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第一話 鋼鉄の女神 ─デア・エクス・マキナ─ その三
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閑静な住宅地にある鈴鹿キョーコの自宅、その二階にある一室では、
腕を組んで椅子に座ったキョーコが『自分はタケシだ』と主張する謎の少女と向き合い、会話を交わしていた。
全裸だった少女は、今はキョーコから借りた赤いジャージの上下を身に着けて
制服姿のキョーコの前でちょこんと正座している。
自室の窓から覗き込む身長20メートルはあろうかという巨大な鋼鉄の少女『ガミオン』を横目で確認しつつ、
何度目だろうか、キョーコが指差し念を押す。
「これ、本当に周りからは見えてないのね?」
少女タケシの体にリンクしたガミオンが、その口を借りて答える。
「うむ、光学迷彩機能でカモフラージュしている為、今はこの部屋の中からしか、私の姿は視認出来ない」
「……ならいいんだけど」
キョーコはガミオンの答えにひとまず納得し、再び少女タケシとの会話を続けた。
「んで、その問題点とやらがタケシとは似ても似つかない美少女の体だったってわけだ?」
「そうみたい」
緊張感のない少女タケシの答えに、複雑な面持ちのキョーコは
眉根にしわを寄せながら言葉を続けた。
「つまり、今までの話をまとめると……
宇宙人同士の抗争があって、その結果、壊れた宇宙船の一部が地球に降り注いで、
タケシはそれに巻き込まれ体の大半を失ったから、それが治るまで、
その美少女の体に意識だけ取り付いて本当の体の代わりに使っているって事でOK?」
「うん、大体あってる」
苦笑いを浮かべるタケシを無視し、大きくため息をつくキョーコ。
「でも、だからといってこのガミオンの言う事を一から十までまるっと信用してもいいの?
もしかしたら何か裏があるのかも……」
「疑い深いね」
「悪い?」
「いや、慎重なのはいいことだと思うよ」
タケシの体を通し、ガミオンが口をはさむ。
「では、一つの証拠として現在のタケシの姿を見せよう、窓の方へ来てくれ」
指示に従い、キョーコとタケシは窓の方へと移動し外を見る。
ガミオンが姿勢を整え、できるだけ腹部を窓の方に寄せると、
緩やかなカーブを描く美しい腹部に亀裂が走り、ガシャガシャと音を立ててスライドし、その内部が露出する。
機械が密集する小部屋のようなスペースに鎮座するカプセル状の器官、
そこにあったのは肉体の大部分を失ったタケシの本体。
腕はちぎれ、下半身は吹っ飛び、背骨が露出し、臓器がデロンとはみ出して体の各所に様々なコードがつながっている。
おまけに体の横にはちぎれた片腕も浮かんでいた。
目から輝きの失せた虚ろな表情には生気がなく、一見すると赤い溶液に浮かぶ『死体』そのものであった。
「ギャーーーーー!?キモイ!怖い!やめてやめて!バラバラな死体なんてみせないで!」
ユラユラと揺蕩う死体にしか見えない肉体、しかもかなりグロいそれを見せられたキョーコは戦慄し、
目を塞ぎ叫びを上げる。
「ちょ!?死んでるとか言わないで!我ながら怖くなっちゃうじゃん!」
涙目で抗議する少女タケシ。
「わかった!信じる!信じるから、それしまって!」
「死体のように見えたかもしれないがタケシの肉体は生命活動を完全に停止してはいない。
それは保証しよう」
キョーコの希望通り死体?をしまうガミオン。
落ち着くため呼吸を整えながらキョーコが呟く。
「でも、ちゃんと生きてるんだよね……そこだけはよかった」
続けてキョーコが言う。
「わかったわガミオン、あなたを信じる。
信じるとして……タケシはこれからどうするつもりなの?」
「うん、それを考えなくちゃと思うんだけど……」
目の前に山住された問題に戸惑い沈黙する二人。
だがその沈黙を破るかのように少女タケシのお腹が鳴った。
「あ~っと……」
