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第2章 ショコラと愉快な仲間達
悲しい夢
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ごはんをたべ終わったあと、ショコラはシートの周りに落ちていたどんぐりを拾ったり、変な形の落ち葉を探したりして、遊んでいた。
風が吹くと、ハラハラと色とりどりの葉っぱが散っていく。
ショコラは自分が着ているワンピースが珍しくて、くるくると回ってみた。赤いワンピースは綺麗なフレアを描く。ショコラはそれが楽しくて、落ち葉がはらはらと落ちる中で、きゃっきゃと笑いながら、手を広げて回った。
ラグナルは横になって、それをじーっと見つめていた。
ショコラは気づいていないが、今の彼女はとても美しかった。
「ご主人様、見てください。葉っぱの雪です!」
「雨じゃないんだ?」
「雪の方がゆっくり落ちますから」
「そっか」
ラグナルはそれをずっと見つめているうちに、幸せな気分になって、ウトウトと船を漕ぎ始めた。
そして眠そうな声で、ショコラに注意する。
「……ショコラ。遠くにいっちゃダメだよ」
「はい」
「ここにいてね」
そういうと、ラグナルは仰向けになって、そのまますうすうと寝始めた。
お昼寝タイムみたいだ。
「……ご主人様、寝ちゃった」
ショコラはしばらくそのそばで見守っていたが、再びどんぐりを集めようと、シートから立ち上がった。
(懐かしいなぁ)
孤児院には、これほどたくさんの葉っぱはなかった。
それにこの山の葉っぱの形は、なんだか変わっている気がする。色も人間界よりずっと鮮やかだ。
「どうしてこんなに綺麗なのかなぁ」
いつの間にか、ショコラは夢中になって地面を眺めていた。
綺麗な葉っぱとドングリを探しているうちに、どんどんとラグナルのそばから離れてしまっていることにも、気付いていない。
子ウサギのように跳ねて、次々とドングリを拾っているショコラは、すぐそばに急な坂道があることに気づかなかった。
「ふう、たくさん集まりました」
ショコラは笑顔で立ち上がる。
けれど、運悪く、その場所にはたくさんの枯葉が積み重なっていた。
がさり。
「え……?」
山で発生する事故のうち、落ち葉で足を滑らせて転落するという転落事故の割合は非常に多い。
「きゃあああ!?」
例に漏れず、ショコラも足を踏み外した。
踏ん張ろうにも、枯葉で足が滑って、止まることができない。
坂道を転がって、ショコラはいつの間にか気を失っていた。
◆
血のように赤い夕日。
やせ細った土地に、子どもたちの黒い影が伸びている。
黒い影は、うずくまって泣く、小さな獣人の子どもを囲んでいた。
「馬鹿犬」
「役立たず」
「人間様に混じろうとするなよ」
「亜人のくせに」
ケタケタと、残酷なほどに甲高い声が、夕日に染められた広場に響く。
影が、少女の耳を強く引っ張った。
「あっ、やめて……っ!」
「こんなに薄汚けりゃ、そりゃあ捨てられるよなぁ」
耳を引っ張って、そのまま地面に引き倒す。
再び嘲笑が、少女に浴びせかけられる。
少女はうずくまって、泣いた。
「あーあ、お前なんか死んじまえばいいのに」
「そうしたら、その分食費も浮くもんな」
「なんでこんな亜人の面倒を見てるんだろう」
「こいつ、まだ迎えに来るって信じてるんだぜ」
「馬鹿だよなぁ、捨てられたのに」
その言葉は、鋭い破片となって少女の心をズタズタに切り裂いた。
少女は心臓を守るように、丸くなって、暴言と暴力に耐え続けた。
(居場所がない)
(お腹減った)
(寒い)
(怖い)
(痛い)
──寂しい。
「はやく、むかえにきて……」
