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沈船村楽園神殿
蔵記様
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「亜江島祓い所の方ですね。私がこの沈船村の村長、沈船岬です」
趣味のいい高そうな洋服を着た人で、年齢は私と同じくらいか?
ロングヘアの宇羅が中身はともかく学園ものの委員長みたいなら、ショートのこっちは深窓の令嬢って感じ。
私も昔はそうだったんだけど。
応接間には様々なアンティークの家具があり、この家の歴史の古さを感じさせた。
そういえばうちの本家にも似たような感じでほこりかぶってる道具が山ほどあったな~まああれは実際に怨霊を斬って潰して燃やすのに使ってるんだけど。
まあ追い出された身には関係ないけどね。
「? どうしました?」
「失礼しました、さっきから度々嫌な連中のことを思い出してたもので」
いかんいかん。また変な方向に脱線するとこだった。
「それで、沈船さん。先日当社へご依頼なさったのは、あなたで間違いありませんね?」
「ええ。知人にそちらの所長さんを紹介していただいたもので」
知人・・・あの人変に顔が広いんだっけ。
「それで、弊社の社員、園村がここに伺ったと思うのですけど」
「ええ、ええ、あの方は10日前この家に来られて、ここに滞在して、仕事を進めていらっしゃったようです」
その時私たちはあの屋敷で怨霊相手に切った張ったしてたんだよね。と、今は関係ないか。
「それで、現在彼が何処にいるのかわからないとのことですが」
「ええ、園村様は4日前の朝に出て行ったきり、こちらには戻っておりません」
4日前・・・所長の話には合う。
「一応村の方にも遣いをやって探してはいるのですが、どうにも成果がないようでして。申し訳ありません」
「いえ。わざわざそのようにお手間を取らせてしまい、恐縮です」
なんかこういう丁寧に返されると、こっちが申し訳なくなるな。
「園村の件に付きましては、私たちが彼の仕事を引き継いで遂行するのと併せて、こちらで捜索しますので」
なんか迷子みたいな言い方だけど、あの人危険物をバカみたいに携帯してるから、割と洒落にならないんだよね。
「そうですか。しかしこちらで依頼させていただいた仕事とお仲間を探すのと、同時に行うのは大変でしょう?」
「ええ、しかしあくまでもご依頼の内容を優先しますので」
園村さんもまあそう簡単に、
ギュフュギュギュギュギュグ
される心配はないだろうし。
・・・あれ、今何か変な気分に。
「もし何か手がかりがあればすぐにおふたりに知らせるよう、私の方で伝えておきますので」
「あ・・・はい。ありがとうございます。いろいろと取り計らっていただいて・・・」
いけない。一瞬ぼんやりしてた。疲れてるのかな。
ぐちゃぐちゃ。
また部屋の隅で音が聞こえた。ってうるさいな。人が話してるのに。
「それでご依頼の内容について、話をしてもよろしいでしょうか?」
宇羅も横からいきなり口出さない。折角いろいろ協力してくれる流れなんだから。
「『蔵記様』の祠の除霊です」
ぐちゃぐちゃぐちゃ。
「『ぐらきさま』ですか。確かこの村は『蔵記様』を奉る教団が拓いた集落が起源でしたよね。その理解で間違いないでしょうか」
何で私より詳しいんだ。さっき私から聞いたばかりなのに、いつの間に調べた。
「ええ、この地域の守神と呼ばれています。村が生まれる前、古よりこの地に座す御方の為建立したのがその祠なのですが」
グッチャクグッチャフ。
座す御方。世界がこんな風になる前からいる存在。
「最近になって、よくないものが憑いたようでして」
よくないもの。祟り、怨霊、魑魅魍魎。
今この末法混沌世界でありふれている存在。
「確かにそういった神聖な場所なら、その神性諸共喰おうとする不逞の輩も湧いて出るでしょうね」
出された茶をすすりながら頷く宇羅。
前から思ってたけど、私より専門家っぽくないか? 後輩なのに。人外だけど・・・うん専門家だったわ。
