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第一章 ウサギは強くなれるのか?
12、虹色角のウサギは冒険者に挑もうと死を覚悟する 「生きろ!」とウサギ家族(後編)
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◇=====◇
遠くから見ただけでは、分からない事は多い。エレは、その人間の前に出て思った。やばい、こいつは強い。……だけど、引けない。
逃げる側なら、脱兎を使えれば速さだけは勝りそうなのだが……。できるのか? エレは敵に向かって、その背後の方向へ逃げると考えていた。
脱兎のスキルが、はたらいている事を確認しながら帯電して加速した。
向かってくる人間の走る速度が僅かに落ちる。すると、虚空から2メートルほどのハルバードを取り出して走りながら構えた。
相手は、ウサギの速度を技量で上回っていた。しかし切り捨てるはずの一撃を放つ寸前で、何かに気を取られ狙いを狂わせた。
わき腹を浅く切られながら、エレは二段跳びスキルで、空を蹴り方向を修正すると転進でスピードを維持した。帯電した体が人間に触れ、それを踏み台にして駆け抜けていく。
グアッ!
「電撃だと~、こっちも特殊固体か!」
エレは後方からの人間の声を聞いた。たいしたダメージが無い様子に驚き、同時に足止めが成功した事にホッとした。
すぐに、ヒールが合流して治癒魔法に包まれる。血に染まった体をみて、生き延びたのが偶々でしかないことを実感した。
◇=====◇
ソニックは、人間の強さを感じ取ると転進で方向を変えつつ、それ以上は接近しないよう並走する。
目立つようにバチバチと放電させる。人間は、ソニックを見ると振りかぶりナイフを投げてきた。
速度を落とす人間を見ると、アクアとガイアがソニックを追い越して前を駆けて行く。
◇=====◇
母ウサギは恐怖した。子供達が、人間に無理な足止めをしようとしている。いま立ち止まり、助けに引き返したとしても、何の意味もなさない。
母ウサギに出来ることは、囮としてより敵の目を引くことだけだった。
あらん限りの力で、母ウサギは空に跳んだ。そして、稲光を放った。
そして、人間達。ニックは、攻撃の狙いを外した。ブルースは前方のぬかるみに気付かず、盛大に転んだ。ぬかるみは、アクアとガイアの合作である。
囲みを抜けた後は、囮として軽く引き回す。そして、一気に姿をくらませ家族の巣穴に帰り着いた。
エレのモフモフが、半分くらい血でカピカピになっている。ソニックも、ナイフが掠ったらしく、少しカピカピしていた。
アクアが水魔法で洗い流し、ソニックが風魔法で乾かす。仕上げに母ウサギが、ヒールでみんなの体を温めていく。
ウサギ家族は、モフモフしながら、ストレスを解消すべく巣穴の中に入っていった。
◇=====◇
「……見失った」
「「……」」
「元の巣穴に戻るかなぁ?」
ニックは、皮製の軽鎧を外すとシャツを脱いで替えのシャツに着替えた。血の付いたシャツをニコルに渡す。
「邪魔してきたウサギの血なんだけど。ニコルなら、これで追えねぇ?」
集中すること数分。ニコルは、うさぎ家族の巣穴の方向を指差していた。
◇=====◇
血に宿る魔力から、探知され追跡されている。とは、知らぬウサギ達は巣穴の中でくつろいでいた。
それでも、大型の生き物が巣穴に近づけば気が付く程度の警戒は怠らない。うさぎ達の耳は捉えていた。つい数時間前に、逃げ切ったはずの人間の足音を……。
出入り口から様子を伺うと、外はおかしな霧で覆われていた。ニコルの水魔法で作られたもので、地を這うように高さ20センチほどの霧が広範囲に覆っていた。
「おっ、うさぎ発見!」
出入り口付近に、二人の人間。うさぎ達も気付かれた事を知り、奥に引き返す。すでに人間達は、霧の探知で巣穴の位置を把握していた。事は性急に進んでいたのだ。
「ワナ網、仕掛けてきたよ」「こっちも完了」
「ん~、穴の数多すぎて罠が足りないな」
「ニコル、ここの穴潰しちゃって。皆は、飛び出して来るかもだから注意な」
「はい」「おう」「……ん」
ニコルを残して、散らばっていく。
うさぎ家族達が通常使っていた出入り口に、火球が飛び込んで爆発した。出入り口は、無残に崩れ落ちていた。
「……来ないね」「こっちも」
「いぶり出しだし、いこうか」
うさぎ穴の入り口で、薪を組むと火をつける。炎が十分に燃え上がると、生木や葉っぱを足していく。煙を送り込むこと、1時間…。
「あれぇ?」「出て来ないね……」
「中で死んでんじゃないですか?」
「……それ、最悪」
「ん~。つながってない、別口の穴だったか。予想外に、遠いウサギ穴から逃げたか」
「しゃーない、もう一回」
この中で一番若いが魔術の才能があり、魔力探知に長けたニコル。経験値が最も高く気配を探るのに長けたリーダーのブラッド。
二人が見張る中、ニックとブルースが少し離れたウサギ穴に向うと、いぶり出しの準備にかかる。
探知力重視の布陣。その事が、うさぎ達に幸いした。
ニコルから、3メートルほど先の地面がいきなり崩れる。そこから、ウサギ達が飛び出してきた。
◇=====◇
今ある、すべてのウサギ穴が使えない。人間達の動きを聞きながら、母ウサギは確信していた。ならばどうするか?
