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第三話
第三話 光明院ケイはこういった その9
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武石乙女、鈴鹿キョーコ、光明院ケイ、竜胆ルイの四人が光明院女学院の生徒会会議室に移動した頃、
日の暮れ始めた町にぽつぽつと街頭がともり始める。
先程の騒ぎの際、一通り今までのいきさつを話した後も警戒心を解かぬケイに
『証拠を見せる為に移動したい』と主張したタケシに対し、
この場所を指定したのは光明院ケイ自身であった。
未だ半信半疑のケイは用心し、勝手知ったるこの場所なら万が一の事態に陥った場合に、
すぐに人を呼ぶなどの対処が出来るし、ましてや光明院女学院の優秀な警備員達なら乙女と名乗る少女も速やかに取り押さえ捕まえることが出来る、そう判断したからだった。
「ガミオン、ごめんね、僕のわがままにつき合わせちゃって……」
『いや、タケシ、気にしないでくれ。これぐらいの遠隔操作なら何の問題もない』
ガミオンが答えると、乙女は窓のほうをチラリとみる。
すでに日も落ち、窓から見える外の景色は薄暗闇に包まれていた。
休日という事もあり、校庭に人影は見えないが、当然、職員室には数人の教職員がおり、
校内の要所要所には警備員が配置されている。
体育館にも明かりが灯っているところを見ると、部活動の生徒も多少は残ってはいるのだろう。
スマホを手に、ボタン一つで助けを呼ぶ準備がある、と
ボディランゲージでアピールするルイの用意周到さにケイが頷き、乙女に向き直り言った。
「さあ、君の言う証拠とやらを見せてもらおうじゃないか」
乙女が頷き、窓のほうを見る。
「ガミオン、お願い」
『うむ、了解した』
乙女の願いに答えたガミオンの言葉と共に窓の外に光のモザイクが広がり、
巨大な少女の姿があらわになる。
腰をかがめ教室をのぞき込む巨大なガミオンの顔。
その頭部の傷はいまだ癒えてはいないが、ケイを納得させるために
一時的に光明院女学院の敷地内へと遠隔操作で移動させていたのであった。
「な、なんと!?」
「うわわわわ!?」
ガミオンの姿に驚いたルイが飛び上がり後ろに下がるが、足がもつれて仰向けに倒れこむ。
だが素早く反応した乙女とケイが左右から同時に受け止め、彼女が床にたたきつけられるのを防いだ。
「ま、マジだったん!?」
二人に抱えられたルイが目を白黒させ動揺する。
「す、すると、君は本当にタケシくんなのか!?」
ケイの言葉に頷く乙女。
「信じてくれた、かな?ケイくん」
「た、タケシ君……」
乙女とケイは、しばし無言で見つめあう。
「コホン!」
抱き留められ、二人の間で挟まれたままのルイが咳払いをして自身の存在をアピールし、
二人をジトっとねめつけた。
「あの、ですねェ、私がいること忘れないんでほしいんですけどォ?」
「「え!?」」
あらためてルイの存在に気づいた二人が同時に腕を引っ込めると、当然、ルイは床に落下し尻餅をつく。
「痛っ!?つ~~~っ、二人同時に手を離すなっつーのォ!!」
「あ!ごめん!」
慌てて不満をもらすルイの手を取り、助け起こす乙女。
だがケイはそんな乙女の行動も無視して声を荒げ訴える。
「タケシくんに会わせてくれ!!」
「ふぇ?い、いや、だから僕ならここに……」
戸惑いながら乙女がケイの言葉に自分を指さす。
しかし、ケイは大きく首を振り、問い直した。
「そういう事じゃない!タケシくんの本体のほう!!」
「そ、それはやめといたほうがいいと思う!」
突然、キョーコが横から口をはさむと慌てて言いつくろう。
「ホラ!あれだ、い、今更見てもしょうがないし、インパクト強すぎるし、
ええっと……もう!ぶっちゃけグロいし、夢に出るよ!」
「キョ~コぉ~、言い方ぁ……」
言葉は乱暴だが、これはタケシ本体のありさまを見てケイがショックを受けないように、とのキョーコのなりの配慮だった。
だが、ケイは引かずにさらに詰めよってくる。
「いや、この目で確認したい、お願いだ!会わせてくれ!」
乙女の手を取り、グイっと顔を近づけたケイに一瞬戸惑った乙女であったが、
その真剣な表情に押され、コクリと頷いた。
「ガミオン、いいかな?」
「うむ。ではタケシ、彼女を連れて窓に寄ってくれ」
指示に従い、乙女がケイを窓の近くに誘うと、ガミオンは巨大な手のひらを窓の外に添えて
二人に乗るように言った。
「さあ、乗りたまえ」
二人は窓の外に身を乗り出し、慎重にガミオンの手のひらに乗る。
それを確認したガミオンはゆっくりと腕を下腹部の前へと下ろしていく。
同時に複雑にうごめき開いていくガミオンの下腹部装甲。
淡い光がもれ出し、カプセルの容器に浮かぶ只野タケシの姿があらわになる。
うつろな表情は生気がなく、失った下半身に多少回復した形跡は見られるが
ちぎれた背骨は未だに露出したままで、やはり一見、轢死体のようにしか見えない。
「た……タケシくん……!?」
目を見開き、驚愕の表情を浮かべるケイの呼吸が乱れ始める。
「ハァハァハァ…………タ……ケシ……」
さらに大きく呼吸を乱したケイはフッっと意識を失うと、足元からくずおれてしまう。
「ケイくん!!」
ガミオンの手の上から落下しそうになるケイの体を慌てて支える乙女。
「精神的ショックによる過呼吸だ。タケシ、彼女を部屋の中へ」
