンが初めてイリアスのそこを見た時、彼のように美しく尊い血筋の者はこんなところまで綺麗なのか、と思った。すんなりとして形のいい彼の性器は色素の沈着もなく、あまり使い込んでいる様子もない。そして今スヴェンが触れている後腔は淡く色づいて、少しめくると見える中の粘膜の赤い色がひどく目を引いた。
 眠るイリアスの顔を見下ろしながら、ぬちぬちと濡れた音を立てて指先だけを浅く出し入れする。そして時折ナカの粘膜を指の腹で撫でながら、少しずつ奥へ奥へと指を挿し込んでいった。

「ん……」

 不意にイリアスが小さな声を漏らす。スヴェンは動きを止めて様子を窺うが、それ以上声がしないのを確認してからもう一本指を増やした。
 イリアスの中はたいそうきつくて温かい。二本の指を揃えてゆっくり優しく撫でては擦り、時々指を開いて道を作る。時折イリアスの目蓋がひくりと震えると金色の睫毛が揺れるのが目に楽しい。
 やがてスヴェンはイリアスの中のふっくらと盛り上がった場所を見つけた。そして直接そこを刺激しないように気を付けながら二本の指でふくらみを挟み込み、両端をゆるゆると擦りたてる。

「……っは、……っ、ぅ……っ」

 うっすらと開いた赤い唇からかすかに甘い声と吐息が漏れる。今やイリアスのそこはスヴェンの太い指を根本近くまで咥え込んで、ちゅくちゅくといやらしい音を立てていた。
 どんなに寒くてもピンと背を伸ばして馬に跨る姿も、まっすぐに前を見つめる横顔も、決して怒らず愚痴を言わない姿勢も何もかも美しい。

(でも一番おれが心惹かれるのは、こうして快感に頬を色づかせて喘いでいるこの顔だ……)

 スヴェンはイリアスの頭を抱えこむようにして枕元に肘をつき、もっと間近に彼の表情を窺いながらさらに一本指を増やす。

「……っ、……っは、あ……っ、……ぁ」

 時折ピクンと身じろいでは眉を顰めて喘ぐイリアスの後腔に三本の指が完全に馴染んだ時、スヴェンは蕩けた肉壁を引きずるようにして指を抜き出した。するとイリアスの後腔が惜しむように指先に吸い付いてくる。

(ああ、この人は顔や中身だけでなく、どこもかしこも綺麗で魅力に溢れている)

 イリアスの端正な容貌は決して女性的ではない。それでも美しく整った彼の顔がスヴェンに少しずつ蕩かされ、熱に浮かされたように色づいて行くさまは恐ろしく煽情的で、スヴェンは我を忘れて見惚れてしまった。

 スヴェンの無骨な指に散々中を弄られて、イリアスのペニスは健気に勃ち上がって震えている。先端からはとろとろと先走りが滴り落ちて、自らの股間とスヴェンの手とを濡らしていた。
 スヴェンはくぱくぱと開閉している先端の小さな穴を見て「なんて可愛らしいのだろう」と感嘆する。それから湯を張った桶から棒状の張型を取り出した。それにも香油を垂らすと開かせたイリアスの両足の間に座り込み、赤く色づいた入り口にあてがう。そしてさっきよりもさらに奥へと、慎重に押し込んでいった。

 毎夜、節くれだった太い指を三本も咥えさせられているイリアスのそこは、さしたる抵抗もなく張型を呑み込んでいく。そしてついに一番奥まで届いた時、イリアスが「ひうっ」と声を上げて背筋を逸らした。
 昼間、兵士たちに掛ける声は張りがあってよく響く男らしい声なのに、眠っている時の声はこんなにも愛らしいとは。
 スヴェンは再びイリアスの顔を覗き込みながら手首をひねって中で張型を回転させ、ぬるぬると出し挿れしては最奥の狭い入り口をくぷくぷと突く。だがこの西の国境の魔女ウィッカたちの眠り薬はいまだイリアスを眠りの鎖で捕らえたままだ。するとイリアスが眠ったまま小さく喘ぎ始めた。

「……ぁ、うぅ……ぅンッ……あ、はァ……」

 細く整った眉を顰めて力なく首を振り、スヴェンに淫らな道具で好き勝手に奥を暴かれながらイリアスは身悶える。限界まで勃ち上がったペニスからはとめどなく蜜がこぼれ、いかにも触って欲しそうにピクピクと震えていた。けれどスヴェンは決してそれには触れない。
 もっと、もっと顔を見せてほしい。声を聞かせてほしい。
 自分の下で喘いで身悶える、誰も知らないこの人の姿が見たい。

 イリアスの上にのしかかるように体勢を変え、赤く染めた綺麗な顔を歪めて切なく喘ぎ続ける彼の顔をじっと見つめながら張型で狭い後腔を広げていく。そして唇が触れそうなほどギリギリまで顔を近づけながらその荒い息づかいやかすかな声を肌で感じようとする。ついにイリアスが達しそうになると、寸前で手を止めてそっと張型を抜いた。

 顔を火照らせて荒く息をつくイリアスの顔の両側に手をついて、スヴェンはその表情や身体を目に焼き付ける。彼自身もイリアスと同じように息を弾ませ、股間は痛いほど張り詰めていた。

(誰よりも綺麗で、強くて、美しい人)
(こんな貴方を知っているのはおれだけだ)

 やがてスヴェンは湯で絞った布でイリアスの汗ばんだ顔や身体、そして香油とカウパーでどろどろになった股間を拭いた。そして彼の下着と夜着を直す。彼が寒くないよう毛布を肩の下にたくし込んでから寝台の前にひざまずき、祈った。

「どうか最も尊き方のご加護が貴方にありますように」

 それからすべての痕跡を消し、使った道具を桶に入れて静かに部屋から出ていった。

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