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沈船村楽園神殿
沈船村へ
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「それで、どんなところなんです沈船村っていうのは」
バスの中。こうして游理さんとお出かけするのは初めてです。裏内宇羅、柄にもなくウッキウキです。
「ああ、ちょっと待ってって」
そういうと游理さんはスマホに何か打ち込んでから。
「『345年前、海神様の声を聞いた僧侶、沈船を開祖とし、その神をあがめる信者たちにより開かれた・・・』
画面を見ながら淡々と読み上げる・・・って。
「ちょっと、ストップ、ストップです游理さん!」
「なんだよ、私はページを読み上げるのに忙しいんだから・・・村の名物は魚の活け造りなんだ。知らなかった、なんの魚だろ」
今から行く場所の情報を始めて知ったみたいなリアクションは、社会人としてどうかと思いますが、それよりも。
「庚游理さん、私たちは今その村に向かっているバスの中、ですよね」
「そうだな、だから聞いてきたんだろ」
何を当たり前のことを、といつも通りの仏頂面で返すわたしの心臓役。
「ここは公共交通機関の車内、オープンなスペースです」
「うんそうだね」
「なのにそんないろいろSAN値を削りそうな情報を音読するのってだめでしょ」
先日観た映画「殺人鬼マッド傘パート19、メカマッド傘の逆襲」でもそんなキャラは速攻でデッドエンドでしたし。
「別にそんなんじゃないよ」
と、スマホの画面を見せてきて
「村の観光課のページに全部載ってる」
「マジですか」
そんなんで来る人間は・・・結構いるかもしれませんね。
「ちなみにページの最後の更新は5年前」
「ちゃんと更新しましょうよ村役場」
「やっぱり邪教とか邪神よくある話で、あまり目立たなかったのか、観光地としてうまく行かなかったみたいね」
「目立たないんですか」
今この時代、割と末法では?
ちなみにわたしはスマホは未所持。契約とか面倒なことになりますし、いろいろ世知辛い世の中ですね。
「園村くんの行方がわからない」
銀銃屋敷から帰って来るなり、所長は労いの言葉もそこそこにそう切り出した。
「園村さんが? えっと今はどっかの村に行ってると聞いてたんですけど」
「『沈船村』、沈む船と書く。そこに行った彼と連絡が取れなくなった」
聞いたことない村だな・・・でも、あの人なら心配ないと思うけどな~
「彼の場合、祓っているとヒートアップして、ついつい災害レベルの環境破壊をやりかねないだろう。それが心配なんだ」
あ~確かに。
「・・・なんですか、この会社まともな人間いないんですか」
サラッと失礼なことを言うなよ、人外娘。
「それに、さすがの園村くんでももしものことがあるかもしれない。それくらいあの村は危ういんだ。何せ汚染禍が絡むから」
? 何だろ・・・聞いたことがあるような・・・
宇羅はその言葉を聞いて露骨に眉をひそめたような。
「キミたちも気をつけてね」
「はい・・・え」
凄く嫌な予感。
「あの、もしかして」
「うん、なるべく早く向かってもらえる?」
「え、その所長。私たち宮上さんの実家の方で銃やらなんやら撃ち込まれたりしたばかりなんですけど」
「宮上くんの方は、報告にあった『幽霊屋敷』の力の検査・・・専門家の伝手があってね。それを受けてから行ってもらうから」
ちなみに当の本人は「疲れた、寝る。報告はお前らがしろ」とだけ言ってさっさと帰ってしまった。
まずった。無理にでもついてきてもらうべきだった。
「そういう訳で、庚くん、宇羅。先にふたりで向かってくれるかな?」
私だとこういう場面で断れない! そうだ、宇羅。頼むビシッと言って。
「へ? あ、良いんじゃないですか? 同僚ですし、心配でしょ」
そこで正論を返さないで。何、もう少しで解体寸前のケガを負ってたのに。そんなの言われたら反論出来なくなるから。
「・・・というより汚染禍って何でしたっけ」
何で知らないのこの人。そう言いたそうな目をふたりから向けられた。
私もしかして常識ないの?
