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第二部一章 第七王家の所領で盗賊退治
6、盗賊退治と第七王家の秘密☆ボク達はスルーします
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『『カイトだいじょうぶ?』』『カイトちゆ魔法~』
『待って、手の内をあまり見せたくない。念話や治癒魔法を使えるのは隠しておこう。花音ちゃん大丈夫かな?』
『はい、大丈夫です』
今回は三匹の探知能力を知って直ぐに、指名依頼である。まあ、バラしてしまったのはボクなのだが……。これ以上は、便利なところを見せたくないと思った。
馬車を降りると、ボクと花音ちゃんは息も絶え絶えになっていた。
舐めてた……乗り物酔いになった事がなかったから。心配して治癒魔法を使おうとした三匹を止めたのは失敗だったと後悔した。
だが、せっかくココまで我慢したんだからと無理を押し通す……うぇ。ギリギリセーフ、口の中が苦酸っぱい。
ジェフリーさんと騎士団の見守る中、数分ほど乗り物酔いからの自然回復を待つことになる。
少し歩くと、ぽちが臭いを見つけてた。そのまま盗賊のアジト近くまで案内する。
見張り役の盗賊が二人いた。洞窟の出入り口は草木で隠蔽されていたが、在ると知ってよく見れば隠せるほどのものではない。
第一騎士団と言うからには、おそらくは第七王家の主力だろう。戦闘については手助けを必要としないほどの強さを感じる。花音ちゃんでは、騎士隊長のジェフリーさんには及ばないかもしれない。
おそらくジェフリーさんは、女神のダンジョンクリア者ではないだろうか。
指示に従いボク達は、その場から下がって待機する。後は第一騎士団にお任せだ。
予想通り、一方的に盗賊達が倒されていったようである。
彼らの目的は、盗賊に捕らえられていた人にあったらしい。
うさ子の耳には、遠くから会話が聞こえてきてしまう。念話能力で、ときどき断片的な思考すら拾っている。
☆☆☆
今回、第一騎士団隊長ジェフリーに与えられた任務は盗賊退治ではなかった。行方が分からなくなった第一王家からの密使の確保である。
密使は、予定の日を過ぎても到着しなかった。調査すると、充分な護衛のいる商隊に紛れ込んだ密使は、盗賊に襲われた事が分かったのだ。
任務の優先度は、密書の回収と関係者の始末。密使はアイテムボックス持ちだ。死なれて、密書がいつ何処から現われるか分からない状態も困るのだ。
素人ではない、アイテムボックス持ちである事を明かして、取りあえずは生き延びているはずだ。そして救助を待っているだろう。
尋問を任せたら、捕虜の盗賊は案内できる状態じゃなくなっていた。必要な事は聞きだしているのだが……。充分な捕虜の数に、案内用に残すようにとの指示を忘れていたのだ。ジェフリーは頭を抱えた。
盗賊のアジトは王都から北にある森の中。7日ほど前に商隊を襲っていて、アイテムボックス持ちの捕虜がまだ生きている。
しかし北の森の中から盗賊のアジトを探すのに、どれだけ日数が掛かるのか。盗賊も捕虜を、いつまでも生かしたままではいないだろう。
思い悩むジェフリーが、カイト達のことを思い出すのに時間はかからなかった。
北の森までは35キロほど。馬車を全速力で走らせた。
馬車は多少馴れた程度では、耐えられないだろう程に揺れた。ジェフリーは、カイトたちを見ると少し悪いことをした気分になる。
二人が落ち着くと、言い訳をするように告げた。
「ああ……盗賊のアジトに捕虜がいるらしくてな。少し、急いじまった」
カイトたちの探索能力は、ジェフリーの期待以上だった。ものの30分たらずで、盗賊達の痕跡を見つける。そのあとは1時間ほどで、見張りに気付かれる事なく、アジトの場所まで突き止めてくれた。
ジェフリー達の作戦は、実力差を生かした単純明快な正攻法である。最初は出来るだけ静かに、バレたら一気呵成に突撃する。
入り口付近にいた見張り役の盗賊二人を背後から忍び寄り静かに斬り捨てる。
情報によれば、出入り口は一つ。洞窟の中は、15メートルほども行くと急に広い場所に出る。壁沿いに幾つもの部屋が掘られている。
一息に駆け、驚き何も出来ない間に倒していく。何人かの悲鳴は漏れてしまう。
「なんだ、どうした?
