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第二章 マルシカの町に入り宿に泊まる町を観光する

2、宿屋でまったり鍛錬して武器店で大物買いする

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 さてと、何から始めればいいのだろう。
 ぽち、たま、うさ子に、朝ごはんのミルクを飲ませながら、ボクは考えていた。お買い物とか行くんだけど、ぽち達はどうしようか、聞いてみる。

「ぽち、たま、うさ子、お留守番する?」

『『『いや~、いっしょに行く~』』』

 うん、そう言うと思ってた。でも、あえて逆を聞いてみたのだ。

『カイトいじわる~』

 そして、予想通り、最強のモフモフ攻撃を放ってきたのだ。擦り寄ってきた、ぽち、たま、うさ子のふわふわの毛並みを優しく撫でる。

「ごめん、ごめん、いっしょだから」

『うん、いっしょ』『ずっと、いっしょ』『カイトだいすき~』

『ボクもだよ』ニマニマしながら、伝える。

 しかし、目とか見ると愛犬の気持ちとか分かるモノと思ってたけど、本当に分かって会話できると、もっと良いなぁ。
 なんて事の無い会話で、なんとなく心が暖かくなって行くよね……。

「出かける時は、キャリーバックの中で、我慢して、くれな」

『『『うん、だいじょうぶ~』』』

 連れて行くより、宿の中の方が安全かもしれない。けど、もしも何かあったとき、離れていては、何も出来ないからね。
 それに、何かあった時、守るために、ボクがいるのだ。


 守るといえば三日間ほど槍の練習をして来たけど、ボクの戦闘スタイルに槍は合ってない気がする。
 スキルを覚えないから、イヤになった訳ではないよ。

 初戦闘から見ても、ボクの主戦力は雷魔法になると思う。なのに、サンダーボールを撃つのに、槍が邪魔だったりするのだ。
 といって、アイテムボックスにしまっておくと、取り出すときのタイムラグは、いざという時に致命的になりそうだ。

 武器は実物を店で、色々見て決めよう。食器や服その他も、店で見ながら必要な物を選んでいこう。

 ずっとキャリーバックの中じゃ可哀相なので、外出は一日4~5時間一回くらいと決める。安全で人目に付かない場所があれば、出してあげられるのだけれど……。

 それ以外の時間は、部屋の中で出来る鍛錬かな。

 腕立て伏せや腹筋をして、ぽち、たま、うさ子の人間アスレチックになる。ウェイト代わりのぽち、たま、うさ子を振り回す。

 えっ、遊んでないよ。

 ぽち、たま、うさ子!念話と連携の訓練、行くぞ。右上げて、右下げないで、左下げて、左手上げないで右上げて……。よし、次はイメージ当て、ゲーム!

 遊んでナイヨ……。

 鍛錬をしてると、眠くなってきたようで、それぞれ、モフモフの塊になった。

『『『カイト~ごはん』』』

 魔法の練習をしていると、起き出して来たので、ミルクを上げてから、ボクの食事と買い物に出かける事にする。


 キャリーバックを背負って、宿を出る。
 通りに出ると、右手メインストリートのある方向へ向かう。途中にある食堂の食事は、まあ、普通だった。解析の必要は無いだろう。

 メインストリートに出ると、左手に武器店がある。きのう目印にして、通りすぎた曲がり角の店だ。
 ボクも日本男子、少しワクワクしながら店内に入っていった。

 武器はちゃんとした物になると、けっこうお高い。

 この世界の中流階級の家庭の一月の収入は、10万マール~20万マール。
 日本と違い中流階級は、最も多い層ではない。この世界で最も多いのは、その下の層で月の収入が10万に満たない人達だ。
 その平均収入は月5万マールくらいだろうか……。

 そんな世界で、その店の武器の価格帯は、10万マール~30万マール位だった。神様サポートの約八百万マール、本当に感謝しかない。

 剣を見せてもらって、持ってみる。おお、重量感が……、だが筋力がプラスされているせいか、楽に振れる。
 これで、ズバッと切って、返り血がドバッ……。うん、他の武器も見てみよう。 

「魔法の武器って無いのかな?」

「ございますよ。しかし、少々お高くなりますよ」

 思わず呟いていたら、店主が答えてくれた。あるらしい、そして本当に高かった。
 魔法が使えると、魔力が感じ取れる。相性とかもあるらしい。その中で、一番魔力が強いという訳ではなかったが、他の物より気になる品だった。

 そして、一番高い。もしかして、ふっかけられている?

「そちらの剣や槍の方が、魔力が高いように思えますが?」

 ほぅ、と感心するような顔を浮かべると、楽しそうに話し出した。きっと、好きなんだろうな、この仕事。

「確かに、これは失敗作と言われているモノですね。しかし、これアンブロスの作品なのですよ。今なお並ぶものなき、不世出の大天才アンブロス。
 本来なら、この2倍3倍の値段でもおかしくないのです。
 偉大なるアンブロス、魔法武器製作者、その品を扱う者にとっては、神のごとき存在。
 武器商人なら、一度は商ってみたい垂涎の品! ああ、アンブロス、アンブロス……。おお、アンブロス、アンブロス……アンブロス、アンブロス……」

 わかりました、天才アンブロス製作の付加価値付きの物なんですね。でも、なんか最後の方、宗教みたいで怖いです……。

『うそは言ってないみたい……』『……でも、○○してる?』

 ぽち達の保証も貰った。だが……。

「あの、良いのですか? ボクに売ってしまって」

「……いいんですよ。今は、まともに買って頂けるだけで、ありがたいのです」

 何か事情がありそうだが、お得な買い物が出来たと言う事で良いだろう。ありがたく、買ってしまおう。
 代金を払い、受け取ると、アイテムボックスの中に、大事に仕舞い込んだ。

 買っちゃいました……。大金貨5枚、500万マールの品物を。

 ま、まだ300万マールくらい持ってるし。

 良い物なんだから、使えなくても、高く売れるからね?

 ほら、売れそうな日本産の高級品も作れるから。

『『『(^^)』』』

『ぽち、たま、うさ子、ありがとう(^^)』


 大物のお買い物って、何故か疲れるね……。今日はもう宿に帰ろう。


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