「実家の方で教わらなかったの?」
「そういうことをあまり学ぶと、かえって変なのを呼び込むかもしれないってんで」
「でも家を出てから結構経つよね。この仕事始める前に知る機会はいくらでもあったでしょうに」
「専ら実践方法とかに絞ってたんで」
「・・・まあ、正直これに関しちゃだいぶマイナーな用語、いや概念だけど」
「あ、じゃあいいです」
だけど構わず所長は説明を続ける。
「ものすごくざっくり簡単に言うと『汚染禍』のせいでこの世がこんなにもてんやわんやな状態になったって説があるんだよ」
「ああ、そろそろ」
予想通り。バスが村へ近づいたことで、スマートフォンの通信が遮断されました。祓いの仕事に現場では、突然ネットや電話が通じなくなるのはよくあることです。
霊障という言い方で合っているでしょうか。その点は私たちも織り込み済みのはずですが。
「あっつ!? うわうわ! これどうしよ! 買い換えたばかりなのに!」
何やらそれだけでは収まらないようです・・・ってなんか煙出てませんかこれ。
「とにかく電源切って! 游理さん」
通信が遮断されるのはよくあること。
問題は今みたいに。
「なんか繋がっちゃってるよね」
電源を切ったスマホが、通話中のままで、そこから声が聞こえるような場合で。
「きこしかもしくまけか、うみのそこのうみであおいあおいこしかもしくまけか・・・」
「宇羅・・・なんか言いたいことがあるみたい。話してみたら?」
「游理さんこそ、社会性壊滅人間の貴重なお友達獲得チャンスですよ
「その友達、私の脳みそ吸い取ったりしてこない!?」
「うまく行けば新たな世界の扉が7、8枚ほど開いちゃうかも!」
「向こう側に行ったら戻ってこれない扉だよそれ!」
いつものじゃれ合いをしている間に、剣呑な空間への直通高速回線を引き、いろいろ繋がり過ぎてしまったスマホの画面は消え、絶え間なく流れていた音声も聞こえなくなりました。
「切断された? 助かった、のかな、何か湧き出たりしない」
「そのようですね」
そう言えば今の騒ぎを運転手さんも聞いていたはず、まして乗客は私たち以外に誰もいないのですから。
そう思ったのですが、運転している・・・男性でしょうか? 帽子で顔はよく見えませんが全くこちらに関心はないようです。
運転に集中しているその姿勢は乗客としては頼もしいですが、本音を言えばこのような場合、つい邪推もしてしまいます。
これでも怨霊に何度も命を狙われた身の上ですし。一応確認しておきましょうか。
その帽子の中身見せてもらっても。
「・・・ま、慣れてるんでしょ。電話から得体のしれない声が流れるなんてことにはさ」
・・・さいですか。
「まあ、でもこっちは一応新参者で免疫とかもないだろうから、宇羅」
運転の邪魔にならないように、処理してよ。
はい、了解です、わたしの心臓、庚游理。
「『冷蔵庫』」
取り出したのは幽霊屋敷、裏内を構成する要素のひとつ、電源が切れても冷気が流れ出る冷蔵庫。このスマホはその中に保管します。
一旦向こうと繋がったのだから、その正体ないし生態の手掛かりといった所でしょうか。もちろん何かあった時のために、一瞬でコンクリートで叩き潰せるようにしておくのも忘れません。
まあ、こういう複雑な道具は再生にも手間と時間がかかるので、出来ればそんな真似はしたくはないのですが・・・。
游理さんの運命パワー、世界を壊せる大物をポンポン引き当て、どんな仕事もスケールアップさせる厄ガチャ。
藪蛇体質。
用心するに越したことはありません。
「・・・散々迷った末に大枚はたいて買ったのに・・・もうだめだ・・・帰りたい」
・・・まあ、今は鬱々とメンタルダウン状態な本人を仕事に戻すのが優先事項なんですけどね。
「あ、そろそろみたいですよ」
「そうだ、これ経費ってことにすれば通るんだ、そう信じよう・・・」
「游理さん」
ここはしっかり言っておかないと。
「失ったものは戻りませんよ」
「励ましたいのかとどめ刺したいのかどっちだよ」
何とかして彼女のテンションを上げておこうとしてるのに、もうどうしろと。