タイミングよく鳴った音の大きさに少女タケシは恥ずかしさを隠すように頭をかきながら言った。
「と、取り敢えず、昼食にしない?」
腕を組んで椅子に座ったキョーコが『自分はタケシだ』と主張する謎の少女と向き合い、会話を交わしていた。
全裸だった少女は、今はキョーコから借りた赤いジャージの上下を身に着けて
制服姿のキョーコの前でちょこんと正座している。
自室の窓から覗き込む身長20メートルはあろうかという巨大な鋼鉄の少女『ガミオン』を横目で確認しつつ、
何度目だろうか、キョーコが指差し念を押す。
「これ、本当に周りからは見えてないのね?」
少女タケシの体にリンクしたガミオンが、その口を借りて答える。
「うむ、光学迷彩機能でカモフラージュしている為、今はこの部屋の中からしか、私の姿は視認出来ない」
「……ならいいんだけど」
キョーコはガミオンの答えにひとまず納得し、再び少女タケシとの会話を続けた。
「んで、その問題点とやらがタケシとは似ても似つかない美少女の体だったってわけだ?」
「そうみたい」
緊張感のない少女タケシの答えに、複雑な面持ちのキョーコは
眉根にしわを寄せながら言葉を続けた。
「つまり、今までの話をまとめると……
宇宙人同士の抗争があって、その結果、壊れた宇宙船の一部が地球に降り注いで、
タケシはそれに巻き込まれ体の大半を失ったから、それが治るまで、
その美少女の体に意識だけ取り付いて本当の体の代わりに使っているって事でOK?」
「うん、大体あってる」
苦笑いを浮かべるタケシを無視し、大きくため息をつくキョーコ。
「でも、だからといってこのガミオンの言う事を一から十までまるっと信用してもいいの?
もしかしたら何か裏があるのかも……」
「疑い深いね」
「悪い?」
「いや、慎重なのはいいことだと思うよ」
タケシの体を通し、ガミオンが口をはさむ。
「では、一つの証拠として現在のタケシの姿を見せよう、窓の方へ来てくれ」
指示に従い、キョーコとタケシは窓の方へと移動し外を見る。
ガミオンが姿勢を整え、できるだけ腹部を窓の方に寄せると、
緩やかなカーブを描く美しい腹部に亀裂が走り、ガシャガシャと音を立ててスライドし、その内部が露出する。
機械が密集する小部屋のようなスペースに鎮座するカプセル状の器官、
そこにあったのは肉体の大部分を失ったタケシの本体。
腕はちぎれ、下半身は吹っ飛び、背骨が露出し、臓器がデロンとはみ出して体の各所に様々なコードがつながっている。
おまけに体の横にはちぎれた片腕も浮かんでいた。
目から輝きの失せた虚ろな表情には生気がなく、一見すると赤い溶液に浮かぶ『死体』そのものであった。
「ギャーーーーー!?キモイ!怖い!やめてやめて!バラバラな死体なんてみせないで!」
ユラユラと揺蕩う死体にしか見えない肉体、しかもかなりグロいそれを見せられたキョーコは戦慄し、
目を塞ぎ叫びを上げる。
「ちょ!?死んでるとか言わないで!我ながら怖くなっちゃうじゃん!」
涙目で抗議する少女タケシ。
「わかった!信じる!信じるから、それしまって!」
「死体のように見えたかもしれないがタケシの肉体は生命活動を完全に停止してはいない。
それは保証しよう」
キョーコの希望通り死体?をしまうガミオン。
落ち着くため呼吸を整えながらキョーコが呟く。
「でも、ちゃんと生きてるんだよね……そこだけはよかった」
続けてキョーコが言う。
「わかったわガミオン、あなたを信じる。
信じるとして……タケシはこれからどうするつもりなの?」
「うん、それを考えなくちゃと思うんだけど……」
目の前に山住された問題に戸惑い沈黙する二人。
だがその沈黙を破るかのように少女タケシのお腹が鳴った。
「あ~っと……」
タイミングよく鳴った音の大きさに少女タケシは恥ずかしさを隠すように頭をかきながら言った。
「と、取り敢えず、昼食にしない?」
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