「お恥ずかしい話ですが村の者だけでは手に余る類の『もの』のようで、さりとて放置することも出来ず、こうしてあなた方に依頼をさせていただいた次第でして」
癖なのか手首に着いた数珠をいじりながら、そうまとめる岬さん。
後は具体的な祠の状況に移ろうかと思ったけど、その前に。
「・・・それで、失礼ですがあなた方について教えていただきたいのですが・・・」
あちゃーやっぱツッコまれたか、まあ当然だよね、いきなり人数が増えておまけに片方は胡散臭い正体不明オーラが出てるから。
「今サラッと自分を常識人枠に放り込みましたね」
私は100%まともな常識人だよ・・・たぶん。
「いえ、決しておふたりの手腕などを疑っているわけではなく」
やや大袈裟に岬さんは手を振って否定した。
「一応は村の長として、村の聖域である祠へ案内するにあたり、邪念などがないことを証し立てる義務がございまして」
「邪念・・・・ありませんよ?」
「そこで疑問形ですか・・・わたしも全くそういうのないんで」
そうか? いやツッコむのは止めとこ。
「ええ、それについては弊社の方で、こちらの土地との相性を含む綿密な事前調査を行っております」
所長がそれをやったらしい。前の仕事から帰ってきてすぐにこの現場だから、何時やったのかは知らないけど。
「結果我々ふたりとも問題なく今回の案件で祓いを行うことが出来ると判明しました。岬さんや村の方々の安全は保障させていただきます」
私の体質とか、宇羅の素性とか考えたら、安全以前の問題だと思うけど変なこと言って不安にさせちゃダメだろうし。
「さようですか。それでしたら問題はありません、重要なのはこの村を害するものを排除することですので」
排除、除外、除霊。
「そのためには私も微力ながらお手伝いさせていただきます、なにか入用でしたらご遠慮なく申し出てくださいね」
何だかトントン話が進む。こんなに協力的な人も久しぶり、それだけこの村が大事ってことね。
・・・なんか人間としての各種要素の差を感じるな。
まあ力を貸してくれるっていうし、今の所は順調かな?
自分の藪蛇体質、攻略難易度強制上昇の呪いじみた巡り合わせを忘れて、私はそう思った。
趣味のいい高そうな洋服を着た人で、年齢は私と同じくらいか?
ロングヘアの宇羅が中身はともかく学園ものの委員長みたいなら、ショートのこっちは深窓の令嬢って感じ。
私も昔はそうだったんだけど。
応接間には様々なアンティークの家具があり、この家の歴史の古さを感じさせた。
そういえばうちの本家にも似たような感じでほこりかぶってる道具が山ほどあったな~まああれは実際に怨霊を斬って潰して燃やすのに使ってるんだけど。
まあ追い出された身には関係ないけどね。
「? どうしました?」
「失礼しました、さっきから度々嫌な連中のことを思い出してたもので」
いかんいかん。また変な方向に脱線するとこだった。
「それで、沈船さん。先日当社へご依頼なさったのは、あなたで間違いありませんね?」
「ええ。知人にそちらの所長さんを紹介していただいたもので」
知人・・・あの人変に顔が広いんだっけ。
「それで、弊社の社員、園村がここに伺ったと思うのですけど」
「ええ、ええ、あの方は10日前この家に来られて、ここに滞在して、仕事を進めていらっしゃったようです」
その時私たちはあの屋敷で怨霊相手に切った張ったしてたんだよね。と、今は関係ないか。
「それで、現在彼が何処にいるのかわからないとのことですが」
「ええ、園村様は4日前の朝に出て行ったきり、こちらには戻っておりません」
4日前・・・所長の話には合う。
「一応村の方にも遣いをやって探してはいるのですが、どうにも成果がないようでして。申し訳ありません」
「いえ。わざわざそのようにお手間を取らせてしまい、恐縮です」
なんかこういう丁寧に返されると、こっちが申し訳なくなるな。
「園村の件に付きましては、私たちが彼の仕事を引き継いで遂行するのと併せて、こちらで捜索しますので」
