小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)

九重

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異世界驚嘆中

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『我ら有鱗種は水が苦手だ。雨が降らない事を苦にする者はいなかったが、俺達は良くとも俺達が育てる作物や周囲の自然にとってそれは憂慮すべき事態だった』

 当然だろう。
 そう思いながらも、俺はヴィヴォの語ってくれた昔語りを思い出していた。

 ――――遥かな昔、人間だけで他を全て排除した島の行く末を。

 人間、獣人、有鱗種、それぞれがバランスをとり調和するのがこの世界の神の意志だ。
 人間のみになった島は調和できず、人の属性である水が溢れて一夜にして海の底に沈んだのだとヴィヴォは言っていた。

(……ただの偶然だと思っていたけれど)

 人の属性は“水”だ。
 人だけになった世界は水に沈み――――そして、人が逃げ出した大陸には、雨が降らなくなった。

 俺の体が、ブルリと震える。

『我らの国はここより遥か南にある。雨がほとんど降らなくなれば、高温と乾燥のために大地には草木が育たなくなる。数年前まで緑豊かな土地だった場所が突然枯れ果てて、はじめて俺達は原因究明に躍起になった』

 大地の砂漠化は地球でも大きな問題だ。
 気候の変化、人口の増加による自然破壊、塩害による土地の劣化等、原因は様々に言われているが、おそらく有鱗種の国での砂漠化の原因は違う。

『国をあげての調査の果てに、神殿の巫女が、同じ神殿に仕えている獣人の巫女の間に伝わるおとぎ話のような伝説を思い出した』

 それは俺の思ったとおり、かつて海の底に沈んだ大陸の話だった。
 やはり、どう考えても結論はそこに行きつくだろう。
 ひとつひとつの出来事は偶然で片づけられても、その出来事を関連して考えれば答えはひとつだ。

『雨の降らぬ原因を人間がいなくなったためだと断定した神殿の意見を、当初国は一笑に付して取りあわなかった。しかし、いつまでも不自然な日照りが続き、いよいよ困窮した民が神殿を支持し暴動を起こすに至り、ついに国も動かざるを得なくなった』

 社会が困窮した時に一番被害を受けるのは、いつだって一般人、それも最下層の住民だ。
 ましてや今回の事には神の意志が絡んでいる。
 ただでさえ宗教の絡んだ問題は根が深く大事件になり易いのに、この世界の神には『神の賜いし御力』なんていう有言実行の反則技があるんだ。
 人々の神殿への信頼は強いに決まっていた。
 神殿の意見を聞かぬ国に批判が集まるのは当然の流れだっただろう。

『ここで誤解して欲しくないんだが……我ら神殿関係者は、人に戻ってと考えたんだ。心を入れ替え、過ちを詫び、再び共に生きて欲しいと人に請うべきだと、国に進言した』

 俺は思わず顔をしかめる。

(それは、無理だろう?)

 僅か十年程前まで完全に自分達の下の存在として虐げ使役してきた人間に、有鱗種がそんなに簡単に頭を下げられるはずがない。

(そんな真似をするくらいなら……)

『しかし国の中にいた強硬派の連中は、そんな生温い事をしている時間はないと主張した。今すぐ人間達を攻めて有無を言わさず連れ戻すべきだと声高に叫んだ。――――彼らの多くは、人間が去った時に激怒し連れ戻すべきだと主張した者達で……その中心は、ロダの一族を所有していた家だった』

 予想どおりのサウリアの言葉に頭が痛くなる。
 本当に頭を押さえた俺を見て、サウリアは申し訳なさそうに視線を逸らせた。
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