母ウサギは、ガイアを見て思った。土魔法が使える、この子が居なかったら、ダメだったかもしれない。地面との距離が近い、索敵用の場所へ移動する。
母ウサギ達は、動きが取れなくなっていた。煙の匂いをかぎ、通路をふさぐしか道は無かったのだ。結果、その場所に地上への出口を作るほか無くなっていた。
今出れば死ぬ。人間達の動きをウサギ達は待っていた。一時間が過ぎ、やがてチャンスが訪れた。
母ウサギが注意する。角を使って戦ってはいけない。足を止めてしまえば、命取りになると……。
エレが帯電しながら言う、敵に向かって脱兎スキルで逃げる。
逃走用の加速スキルを、帯電しての接触ならば攻撃で使える。エレの発見に、母ウサギは頬を擦り付けて褒めてあげる。
みんなにモフモフすると、角を虹色に変え、ガイアに合図を送る。
天井が崩れ落ちると、次々とウサギ達は地上に飛び出していった。そして、そのまま加速してニコルに向かっていく。
魔法を放つ間を得られず、杖を振りかぶる。
武術の才能を持っていないニコルの動きは、母ウサギからみるとトロかった。殴りかかる杖をかわし、ニコルの顔を掠めて行く。
顔面に電撃を受けたニコルは完全に我を失う。そして、なすすべも無く次々と電撃を食らうことになった。
安全圏まで逃れると、人間の様子を伺う。
追いかけてくる。
夜まで引き回して、それからどうするか……。
また人間に居場所を、突き止められるのか?
強くなるしか無いのかも知れない。
夜になったら、強者の森に向かおう。母ウサギは子供達に告げる。
◇=====◇
で、強者の森でレベルアップして進化。そして、クマさんも倒したんだねぇ。えっ迷子? 強者の森に居なかった……?
もう進化して帰ってましたから、オレ。
人間は結局、追ってこなかったんだね。うん、そりゃそうだ。死んでるものね、オレと戦って。
しかし、みんな大変だったんだね。本当に生きていて良かった。
でも……。
でも、なんかずるくない?
上級ウサギ言語って何? みんな、新しい魔法覚えてるしぃ~。
みんなで仲良く、もふもふ大冒険とか……。
断固として、もふもふの補填を要求します。
◇=====◇
数日後には思い知る。
雷魔法は、早く覚えて無効化できるようにしないと……。
もふもふライフの危機ですよ。
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逃げる側なら、脱兎を使えれば速さだけは勝りそうなのだが……。できるのか? エレは敵に向かって、その背後の方向へ逃げると考えていた。
脱兎のスキルが、はたらいている事を確認しながら帯電して加速した。
向かってくる人間の走る速度が僅かに落ちる。すると、虚空から2メートルほどのハルバードを取り出して走りながら構えた。
相手は、ウサギの速度を技量で上回っていた。しかし切り捨てるはずの一撃を放つ寸前で、何かに気を取られ狙いを狂わせた。
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グアッ!