「うん!」
ガミオンが再び腕を窓に添えると、ケイを抱きかかえた乙女は素早く部屋の中へと滑り込んだ。
日の暮れ始めた町にぽつぽつと街頭がともり始める。
先程の騒ぎの際、一通り今までのいきさつを話した後も警戒心を解かぬケイに
『証拠を見せる為に移動したい』と主張したタケシに対し、
この場所を指定したのは光明院ケイ自身であった。
未だ半信半疑のケイは用心し、勝手知ったるこの場所なら万が一の事態に陥った場合に、
すぐに人を呼ぶなどの対処が出来るし、ましてや光明院女学院の優秀な警備員達なら乙女と名乗る少女も速やかに取り押さえ捕まえることが出来る、そう判断したからだった。
「ガミオン、ごめんね、僕のわがままにつき合わせちゃって……」
『いや、タケシ、気にしないでくれ。これぐらいの遠隔操作なら何の問題もない』
ガミオンが答えると、乙女は窓のほうをチラリとみる。
すでに日も落ち、窓から見える外の景色は薄暗闇に包まれていた。
休日という事もあり、校庭に人影は見えないが、当然、職員室には数人の教職員がおり、
校内の要所要所には警備員が配置されている。
体育館にも明かりが灯っているところを見ると、部活動の生徒も多少は残ってはいるのだろう。
スマホを手に、ボタン一つで助けを呼ぶ準備がある、と
ボディランゲージでアピールするルイの用意周到さにケイが頷き、乙女に向き直り言った。
「さあ、君の言う証拠とやらを見せてもらおうじゃないか」
乙女が頷き、窓のほうを見る。
「ガミオン、お願い」
『うむ、了解した』
乙女の願いに答えたガミオンの言葉と共に窓の外に光のモザイクが広がり、
巨大な少女の姿があらわになる。
腰をかがめ教室をのぞき込む巨大なガミオンの顔。
その頭部の傷はいまだ癒えてはいないが、ケイを納得させるために
一時的に光明院女学院の敷地内へと遠隔操作で移動させていたのであった。
「な、なんと!?」
「うわわわわ!?」
ガミオンの姿に驚いたルイが飛び上がり後ろに下がるが、足がもつれて仰向けに倒れこむ。
だが素早く反応した乙女とケイが左右から同時に受け止め、彼女が床にたたきつけられるのを防いだ。
「ま、マジだったん!?」
二人に抱えられたルイが目を白黒させ動揺する。
「す、すると、君は本当にタケシくんなのか!?」
ケイの言葉に頷く乙女。
「信じてくれた、かな?ケイくん」
「た、タケシ君……」
乙女とケイは、しばし無言で見つめあう。
「コホン!」
抱き留められ、二人の間で挟まれたままのルイが咳払いをして自身の存在をアピールし、
二人をジトっとねめつけた。
「あの、ですねェ、私がいること忘れないんでほしいんですけどォ?」
「「え!?」」
あらためてルイの存在に気づいた二人が同時に腕を引っ込めると、当然、ルイは床に落下し尻餅をつく。
「痛っ!?つ~~~っ、二人同時に手を離すなっつーのォ!!」
「あ!ごめん!」
慌てて不満をもらすルイの手を取り、助け起こす乙女。
だがケイはそんな乙女の行動も無視して声を荒げ訴える。
「タケシくんに会わせてくれ!!」
「ふぇ?い、いや、だから僕ならここに……」
戸惑いながら乙女がケイの言葉に自分を指さす。
しかし、ケイは大きく首を振り、問い直した。
「そういう事じゃない!タケシくんの本体のほう!!」
「そ、それはやめといたほうがいいと思う!」
突然、キョーコが横から口をはさむと慌てて言いつくろう。
「ホラ!あれだ、い、今更見てもしょうがないし、インパクト強すぎるし、
ええっと……もう!ぶっちゃけグロいし、夢に出るよ!」
「キョ~コぉ~、言い方ぁ……」
言葉は乱暴だが、これはタケシ本体のありさまを見てケイがショックを受けないように、とのキョーコのなりの配慮だった。
だが、ケイは引かずにさらに詰めよってくる。
「いや、この目で確認したい、お願いだ!会わせてくれ!」
乙女の手を取り、グイっと顔を近づけたケイに一瞬戸惑った乙女であったが、
その真剣な表情に押され、コクリと頷いた。
「ガミオン、いいかな?」
「うむ。ではタケシ、彼女を連れて窓に寄ってくれ」
指示に従い、乙女がケイを窓の近くに誘うと、ガミオンは巨大な手のひらを窓の外に添えて
二人に乗るように言った。
「さあ、乗りたまえ」
二人は窓の外に身を乗り出し、慎重にガミオンの手のひらに乗る。
それを確認したガミオンはゆっくりと腕を下腹部の前へと下ろしていく。
同時に複雑にうごめき開いていくガミオンの下腹部装甲。
淡い光がもれ出し、カプセルの容器に浮かぶ只野タケシの姿があらわになる。
うつろな表情は生気がなく、失った下半身に多少回復した形跡は見られるが
ちぎれた背骨は未だに露出したままで、やはり一見、轢死体のようにしか見えない。
「た……タケシくん……!?」
目を見開き、驚愕の表情を浮かべるケイの呼吸が乱れ始める。
「ハァハァハァ…………タ……ケシ……」
さらに大きく呼吸を乱したケイはフッっと意識を失うと、足元からくずおれてしまう。
「ケイくん!!」
ガミオンの手の上から落下しそうになるケイの体を慌てて支える乙女。
「精神的ショックによる過呼吸だ。タケシ、彼女を部屋の中へ」
「うん!」
ガミオンが再び腕を窓に添えると、ケイを抱きかかえた乙女は素早く部屋の中へと滑り込んだ。
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