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異世界迷走中
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しかし、なんと俺は、その後もう2回同じ失敗を繰り返した。
道路工事現場では、「道路網の形状は、都市の形や特徴をつくり出す大きな要因で――――」と道路交通網の重要性を語りつくし。
学校の建設予定地では、「用途地域別の建築物の規制として――――」と、小中高校までの建設許可区域と大学、各種学校等の建設許可区域の違いから始まり、どうして都市計画や土地の利用制限が必要なのかを長々と喋ってしまった。
……うん。最近1人暮らしが染みついて、他人との会話、特に話を聞いてくれる人に飢えていたもんな。
これは孤独な俺には抗いきれない誘惑だったんだ。
俺は何も悪くない。
悪いのは、メールやLINEの普及に伴い、人対人のコミュニケーションが不足してきている現代日本の社会構造だ!
…………すみません。調子に乗りました。
俺が悪かったから、頼むからアディ、そのキラキラした眼差しを止めてくれ。
俺のライフが減るだろう。
しかも、何故かアディの側にはアディ同様目をキラキラさせたおっさんが増殖していた。
「ユウさま。この建ぺい率のことについてもう少し詳しく――――」
「ユウさま。人口推測の等差級数的見積法ですが――――」
……俺は、どこで間違ったんだろう。
あれか?
アディのあの目の輝きは、ひょっとして伝染病なのか?
またまた質問攻めにされ、そしてその質問が俺の自尊心をくすぐるもんだから、いい気になって俺は答えてしまう。
それぞれの現場を離れる時には、俺のライフは限りなくゼロに近づいていた。
そして、現在俺は青空の下ベンチに腰掛けへたり込んでいる。
ここは以前リーファに教えてもらった、ゴーラと呼ばれる広場だった。
本日最後の見学場所である。
結構人が集まっていて、先ほどついうっかり帽子が脱げてしまったアディは、あっという間に人々にもみくちゃにされていた。
とりあえず今のところは、アディが王様だとバレたわけではなくて、王様に似ているイケメン兄ちゃんという存在で衆目を集めているらしい。
そうだよな。
こんなところに本物の王様がいるだなんて、誰も思うはずがないものな。
警護の騎士達も慌てふためいて対処に大わらわになっていた。
大っぴらに警護するためにはアディの身分を明かさなきゃならないし、あくまでお忍びを貫き通すなら派手に騒ぐのはマズイだろう。
(うん。ごくろうさん)
俺はその人混みから充分距離をとった場所でホッと一息ついていた。
アディの周囲はますます人が集まってきている。
最後まで俺の側に残っていた黒髪の騎士も、忌々しそうに俺を睨み付けるとアディの方に駆けて行った。
失礼な。アディの帽子が脱げたのは俺のせいじゃないぞ。
それにしても、イケメンはたいへんだな。平凡で目立たない自分の容姿に今ほど感謝したことは無い。
え、アディを救出しないのかって?
そんな無謀なマネを俺がするわけないだろう。
対岸の火事は対岸だからこそ眺めていられるんだ。
側に近づいたら危険に決まっている。
君子危うきに近寄らずは、俺の座右の銘だ。
(落ち着いたらなんだか腹が減ってきたな)
俺はキョロキョロと周囲を見回す。
ゴーラの一角には食べ物を売る屋台が並んでいて、美味しそうな匂いが俺の居る場所まで漂ってきていた。
幸いな事に、俺は出かける際にアディからこの世界の貨幣をほんの少しもらってある。
(アディの言うほんの少しは不安だけどな)
まあ周囲を観察しながら気をつければ、きっと俺でも屋台で買い食いくらいはできるだろう。
(ついでにちょっと都を散策もいいよな)
思い立ったが吉日っていうのは、面倒くさがりの俺の辞書には無い言葉なんだが、何故かこの時の俺は珍しくもそんな気分になっていた。
よっこらしょっと俺は腰を上げる。
――――そして俺は、絵に描いたような迷子になってしまったのであった。
俺にドジッ子属性はなかったはずなのに…………何故だ?