「電撃だと~、こっちも特殊固体か!」
エレは後方からの人間の声を聞いた。たいしたダメージが無い様子に驚き、同時に足止めが成功した事にホッとした。
すぐに、ヒールが合流して治癒魔法に包まれる。血に染まった体をみて、生き延びたのが偶々でしかないことを実感した。
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ソニックは、人間の強さを感じ取ると転進で方向を変えつつ、それ以上は接近しないよう並走する。
目立つようにバチバチと放電させる。人間は、ソニックを見ると振りかぶりナイフを投げてきた。
速度を落とす人間を見ると、アクアとガイアがソニックを追い越して前を駆けて行く。
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母ウサギは恐怖した。子供達が、人間に無理な足止めをしようとしている。いま立ち止まり、助けに引き返したとしても、何の意味もなさない。
母ウサギに出来ることは、囮としてより敵の目を引くことだけだった。
あらん限りの力で、母ウサギは空に跳んだ。そして、稲光を放った。
そして、人間達。ニックは、攻撃の狙いを外した。ブルースは前方のぬかるみに気付かず、盛大に転んだ。ぬかるみは、アクアとガイアの合作である。
囲みを抜けた後は、囮として軽く引き回す。そして、一気に姿をくらませ家族の巣穴に帰り着いた。
エレのモフモフが、半分くらい血でカピカピになっている。ソニックも、ナイフが掠ったらしく、少しカピカピしていた。
アクアが水魔法で洗い流し、ソニックが風魔法で乾かす。仕上げに母ウサギが、ヒールでみんなの体を温めていく。
ウサギ家族は、モフモフしながら、ストレスを解消すべく巣穴の中に入っていった。
◇=====◇
「……見失った」
「「……」」
「元の巣穴に戻るかなぁ?」
ニックは、皮製の軽鎧を外すとシャツを脱いで替えのシャツに着替えた。血の付いたシャツをニコルに渡す。
「邪魔してきたウサギの血なんだけど。ニコルなら、これで追えねぇ?」
集中すること数分。ニコルは、うさぎ家族の巣穴の方向を指差していた。
◇=====◇
血に宿る魔力から、探知され追跡されている。とは、知らぬウサギ達は巣穴の中でくつろいでいた。
それでも、大型の生き物が巣穴に近づけば気が付く程度の警戒は怠らない。うさぎ達の耳は捉えていた。つい数時間前に、逃げ切ったはずの人間の足音を……。
出入り口から様子を伺うと、外はおかしな霧で覆われていた。ニコルの水魔法で作られたもので、地を這うように高さ20センチほどの霧が広範囲に覆っていた。
「おっ、うさぎ発見!」
出入り口付近に、二人の人間。うさぎ達も気付かれた事を知り、奥に引き返す。すでに人間達は、霧の探知で巣穴の位置を把握していた。事は性急に進んでいたのだ。
「ワナ網、仕掛けてきたよ」「こっちも完了」
「ん~、穴の数多すぎて罠が足りないな」
「ニコル、ここの穴潰しちゃって。皆は、飛び出して来るかもだから注意な」
「はい」「おう」「……ん」
ニコルを残して、散らばっていく。
うさぎ家族達が通常使っていた出入り口に、火球が飛び込んで爆発した。出入り口は、無残に崩れ落ちていた。
「……来ないね」「こっちも」
「いぶり出しだし、いこうか」
うさぎ穴の入り口で、薪を組むと火をつける。炎が十分に燃え上がると、生木や葉っぱを足していく。煙を送り込むこと、1時間…。
「あれぇ?」「出て来ないね……」
「中で死んでんじゃないですか?」
「……それ、最悪」
「ん~。つながってない、別口の穴だったか。予想外に、遠いウサギ穴から逃げたか」
「しゃーない、もう一回」
この中で一番若いが魔術の才能があり、魔力探知に長けたニコル。経験値が最も高く気配を探るのに長けたリーダーのブラッド。
二人が見張る中、ニックとブルースが少し離れたウサギ穴に向うと、いぶり出しの準備にかかる。
探知力重視の布陣。その事が、うさぎ達に幸いした。
ニコルから、3メートルほど先の地面がいきなり崩れる。そこから、ウサギ達が飛び出してきた。
◇=====◇
今ある、すべてのウサギ穴が使えない。人間達の動きを聞きながら、母ウサギは確信していた。ならばどうするか?
母ウサギは、ガイアを見て思った。土魔法が使える、この子が居なかったら、ダメだったかもしれない。地面との距離が近い、索敵用の場所へ移動する。
母ウサギ達は、動きが取れなくなっていた。煙の匂いをかぎ、通路をふさぐしか道は無かったのだ。結果、その場所に地上への出口を作るほか無くなっていた。
今出れば死ぬ。人間達の動きをウサギ達は待っていた。一時間が過ぎ、やがてチャンスが訪れた。
母ウサギが注意する。角を使って戦ってはいけない。足を止めてしまえば、命取りになると……。
エレが帯電しながら言う、敵に向かって脱兎スキルで逃げる。
逃走用の加速スキルを、帯電しての接触ならば攻撃で使える。エレの発見に、母ウサギは頬を擦り付けて褒めてあげる。
みんなにモフモフすると、角を虹色に変え、ガイアに合図を送る。
天井が崩れ落ちると、次々とウサギ達は地上に飛び出していった。そして、そのまま加速してニコルに向かっていく。
魔法を放つ間を得られず、杖を振りかぶる。
武術の才能を持っていないニコルの動きは、母ウサギからみるとトロかった。殴りかかる杖をかわし、ニコルの顔を掠めて行く。
顔面に電撃を受けたニコルは完全に我を失う。そして、なすすべも無く次々と電撃を食らうことになった。
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◇=====◇
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人間は結局、追ってこなかったんだね。うん、そりゃそうだ。死んでるものね、オレと戦って。
しかし、みんな大変だったんだね。本当に生きていて良かった。
でも……。
でも、なんかずるくない?
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