て、敵だ。盗賊狩りだ。迎え撃てー」
あとは、慌てふためく盗賊を斬って行くだけだ。出入り口を封鎖するために、二人を残し奥へ進む。
「第七王家第一騎士団だ。盗賊ども、武器を捨てて投降しろ」
ゲェ~。と、相手を知り盗賊側から絶望の声が上がる。
「怖気づくな! 捕まりゃどの道、命はねぇ。やっちまえ」
叱咤し向かってくる者は、それなりの実力があるようだった。しかし、第一騎士団の精鋭に比べれば全然足りない。
乱戦になると、散発的に何人かは出口に向かって逃げることに成功している。希望を打ち砕かれるだけなのだが……。
捕虜用の部屋は、格子状の鉄枠の壁で直ぐに分かった。中に一人の男が倒れていて、牢の扉は開いていた。
生きているのか死んでいるのか、無残な拷問の後がある。寸前まで行われていたのか、血はまだ乾いていない。
その男の体の回りには、食料、衣服、本、食器、皮袋、金貨……様々な物が散らばっている。その中に、ジェフリーは封印のある密書を確認した。
「死んでいます。少し前まで、生きていたようですが……。
我々に気付いて、死ぬ寸前にアイテムボックスの中身をすべて吐き出したようですね」
更に一時間ほどかけて、洞窟内をくまなく探す。一人残らず盗賊を片付けた。
洞窟を出るとカイトたちの待つ方向を見ながら、部下の一人が呟くようにジェフリーに問いかける。
「……彼らは、どうします?」
「どうもしないよ。アレを見る機会は、無かっただろ? どうかして、ギルドから変な目で見られるほうが問題だな」
☆☆☆
『みっしょ?』『みっし?』
『死んじゃってる』
盗賊相手にしては、随分な精鋭が動いてると思っていた。どうやら殺された人は、秘密の何かを運んでいたらしい。
『なんか私たち、とんでもない事件に巻き込まれてます?』
『その密書。内乱やクーデターの相談だったりして……』
不安に顔を青くする花音ちゃんに、モフモフを勧める。いつもより、ぎこちなくなる撫で撫でにも三匹は大サービスで花音ちゃんに擦り寄っていく。
『あっ、出てきます』
こちらを向いての「どうします?」が、うさ子の耳には聞こえて、みんなに伝わる。
口封じのするかどうかだよね。やはり、クーデターレベルのヤバイ秘密らしい。秘密が在ると知ってるだけで、抹殺対象かも知れない。
この場はジェフリーさんの言葉を信じて、逃げ出すのはやめておこう。
『何も知らないふりするよ~』
『『『ラッジャ~』』』『はい』
ボク達はモフモフしながら、ジェフリーさんたちが近づいて来るのを待っていた。
もう一度、馬車に乗るのはごめんである。色々ときな臭いし、このまま現地解散させてもらう事にしよう。
「「お疲れ様~」」
「おかげで、無事に盗賊退治が終わったよ。ありがとう」
「しかし、何で女神様に顔向け出来なくなるような真似をするんですかね」
盗賊の洞窟をみてボクがいう。わずかに、ジェフリーさんの心のざわつきが感じられる。
「ああ、女神様に会えなくなるような事はやりたくないな……。
ところで二人は、第七王家に仕官するつもりは無いのかな?」
「ボク達の目標はダンジョンで女神様に会うことなので、何処にも仕官するつもりはないです。旅の後は、またダンジョンに行こうと思ってます」
「……そうか、ダンジョンに。女神様に会えると良いな」
ボク達が馬車に乗りたくないので、徒歩で行くというと笑いながら承知してくれた。
第一騎士団による待ち伏せは無いと思う。が、念のためボク達は第七王都には戻らず、そのまま関所近くのエンスマイルの町を目指した。
第七王家の戦力は、他にもある。そして、上の判断がジェフリーさんと同じだとは限らない。
馬よりも早く駆けエンスマイルを抜け、そのまま関所に向かう。
◇==========================◇
応援よろしくお願いします。
更新、かなり遅れました。m(*T▽T*)m オ、オユルシヲ・・・
騎士隊長のジェフリーさんは、ずっと後に登場するかもしれない予定の人です。