なんか迷子みたいな言い方だけど、あの人危険物をバカみたいに携帯してるから、割と洒落にならないんだよね。
「そうですか。しかしこちらで依頼させていただいた仕事とお仲間を探すのと、同時に行うのは大変でしょう?」
「ええ、しかしあくまでもご依頼の内容を優先しますので」
園村さんもまあそう簡単に、
ギュフュギュギュギュギュグ
される心配はないだろうし。
・・・あれ、今何か変な気分に。
「もし何か手がかりがあればすぐにおふたりに知らせるよう、私の方で伝えておきますので」
「あ・・・はい。ありがとうございます。いろいろと取り計らっていただいて・・・」
いけない。一瞬ぼんやりしてた。疲れてるのかな。
ぐちゃぐちゃ。
また部屋の隅で音が聞こえた。ってうるさいな。人が話してるのに。
「それでご依頼の内容について、話をしてもよろしいでしょうか?」
宇羅も横からいきなり口出さない。折角いろいろ協力してくれる流れなんだから。
「『蔵記様』の祠の除霊です」
ぐちゃぐちゃぐちゃ。
「『ぐらきさま』ですか。確かこの村は『蔵記様』を奉る教団が拓いた集落が起源でしたよね。その理解で間違いないでしょうか」
何で私より詳しいんだ。さっき私から聞いたばかりなのに、いつの間に調べた。
「ええ、この地域の守神と呼ばれています。村が生まれる前、古よりこの地に座す御方の為建立したのがその祠なのですが」
グッチャクグッチャフ。
座す御方。世界がこんな風になる前からいる存在。
「最近になって、よくないものが憑いたようでして」
よくないもの。祟り、怨霊、魑魅魍魎。
今この末法混沌世界でありふれている存在。
「確かにそういった神聖な場所なら、その神性諸共喰おうとする不逞の輩も湧いて出るでしょうね」
出された茶をすすりながら頷く宇羅。
前から思ってたけど、私より専門家っぽくないか? 後輩なのに。人外だけど・・・うん専門家だったわ。
「お恥ずかしい話ですが村の者だけでは手に余る類の『もの』のようで、さりとて放置することも出来ず、こうしてあなた方に依頼をさせていただいた次第でして」
癖なのか手首に着いた数珠をいじりながら、そうまとめる岬さん。
後は具体的な祠の状況に移ろうかと思ったけど、その前に。
「・・・それで、失礼ですがあなた方について教えていただきたいのですが・・・」
あちゃーやっぱツッコまれたか、まあ当然だよね、いきなり人数が増えておまけに片方は胡散臭い正体不明オーラが出てるから。
「今サラッと自分を常識人枠に放り込みましたね」
私は100%まともな常識人だよ・・・たぶん。
「いえ、決しておふたりの手腕などを疑っているわけではなく」
やや大袈裟に岬さんは手を振って否定した。
「一応は村の長として、村の聖域である祠へ案内するにあたり、邪念などがないことを証し立てる義務がございまして」
「邪念・・・・ありませんよ?」
「そこで疑問形ですか・・・わたしも全くそういうのないんで」
そうか? いやツッコむのは止めとこ。
「ええ、それについては弊社の方で、こちらの土地との相性を含む綿密な事前調査を行っております」
所長がそれをやったらしい。前の仕事から帰ってきてすぐにこの現場だから、何時やったのかは知らないけど。
「結果我々ふたりとも問題なく今回の案件で祓いを行うことが出来ると判明しました。岬さんや村の方々の安全は保障させていただきます」
私の体質とか、宇羅の素性とか考えたら、安全以前の問題だと思うけど変なこと言って不安にさせちゃダメだろうし。
「さようですか。それでしたら問題はありません、重要なのはこの村を害するものを排除することですので」
排除、除外、除霊。
「そのためには私も微力ながらお手伝いさせていただきます、なにか入用でしたらご遠慮なく申し出てくださいね」
何だかトントン話が進む。こんなに協力的な人も久しぶり、それだけこの村が大事ってことね。
・・・なんか人間としての各種要素の差を感じるな。
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