道路工事現場では、「道路網の形状は、都市の形や特徴をつくり出す大きな要因で――――」と道路交通網の重要性を語りつくし。
学校の建設予定地では、「用途地域別の建築物の規制として――――」と、小中高校までの建設許可区域と大学、各種学校等の建設許可区域の違いから始まり、どうして都市計画や土地の利用制限が必要なのかを長々と喋ってしまった。
……うん。最近1人暮らしが染みついて、他人との会話、特に話を聞いてくれる人に飢えていたもんな。
これは孤独な俺には抗いきれない誘惑だったんだ。
俺は何も悪くない。
悪いのは、メールやLINEの普及に伴い、人対人のコミュニケーションが不足してきている現代日本の社会構造だ!
…………すみません。調子に乗りました。
俺が悪かったから、頼むからアディ、そのキラキラした眼差しを止めてくれ。
俺のライフが減るだろう。
しかも、何故かアディの側にはアディ同様目をキラキラさせたおっさんが増殖していた。
「ユウさま。この建ぺい率のことについてもう少し詳しく――――」
「ユウさま。人口推測の等差級数的見積法ですが――――」
……俺は、どこで間違ったんだろう。
あれか?
アディのあの目の輝きは、ひょっとして伝染病なのか?
またまた質問攻めにされ、そしてその質問が俺の自尊心をくすぐるもんだから、いい気になって俺は答えてしまう。
それぞれの現場を離れる時には、俺のライフは限りなくゼロに近づいていた。
そして、現在俺は青空の下ベンチに腰掛けへたり込んでいる。
ここは以前リーファに教えてもらった、ゴーラと呼ばれる広場だった。
本日最後の見学場所である。
結構人が集まっていて、先ほどついうっかり帽子が脱げてしまったアディは、あっという間に人々にもみくちゃにされていた。
とりあえず今のところは、アディが王様だとバレたわけではなくて、王様に似ているイケメン兄ちゃんという存在で衆目を集めているらしい。
そうだよな。
こんなところに本物の王様がいるだなんて、誰も思うはずがないものな。
警護の騎士達も慌てふためいて対処に大わらわになっていた。
大っぴらに警護するためにはアディの身分を明かさなきゃならないし、あくまでお忍びを貫き通すなら派手に騒ぐのはマズイだろう。
(うん。ごくろうさん)
俺はその人混みから充分距離をとった場所でホッと一息ついていた。
アディの周囲はますます人が集まってきている。
最後まで俺の側に残っていた黒髪の騎士も、忌々しそうに俺を睨み付けるとアディの方に駆けて行った。
失礼な。アディの帽子が脱げたのは俺のせいじゃないぞ。
それにしても、イケメンはたいへんだな。平凡で目立たない自分の容姿に今ほど感謝したことは無い。
え、アディを救出しないのかって?
そんな無謀なマネを俺がするわけないだろう。
対岸の火事は対岸だからこそ眺めていられるんだ。
側に近づいたら危険に決まっている。
君子危うきに近寄らずは、俺の座右の銘だ。
(落ち着いたらなんだか腹が減ってきたな)
俺はキョロキョロと周囲を見回す。
ゴーラの一角には食べ物を売る屋台が並んでいて、美味しそうな匂いが俺の居る場所まで漂ってきていた。
幸いな事に、俺は出かける際にアディからこの世界の貨幣をほんの少しもらってある。
(アディの言うほんの少しは不安だけどな)
まあ周囲を観察しながら気をつければ、きっと俺でも屋台で買い食いくらいはできるだろう。
(ついでにちょっと都を散策もいいよな)
思い立ったが吉日っていうのは、面倒くさがりの俺の辞書には無い言葉なんだが、何故かこの時の俺は珍しくもそんな気分になっていた。
よっこらしょっと俺は腰を上げる。
――――そして俺は、絵に描いたような迷子になってしまったのであった。
俺にドジッ子属性はなかったはずなのに…………何故だ?
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