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第一章 異世界の住人はとても個性的でした。
処遇が決まりました
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その後、多少は暖に感謝したのだろう。アルディアは、サーバスたちから不本意そうに事情を聞き出してくれた。
「お前は、そこの魔女――――ディアナが、温泉とやらを召喚したのに巻き込まれたんだ」
仏頂面で、そう言った。
「お、温泉!?」
暖は二の句が告げない。ギギギッと音がしそうにぎこちない動きでディアナを見れば、年老いた魔女はフンと横を向いた。
温泉の召喚は、次元の壁を越えて行われ、暖がいた世界とこの世界は全く次元の違う異世界だろうとも、アルディアは話す。
「そ、そんなバカな! そんなことに私は巻き込まれたの?」
「そうだと言っている。私は疲れているんだ。同じ話を何度もさせるな」
アルディアは、やっぱり偉そうだった。
「か、帰してください! 今すぐ私を帰して!」
焦ってディアナに詰め寄る暖。
魔女は持っていた杖で暖を威嚇し、距離をとった。
「××! ××○▽!」
「帰せるもんなら、とっくに帰していると言っている」
ディアナの言葉をアルディアが訳す。
「え?」
「帰す方法は、ないそうだ」
言いながらアルディアは、顔をしかめた。
――――そもそもディアナは、温泉がどの世界から来たのかを知らない。
自分達の病状に一番効く温泉を呼び寄せただけの魔女は、その温泉の在処など、気にもとめなかったのだ。
「それに、ディアナが召喚したのはあくまで温泉だ。生き物に異界を渡らせるような魔法は、いかにディアナといえど、できないそうだ」
「でも、だって私は、現にここにいるじゃない!」
「だから、それは偶然の産物だと言っている。たまたま召喚した温泉にお前がいて、一緒に界を渡った。運の良い事に生きて五体満足にこちらにたどり着いたが、次も生きて渡れるとは限らない」
そんな保証はできないと ディアナは言った。
暖はガックリと膝をつく。
「××○×……」
「どうしても帰りたいと言うのなら、その結果、自分がどうなろうとも一切文句を言わないと一筆書いた上で、他の魔法使いに送ってもらえと、ディアナは言っている。……自分はそんな後味の悪い魔法は使いたくないと。まあ、文句などどうあっても言えないだろうがな」
送る先も何もわからない転移魔法。
無事に帰れる保証など出来るはずもなく、成功率は皆無だろう。
この世界からいなくなり、ほぼ確実に死んでしまう暖に文句を言えるはずがないが、それにしても殺人にも等しい魔法を使いたい者は、いないだろう。
少なくともディアナは真っ平ごめんだと首を横に振った。
「こう見えてディアナは、この国一番の魔法使いだ。転移魔法なんていう大掛かりな魔法が使える者は数少ないし、ましてや異世界を渡らせるような魔法を使えるのは、私の知る中では、ディアナだけだ。…… お前は、もう元の世界に帰ることはできない」
非情にもアルディアは、言い切った。
その後のアルディアと他の人たちのやり取りを、暖は呆然と見ていた。
言葉はアルディアの台詞しかわからない。
「そうは言っても、全ての責任はお前だろう」
「ああ、仕方ない。言葉は私が教えてやる」
「遠慮せずに働いてもらえばいい」
何が何だかわからない内に、暖の処遇は決まっていった。
それをまとめれば――――
1 当面の暖の世話はディアナがすること、ディアナのできないところは、ウルフィアが手伝う。
2 衣食住をディアナにみてもらう代わりに、暖はディアナの家事を手伝う。
3 暖の言葉はアルディアが教える。その代わりに暖は、アルディアのいる診療所の下働きをする。
4 暖の仕事は当分無報酬。その代わり生活費として決まった金を国が支払う。
5 暖が一人で生活出来る能力と居場所、収入を得られるようになれば、この取り決めは無効となる。
「かなりお前に有利な条件だぞ。これで頷けなければ、私はもう知らぬ。勝手に何処にでも行って野垂れ死ね」
アルディアはそう言った。
高飛車で、どこまでも偉そうなアルディア。
なんと、彼はこの国の第二王子だった。
様々な種族が暮らすこの国で、スムーズに統治をするために、王族にはあらゆる言葉がわかる翻訳能力が有るのだそうだ。
第二王子でありながら病弱で喘息持ちのアルディアは、この村で療養生活をしているのだという。
「実際は、廃嫡されたようなものだ。それでもお飾りの権力が少しはある。今の私が出来るのは、これくらいだ」
美しい顔をゆがめ、アルディアは自嘲した。
突然異世界に召喚されて、もう帰れないと言われ、暖は、わけがわからない。
勝手に処遇を決められて納得出来るはずなどないが、それでも、これ以上はどうにもならないことだけは、…… わかった。
何より今は、唯一言葉の通じるアルディアから離れたくない。
王族ならば他の人でも言葉がわかるのかもしれないが、他の王族に会える保証はなかった。
「その条件で良いです」
暖の答えに、アルディアは当然だろうと頷く。