今回の事がきっかけで、心が揺れて……敵となるか味方となるか。
『待って、手の内をあまり見せたくない。念話や治癒魔法を使えるのは隠しておこう。花音ちゃん大丈夫かな?』
『はい、大丈夫です』
今回は三匹の探知能力を知って直ぐに、指名依頼である。まあ、バラしてしまったのはボクなのだが……。これ以上は、便利なところを見せたくないと思った。
馬車を降りると、ボクと花音ちゃんは息も絶え絶えになっていた。
舐めてた……乗り物酔いになった事がなかったから。心配して治癒魔法を使おうとした三匹を止めたのは失敗だったと後悔した。
だが、せっかくココまで我慢したんだからと無理を押し通す……うぇ。ギリギリセーフ、口の中が苦酸っぱい。
ジェフリーさんと騎士団の見守る中、数分ほど乗り物酔いからの自然回復を待つことになる。
少し歩くと、ぽちが臭いを見つけてた。そのまま盗賊のアジト近くまで案内する。
見張り役の盗賊が二人いた。洞窟の出入り口は草木で隠蔽されていたが、在ると知ってよく見れば隠せるほどのものではない。
第一騎士団と言うからには、おそらくは第七王家の主力だろう。戦闘については手助けを必要としないほどの強さを感じる。花音ちゃんでは、騎士隊長のジェフリーさんには及ばないかもしれない。
おそらくジェフリーさんは、女神のダンジョンクリア者ではないだろうか。
指示に従いボク達は、その場から下がって待機する。後は第一騎士団にお任せだ。
予想通り、一方的に盗賊達が倒されていったようである。
彼らの目的は、盗賊に捕らえられていた人にあったらしい。
うさ子の耳には、遠くから会話が聞こえてきてしまう。念話能力で、ときどき断片的な思考すら拾っている。
☆☆☆
今回、第一騎士団隊長ジェフリーに与えられた任務は盗賊退治ではなかった。行方が分からなくなった第一王家からの密使の確保である。
密使は、予定の日を過ぎても到着しなかった。調査すると、充分な護衛のいる商隊に紛れ込んだ密使は、盗賊に襲われた事が分かったのだ。
任務の優先度は、密書の回収と関係者の始末。密使はアイテムボックス持ちだ。死なれて、密書がいつ何処から現われるか分からない状態も困るのだ。
素人ではない、アイテムボックス持ちである事を明かして、取りあえずは生き延びているはずだ。そして救助を待っているだろう。
尋問を任せたら、捕虜の盗賊は案内できる状態じゃなくなっていた。必要な事は聞きだしているのだが……。充分な捕虜の数に、案内用に残すようにとの指示を忘れていたのだ。ジェフリーは頭を抱えた。
盗賊のアジトは王都から北にある森の中。7日ほど前に商隊を襲っていて、アイテムボックス持ちの捕虜がまだ生きている。
しかし北の森の中から盗賊のアジトを探すのに、どれだけ日数が掛かるのか。盗賊も捕虜を、いつまでも生かしたままではいないだろう。
思い悩むジェフリーが、カイト達のことを思い出すのに時間はかからなかった。
北の森までは35キロほど。馬車を全速力で走らせた。
馬車は多少馴れた程度では、耐えられないだろう程に揺れた。ジェフリーは、カイトたちを見ると少し悪いことをした気分になる。
二人が落ち着くと、言い訳をするように告げた。
「ああ……盗賊のアジトに捕虜がいるらしくてな。少し、急いじまった」
カイトたちの探索能力は、ジェフリーの期待以上だった。ものの30分たらずで、盗賊達の痕跡を見つける。そのあとは1時間ほどで、見張りに気付かれる事なく、アジトの場所まで突き止めてくれた。
ジェフリー達の作戦は、実力差を生かした単純明快な正攻法である。最初は出来るだけ静かに、バレたら一気呵成に突撃する。
入り口付近にいた見張り役の盗賊二人を背後から忍び寄り静かに斬り捨てる。
情報によれば、出入り口は一つ。洞窟の中は、15メートルほども行くと急に広い場所に出る。壁沿いに幾つもの部屋が掘られている。
一息に駆け、驚き何も出来ない間に倒していく。何人かの悲鳴は漏れてしまう。
「なんだ、どうした?