「お客さん、着きました」
丘の上にある停留所に降りると、すぐ目の前に灰色の村が広がっていた。
幽霊屋敷、裏内宇羅とその心臓にして祓い師、庚游理。
奇禍に見舞われながらも、わたしたちは沈船村に到着しました。
バスの中。こうして游理さんとお出かけするのは初めてです。裏内宇羅、柄にもなくウッキウキです。
「ああ、ちょっと待ってって」
そういうと游理さんはスマホに何か打ち込んでから。
「『345年前、海神様の声を聞いた僧侶、沈船を開祖とし、その神をあがめる信者たちにより開かれた・・・』
画面を見ながら淡々と読み上げる・・・って。
「ちょっと、ストップ、ストップです游理さん!」
「なんだよ、私はページを読み上げるのに忙しいんだから・・・村の名物は魚の活け造りなんだ。知らなかった、なんの魚だろ」
今から行く場所の情報を始めて知ったみたいなリアクションは、社会人としてどうかと思いますが、それよりも。
「庚游理さん、私たちは今その村に向かっているバスの中、ですよね」
「そうだな、だから聞いてきたんだろ」
何を当たり前のことを、といつも通りの仏頂面で返すわたしの心臓役。
「ここは公共交通機関の車内、オープンなスペースです」
「うんそうだね」
「なのにそんないろいろSAN値を削りそうな情報を音読するのってだめでしょ」
先日観た映画「殺人鬼マッド傘パート19、メカマッド傘の逆襲」でもそんなキャラは速攻でデッドエンドでしたし。
「別にそんなんじゃないよ」
と、スマホの画面を見せてきて
「村の観光課のページに全部載ってる」
「マジですか」
そんなんで来る人間は・・・結構いるかもしれませんね。
「ちなみにページの最後の更新は5年前」
「ちゃんと更新しましょうよ村役場」
「やっぱり邪教とか邪神よくある話で、あまり目立たなかったのか、観光地としてうまく行かなかったみたいね」
「目立たないんですか」
今この時代、割と末法では?
ちなみにわたしはスマホは未所持。契約とか面倒なことになりますし、いろいろ世知辛い世の中ですね。
「園村くんの行方がわからない」
銀銃屋敷から帰って来るなり、所長は労いの言葉もそこそこにそう切り出した。
「園村さんが? えっと今はどっかの村に行ってると聞いてたんですけど」
「『沈船村』、沈む船と書く。そこに行った彼と連絡が取れなくなった」
聞いたことない村だな・・・でも、あの人なら心配ないと思うけどな~
「彼の場合、祓っているとヒートアップして、ついつい災害レベルの環境破壊をやりかねないだろう。それが心配なんだ」
あ~確かに。
「・・・なんですか、この会社まともな人間いないんですか」
サラッと失礼なことを言うなよ、人外娘。
「それに、さすがの園村くんでももしものことがあるかもしれない。それくらいあの村は危ういんだ。何せ汚染禍が絡むから」
? 何だろ・・・聞いたことがあるような・・・
宇羅はその言葉を聞いて露骨に眉をひそめたような。
「キミたちも気をつけてね」
「はい・・・え」
凄く嫌な予感。
「あの、もしかして」
「うん、なるべく早く向かってもらえる?」
「え、その所長。私たち宮上さんの実家の方で銃やらなんやら撃ち込まれたりしたばかりなんですけど」
「宮上くんの方は、報告にあった『幽霊屋敷』の力の検査・・・専門家の伝手があってね。それを受けてから行ってもらうから」
ちなみに当の本人は「疲れた、寝る。報告はお前らがしろ」とだけ言ってさっさと帰ってしまった。
まずった。無理にでもついてきてもらうべきだった。
「そういう訳で、庚くん、宇羅。先にふたりで向かってくれるかな?」
私だとこういう場面で断れない! そうだ、宇羅。頼むビシッと言って。
「へ? あ、良いんじゃないですか? 同僚ですし、心配でしょ」
そこで正論を返さないで。何、もう少しで解体寸前のケガを負ってたのに。そんなの言われたら反論出来なくなるから。
「・・・というより汚染禍って何でしたっけ」
何で知らないのこの人。そう言いたそうな目をふたりから向けられた。
私もしかして常識ないの?
