消えた足音

老若暖炉

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ファイル4 「蛇足情報」 注!~あくまで蛇足情報であることに留意すべし~

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 蛇足情報その1。
 会社員(匿名希望)の証言は以下の通りだ。
「その~、そうっす!あの事件の前日のあいつはすごかったっすよ~。人が変わったように仕事に集中しちゃってさぁ。確かにあいつはできる奴っすけど、単純にただできる奴じゃあないんすよぉ。そもそも俺たちの仕事は慣れればやることは単純!…とはいってもやっぱり体力が持っていかれるっす。この仕事をうまくこなすには要領よく…、そう、要領よくやらなくちゃいけないっす。」
—全てここだけの話だ、とさりげなく紙を渡しながら彼に伝えた。
「…ヘェー。…フーン。なんか悪いっすね。え?、早くしろって?その、つまり、あまり大きい声では言えないっすけど要はいかに【黒い線で塗りつぶされている】に尽きるっす。マジで。あいつはそれをするのが苦手で、ホントにまじめちゃんっすよ。」
—ありがとう、と感謝の意を伝えつつ、さりげなく彼の【かすれて文字が読めない】から【最初の文字が「糸」とだけ読み取れる】を抜き取り、堂々と社長室へ向かった。
補足。数ヶ月後その会社は元社員からの告発により、裁判が起こり負けて多額の損害賠償を払えず倒産した。


蛇足情報その2
自称オカルトマニア兼大学院生の証言は以下の通りだ。
—では、確かにひいたということで良いのか、と再度質問した。
「そうさ。確かに轢いたよ。当然初めてだけど直感でわかる。あれは確かに"人”だった。」
—たが、証拠が無い、と簡潔に言い切った。
「…。証拠はないけど、僕の車なんだ。例え突然のことで目をつぶってしまっていたとしても、僕は僕の記憶を間違えるほど錯乱していなかったよ。何しろあいつを送り届けたのは僕だからね。」
—どうやら君に無駄な時間を過ごさせたようだ、何かあったら是非こちらへ連絡をくれないか。当然【ここだけ綺麗に切り取られている】方面のことでだ、と内心何か奇妙な縁を感じながら彼に伝えた。
補足。彼は何かと使えそうだ。上記のような案件でつまった場合は、彼に意見を求めるのも一つの策だ。


蛇足情報その3
とある街の科学職員の証言は以下の通りだ。
「小さい頃誰もが一度は思うことなんでしょう?それは!透明に成れたら!!ということでしょう!!!」
—…。
「あれ、そうじゃないのかしら。私はその頃只のダンシだったからかしらね。透明になる薬を作って飲んで【あんなこと】や【こんなこと】をしたいと思ったわ。でも気にすることは無かったのよ…、ウブなboys達の【かなり乱暴に塗りつぶされている…】」
—恐らく眉を釣り上げたか、目を細めたのか、顎をしゃくったのかのかのいずれかのサインを出した、筈だ…
「ツレナイワー。だからあ【雑に修正した跡が残っている】ね。まあ、雑談はここまでにして、本題に入りましょう。実は最近分かった事だけど、成れるのよ。あそこなら透明にね。それは【かなり長く塗りつぶされているが所々文字が擦れて唯一「服」らしきものが読み取れる】」
補足。あまりオススメしないが彼女、いや、彼は上記の分野に関しては右に出るものを知らない。煮詰まったら手を借りるのも一つの策だ。
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