て、敵だ。盗賊狩りだ。迎え撃てー」
あとは、慌てふためく盗賊を斬って行くだけだ。出入り口を封鎖するために、二人を残し奥へ進む。
「第七王家第一騎士団だ。盗賊ども、武器を捨てて投降しろ」
ゲェ~。と、相手を知り盗賊側から絶望の声が上がる。
「怖気づくな! 捕まりゃどの道、命はねぇ。やっちまえ」
叱咤し向かってくる者は、それなりの実力があるようだった。しかし、第一騎士団の精鋭に比べれば全然足りない。
乱戦になると、散発的に何人かは出口に向かって逃げることに成功している。希望を打ち砕かれるだけなのだが……。
捕虜用の部屋は、格子状の鉄枠の壁で直ぐに分かった。中に一人の男が倒れていて、牢の扉は開いていた。
生きているのか死んでいるのか、無残な拷問の後がある。寸前まで行われていたのか、血はまだ乾いていない。
その男の体の回りには、食料、衣服、本、食器、皮袋、金貨……様々な物が散らばっている。その中に、ジェフリーは封印のある密書を確認した。
「死んでいます。少し前まで、生きていたようですが……。
我々に気付いて、死ぬ寸前にアイテムボックスの中身をすべて吐き出したようですね」
更に一時間ほどかけて、洞窟内をくまなく探す。一人残らず盗賊を片付けた。
洞窟を出るとカイトたちの待つ方向を見ながら、部下の一人が呟くようにジェフリーに問いかける。
「……彼らは、どうします?」
「どうもしないよ。アレを見る機会は、無かっただろ? どうかして、ギルドから変な目で見られるほうが問題だな」
☆☆☆
『みっしょ?』『みっし?』
『死んじゃってる』
盗賊相手にしては、随分な精鋭が動いてると思っていた。どうやら殺された人は、秘密の何かを運んでいたらしい。
『なんか私たち、とんでもない事件に巻き込まれてます?』
『その密書。内乱やクーデターの相談だったりして……』
不安に顔を青くする花音ちゃんに、モフモフを勧める。いつもより、ぎこちなくなる撫で撫でにも三匹は大サービスで花音ちゃんに擦り寄っていく。
『あっ、出てきます』
こちらを向いての「どうします?」が、うさ子の耳には聞こえて、みんなに伝わる。
口封じのするかどうかだよね。やはり、クーデターレベルのヤバイ秘密らしい。秘密が在ると知ってるだけで、抹殺対象かも知れない。
この場はジェフリーさんの言葉を信じて、逃げ出すのはやめておこう。
『何も知らないふりするよ~』
『『『ラッジャ~』』』『はい』
ボク達はモフモフしながら、ジェフリーさんたちが近づいて来るのを待っていた。
もう一度、馬車に乗るのはごめんである。色々ときな臭いし、このまま現地解散させてもらう事にしよう。
「「お疲れ様~」」
「おかげで、無事に盗賊退治が終わったよ。ありがとう」
「しかし、何で女神様に顔向け出来なくなるような真似をするんですかね」
盗賊の洞窟をみてボクがいう。わずかに、ジェフリーさんの心のざわつきが感じられる。
「ああ、女神様に会えなくなるような事はやりたくないな……。
ところで二人は、第七王家に仕官するつもりは無いのかな?」
「ボク達の目標はダンジョンで女神様に会うことなので、何処にも仕官するつもりはないです。旅の後は、またダンジョンに行こうと思ってます」
「……そうか、ダンジョンに。女神様に会えると良いな」
ボク達が馬車に乗りたくないので、徒歩で行くというと笑いながら承知してくれた。
第一騎士団による待ち伏せは無いと思う。が、念のためボク達は第七王都には戻らず、そのまま関所近くのエンスマイルの町を目指した。
第七王家の戦力は、他にもある。そして、上の判断がジェフリーさんと同じだとは限らない。
馬よりも早く駆けエンスマイルを抜け、そのまま関所に向かう。
◇==========================◇
応援よろしくお願いします。
更新、かなり遅れました。m(*T▽T*)m オ、オユルシヲ・・・
騎士隊長のジェフリーさんは、ずっと後に登場するかもしれない予定の人です。
今回の事がきっかけで、心が揺れて……敵となるか味方となるか。
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