「実家の方で教わらなかったの?」
「そういうことをあまり学ぶと、かえって変なのを呼び込むかもしれないってんで」
「でも家を出てから結構経つよね。この仕事始める前に知る機会はいくらでもあったでしょうに」
「専ら実践方法とかに絞ってたんで」
「・・・まあ、正直これに関しちゃだいぶマイナーな用語、いや概念だけど」
「あ、じゃあいいです」
だけど構わず所長は説明を続ける。
「ものすごくざっくり簡単に言うと『汚染禍』のせいでこの世がこんなにもてんやわんやな状態になったって説があるんだよ」
「ああ、そろそろ」
予想通り。バスが村へ近づいたことで、スマートフォンの通信が遮断されました。祓いの仕事に現場では、突然ネットや電話が通じなくなるのはよくあることです。
霊障という言い方で合っているでしょうか。その点は私たちも織り込み済みのはずですが。
「あっつ!? うわうわ! これどうしよ! 買い換えたばかりなのに!」
何やらそれだけでは収まらないようです・・・ってなんか煙出てませんかこれ。
「とにかく電源切って! 游理さん」
通信が遮断されるのはよくあること。
問題は今みたいに。
「なんか繋がっちゃってるよね」
電源を切ったスマホが、通話中のままで、そこから声が聞こえるような場合で。
「きこしかもしくまけか、うみのそこのうみであおいあおいこしかもしくまけか・・・」
「宇羅・・・なんか言いたいことがあるみたい。話してみたら?」
「游理さんこそ、社会性壊滅人間の貴重なお友達獲得チャンスですよ
「その友達、私の脳みそ吸い取ったりしてこない!?」
「うまく行けば新たな世界の扉が7、8枚ほど開いちゃうかも!」
「向こう側に行ったら戻ってこれない扉だよそれ!」
いつものじゃれ合いをしている間に、剣呑な空間への直通高速回線を引き、いろいろ繋がり過ぎてしまったスマホの画面は消え、絶え間なく流れていた音声も聞こえなくなりました。
「切断された? 助かった、のかな、何か湧き出たりしない」
「そのようですね」
そう言えば今の騒ぎを運転手さんも聞いていたはず、まして乗客は私たち以外に誰もいないのですから。
そう思ったのですが、運転している・・・男性でしょうか? 帽子で顔はよく見えませんが全くこちらに関心はないようです。
運転に集中しているその姿勢は乗客としては頼もしいですが、本音を言えばこのような場合、つい邪推もしてしまいます。
これでも怨霊に何度も命を狙われた身の上ですし。一応確認しておきましょうか。
その帽子の中身見せてもらっても。
「・・・ま、慣れてるんでしょ。電話から得体のしれない声が流れるなんてことにはさ」
・・・さいですか。
「まあ、でもこっちは一応新参者で免疫とかもないだろうから、宇羅」
運転の邪魔にならないように、処理してよ。
はい、了解です、わたしの心臓、庚游理。
「『冷蔵庫』」
取り出したのは幽霊屋敷、裏内を構成する要素のひとつ、電源が切れても冷気が流れ出る冷蔵庫。このスマホはその中に保管します。
一旦向こうと繋がったのだから、その正体ないし生態の手掛かりといった所でしょうか。もちろん何かあった時のために、一瞬でコンクリートで叩き潰せるようにしておくのも忘れません。
まあ、こういう複雑な道具は再生にも手間と時間がかかるので、出来ればそんな真似はしたくはないのですが・・・。
游理さんの運命パワー、世界を壊せる大物をポンポン引き当て、どんな仕事もスケールアップさせる厄ガチャ。
藪蛇体質。
用心するに越したことはありません。
「・・・散々迷った末に大枚はたいて買ったのに・・・もうだめだ・・・帰りたい」
・・・まあ、今は鬱々とメンタルダウン状態な本人を仕事に戻すのが優先事項なんですけどね。
「あ、そろそろみたいですよ」
「そうだ、これ経費ってことにすれば通るんだ、そう信じよう・・・」
「游理さん」
ここはしっかり言っておかないと。
「失ったものは戻りませんよ」
「励ましたいのかとどめ刺したいのかどっちだよ」
何とかして彼女のテンションを上げておこうとしてるのに、もうどうしろと。
「お客さん、着きました」
丘の上にある停留所に降りると、すぐ目の前に灰色の村が広がっていた。
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