「少しは考える頭が有ったようで何よりだ」
やはり腹のたつ王子様だった。
こうして、暖の異世界生活は、はじまったのだった。
「お前は、そこの魔女――――ディアナが、温泉とやらを召喚したのに巻き込まれたんだ」
仏頂面で、そう言った。
「お、温泉!?」
暖は二の句が告げない。ギギギッと音がしそうにぎこちない動きでディアナを見れば、年老いた魔女はフンと横を向いた。
温泉の召喚は、次元の壁を越えて行われ、暖がいた世界とこの世界は全く次元の違う異世界だろうとも、アルディアは話す。
「そ、そんなバカな! そんなことに私は巻き込まれたの?」
「そうだと言っている。私は疲れているんだ。同じ話を何度もさせるな」
アルディアは、やっぱり偉そうだった。
「か、帰してください! 今すぐ私を帰して!」
焦ってディアナに詰め寄る暖。
魔女は持っていた杖で暖を威嚇し、距離をとった。
「××! ××○▽!」
「帰せるもんなら、とっくに帰していると言っている」
ディアナの言葉をアルディアが訳す。
「え?」
「帰す方法は、ないそうだ」
言いながらアルディアは、顔をしかめた。
――――そもそもディアナは、温泉がどの世界から来たのかを知らない。
自分達の病状に一番効く温泉を呼び寄せただけの魔女は、その温泉の在処など、気にもとめなかったのだ。
「それに、ディアナが召喚したのはあくまで温泉だ。生き物に異界を渡らせるような魔法は、いかにディアナといえど、できないそうだ」
「でも、だって私は、現にここにいるじゃない!」
「だから、それは偶然の産物だと言っている。たまたま召喚した温泉にお前がいて、一緒に界を渡った。運の良い事に生きて五体満足にこちらにたどり着いたが、次も生きて渡れるとは限らない」
そんな保証はできないと ディアナは言った。
暖はガックリと膝をつく。
「××○×……」
「どうしても帰りたいと言うのなら、その結果、自分がどうなろうとも一切文句を言わないと一筆書いた上で、他の魔法使いに送ってもらえと、ディアナは言っている。……自分はそんな後味の悪い魔法は使いたくないと。まあ、文句などどうあっても言えないだろうがな」
送る先も何もわからない転移魔法。
無事に帰れる保証など出来るはずもなく、成功率は皆無だろう。
この世界からいなくなり、ほぼ確実に死んでしまう暖に文句を言えるはずがないが、それにしても殺人にも等しい魔法を使いたい者は、いないだろう。
少なくともディアナは真っ平ごめんだと首を横に振った。
「こう見えてディアナは、この国一番の魔法使いだ。転移魔法なんていう大掛かりな魔法が使える者は数少ないし、ましてや異世界を渡らせるような魔法を使えるのは、私の知る中では、ディアナだけだ。…… お前は、もう元の世界に帰ることはできない」
非情にもアルディアは、言い切った。
その後のアルディアと他の人たちのやり取りを、暖は呆然と見ていた。
言葉はアルディアの台詞しかわからない。
「そうは言っても、全ての責任はお前だろう」
「ああ、仕方ない。言葉は私が教えてやる」
「遠慮せずに働いてもらえばいい」
何が何だかわからない内に、暖の処遇は決まっていった。
それをまとめれば――――
1 当面の暖の世話はディアナがすること、ディアナのできないところは、ウルフィアが手伝う。
2 衣食住をディアナにみてもらう代わりに、暖はディアナの家事を手伝う。
3 暖の言葉はアルディアが教える。その代わりに暖は、アルディアのいる診療所の下働きをする。
4 暖の仕事は当分無報酬。その代わり生活費として決まった金を国が支払う。
5 暖が一人で生活出来る能力と居場所、収入を得られるようになれば、この取り決めは無効となる。
「かなりお前に有利な条件だぞ。これで頷けなければ、私はもう知らぬ。勝手に何処にでも行って野垂れ死ね」
アルディアはそう言った。
高飛車で、どこまでも偉そうなアルディア。
なんと、彼はこの国の第二王子だった。
様々な種族が暮らすこの国で、スムーズに統治をするために、王族にはあらゆる言葉がわかる翻訳能力が有るのだそうだ。
第二王子でありながら病弱で喘息持ちのアルディアは、この村で療養生活をしているのだという。
「実際は、廃嫡されたようなものだ。それでもお飾りの権力が少しはある。今の私が出来るのは、これくらいだ」
美しい顔をゆがめ、アルディアは自嘲した。
突然異世界に召喚されて、もう帰れないと言われ、暖は、わけがわからない。
勝手に処遇を決められて納得出来るはずなどないが、それでも、これ以上はどうにもならないことだけは、…… わかった。
何より今は、唯一言葉の通じるアルディアから離れたくない。
王族ならば他の人でも言葉がわかるのかもしれないが、他の王族に会える保証はなかった。
「その条件で良いです」
暖の答えに、アルディアは当然だろうと頷く。
「少しは考える頭が有ったようで何よりだ」
やはり腹のたつ王子様だった。
こうして、暖の異世界生活は、はじまったのだった。
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