少女の脳裏に、美しいドレスを纏った、女性の後ろ姿が浮かぶ。
女性は暗闇の中を音もなく歩いていく。
そしていつの間にか、消えてしまった。
「ごしゅじんさま……」
風が吹くと、ハラハラと色とりどりの葉っぱが散っていく。
ショコラは自分が着ているワンピースが珍しくて、くるくると回ってみた。赤いワンピースは綺麗なフレアを描く。ショコラはそれが楽しくて、落ち葉がはらはらと落ちる中で、きゃっきゃと笑いながら、手を広げて回った。
ラグナルは横になって、それをじーっと見つめていた。
ショコラは気づいていないが、今の彼女はとても美しかった。
「ご主人様、見てください。葉っぱの雪です!」
「雨じゃないんだ?」
「雪の方がゆっくり落ちますから」
「そっか」
ラグナルはそれをずっと見つめているうちに、幸せな気分になって、ウトウトと船を漕ぎ始めた。
そして眠そうな声で、ショコラに注意する。
「……ショコラ。遠くにいっちゃダメだよ」
「はい」
「ここにいてね」
そういうと、ラグナルは仰向けになって、そのまますうすうと寝始めた。
お昼寝タイムみたいだ。
「……ご主人様、寝ちゃった」
ショコラはしばらくそのそばで見守っていたが、再びどんぐりを集めようと、シートから立ち上がった。
(懐かしいなぁ)
孤児院には、これほどたくさんの葉っぱはなかった。
それにこの山の葉っぱの形は、なんだか変わっている気がする。色も人間界よりずっと鮮やかだ。
「どうしてこんなに綺麗なのかなぁ」
いつの間にか、ショコラは夢中になって地面を眺めていた。
綺麗な葉っぱとドングリを探しているうちに、どんどんとラグナルのそばから離れてしまっていることにも、気付いていない。
子ウサギのように跳ねて、次々とドングリを拾っているショコラは、すぐそばに急な坂道があることに気づかなかった。
「ふう、たくさん集まりました」
ショコラは笑顔で立ち上がる。
けれど、運悪く、その場所にはたくさんの枯葉が積み重なっていた。
がさり。
「え……?」
山で発生する事故のうち、落ち葉で足を滑らせて転落するという転落事故の割合は非常に多い。
「きゃあああ!?」
例に漏れず、ショコラも足を踏み外した。
踏ん張ろうにも、枯葉で足が滑って、止まることができない。
坂道を転がって、ショコラはいつの間にか気を失っていた。
◆
血のように赤い夕日。
やせ細った土地に、子どもたちの黒い影が伸びている。
黒い影は、うずくまって泣く、小さな獣人の子どもを囲んでいた。
「馬鹿犬」
「役立たず」
「人間様に混じろうとするなよ」
「亜人のくせに」
ケタケタと、残酷なほどに甲高い声が、夕日に染められた広場に響く。
影が、少女の耳を強く引っ張った。
「あっ、やめて……っ!」
「こんなに薄汚けりゃ、そりゃあ捨てられるよなぁ」
耳を引っ張って、そのまま地面に引き倒す。
再び嘲笑が、少女に浴びせかけられる。
少女はうずくまって、泣いた。
「あーあ、お前なんか死んじまえばいいのに」
「そうしたら、その分食費も浮くもんな」
「なんでこんな亜人の面倒を見てるんだろう」
「こいつ、まだ迎えに来るって信じてるんだぜ」
「馬鹿だよなぁ、捨てられたのに」
その言葉は、鋭い破片となって少女の心をズタズタに切り裂いた。
少女は心臓を守るように、丸くなって、暴言と暴力に耐え続けた。
(居場所がない)
(お腹減った)
(寒い)
(怖い)
(痛い)
──寂しい。
「はやく、むかえにきて……」
少女の脳裏に、美しいドレスを纏った、女性の後ろ姿が浮かぶ。
女性は暗闇の中を音もなく歩いていく。
そしていつの間にか、消えてしまった。
「ごしゅじんさま……」
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