鋼鉄少女王 タイタンメイデン

鳳たかし

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第一話 鋼鉄の女神 ─デア・エクス・マキナ─ その四

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 普段着に着替えた二人は、食事を取ろうと駅前の繁華街へと繰り出す。
キョーコはカジュアルなスカート姿であるのに対し、
少女タケシはスカートを穿くことに抵抗があるのか、Tシャツにジーパンという出で立ちだ。

ビルの立ち並ぶ繁華街を進み、キョーコの案内でやってきたのは割と有名なラーメンショップ。
昼時を外している時間帯のためか、店内には客がまばらに席に着き、黙々と食事をしている様が見て取れる。
設置された少し古い型のTVモニターからは隕石騒動を報道するニュースが流れていた。
キョーコはなれた感じでテーブル席に着き、スマホをいじり始める。

「あちゃー」

苦虫を噛み潰したような表情でキョーコが言った。

「学校で生徒二人の所在がつかめていないって大騒ぎだってさ。
 多分これ、私たちのことでしょ……連絡入れとかな」

ブツブツ言いながらテキパキとスマホを操作するキョーコ。

「あと、ニュース、一通りチェックしてみたんだけど、
 学校だけじゃなく、いろんな所に空からの落下物があったって。
 だからひっきり無しにサイレンが鳴っていたのかぁ……あ、でも奇跡的に人的被害はないって」

「ここに被害者が一人いるけどね」

苦笑いを浮かべる少女タケシ。
そうこうしているうちにテーブルにギョーザ付きでラーメンが二丁運ばれてくる。

「でもラーメン屋とは意外だな」

箸を割りながら少女タケシが言うと
キョーコは怪訝そうな表情でぎろりと睨み言い返した。

「はぁ?何それ、新手のイヤミ?」

「い、いや、そんなつもりじゃないけどさ、なんかもっとおしゃれな店とか行く人だと」

「うっわ、それ逆に偏見!ラーメン屋さんに失礼」

「い、いや……ごめん」

「それに昔はよく二人でラーメン食べてたじゃん!親がいない時とかさぁ」

「うん、そうだったね」

今では疎遠な二人であったが、小学生の時、タケシの両親もキョーコの両親も共働きで家にいないことが多く、
時々帰りが遅くなることもあった。
そんな時、二人はどちらかの家に泊まり出前デリバリーでラーメンをとって夕食を済ませていたものだ。
懐かしい記憶を思い出しながらタケシはラーメンをすする。

「アンタ、ちょっとお行儀悪くなったんじゃない?」

「へ?」

「食事をするときはまず『いただきます』でしょ?」

「あ、い、いただきます」

慌てて言い直すタケシにキョーコは満足げに頷きながら答える。

「はい」

キョーコの家ではいただきますの挨拶の後、母親が返事をする。
だからキョーコもそれを真似て返事を返すようになったのだろう。

「で、あらためて、これからどうするの?」

「うん、とりあえずは家族に自分は無事だと伝えたい」

「住むところとか、学校とか、どーすんの?」

「え?」

「9000時間だっけ?その姿のままなんでしょ?なら、タケシとして家にも学校にも行けないんじゃないの?
 それとも正直に全部打ち明けてみる?」

「でも、こんな現実離れした事、信用してもらえるかな?」

「信用されたとしても、その後で人体実験とかされちゃったりするかもね。よくて見世物扱い、かな?」

「ちょ、ちょっとぉ~怖いこと言わないでよォ~」

涙目で抗議する少女タケシに向かってキョーコがペロッと舌を出す。

「いっそガミオンに話つけてもらう?」

「不特定多数の地球人との接触は、できれば避けたいのだが」

少女タケシの口を借り、ガミオンが口を挟むとキョーコとタケシは再び頭を抱えてしまう。

「じゃあ、どーすんの?」

「う~ん」

「……まあ、住むところに関しては、ひとまずうちに来ればいいとして」

どうにも煮え切らないタケシに対しキョーコがポツリと呟くとタケシは驚いて声を上げた。

「え!いいの?」

「他にどうしようもないでしょ?それともアンタ、野宿生活でもするつもり?」

「いや、それは嫌かな……でも年頃の男女が同じ部屋で住むのは、その、まずいのではないかと」

「キモ!キモイ想像しないでよ!別の部屋に決まってんでしょ!
 物置に使ってる部屋があるからアンタはそこよ!」

「で、ですよね~」

「それに、あんたは今、女の子じゃん!」

「あ、そうか」

「はぁ~」

緊張感のないタケシに呆れるキョーコ。

「でも問題は学校よね、戸籍も、身分を証明する物も、何もなきゃ転入することもできないし……
 もう学校はあきらめて9000時間ほど引きこもってみたら?」

「うええ……それじゃあ勉強が遅れちゃうし、受験の時に苦労したくないよ~。
 あと普通に学校生活も送りたいし……」

「アンタそんなに学校が好きだったの?」

「いや、そういう訳じゃないけどさ~……なんていうか気分的な?」

少女タケシが項垂れると、再びその口を使いガミオンが答えた。

「ならば、それらに関しては私に任せてくれたまえ」

「ガミオン?」

「この国の戸籍の捏造ぐらい造作もない」

「うっわ!黒!真っ黒やん!」

ドン引きするキョーコとは逆にホッと胸をなでおろすタケシ

「でも、これで当面の生活は安泰だ」

最も難航するだろうと思われた問題に一筋の光明が見えたタケシに対し
ガミオンが問いかけてきた。

「では、私からも君達に一つ相談があるのだが聞いてもらえるだろうか?」

「相談?」

「うむ、先程、各地で落下物が多数あったとの情報があったが、私はそれを調べたい。
 出来ればタケシ、君の許可がほしいのだが?」

「僕の許可?なんで?」

「私は今、君の命を預かる身だ。
 だから危険を伴う活動をする場合、君の許可がいる」

「危険な事?」

「落下物が宇宙船の残骸だとしたら、ドローンが付着していることも考えられる。
 あるいは敵の戦士が生き残っていた場合、戦闘になる可能性が大きい。
 そうなれば私が破壊される可能性もある」

「え?ガミオンが破壊されたらタケシはどうなるの?」

「私と一緒に死ぬことになるだろう」

「うぉい!」

「無論、強制はしない」

「……しばらく考えさせてくれる?」

「了解した」



 タケシ達がそんな相談をしている頃、ガミオンの予想が的中したのか、
人里離れた山中に堕ちた宇宙船の一部から何かが這い出し、
体を引きずりながら木々を倒し、森の中へと消えていった。
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