50 / 101
第4章 魔王様は脱力系?
消えたショコラ
しおりを挟む
ひどい吹雪だった。
暴力的な風が、びゅうびゅうと鋭い音をたてて吹いている。
まるで大男が、窓をどんどんと叩いているようだ。
心なしか、館の中にも冷たい風が侵入しているような気がする。
リリィはそんな吹雪の音を遮るように、受話器を耳に押し付け、大きな声でハキハキとしゃべっていた。
「はい、そうです。獣人の子供です。十五歳で……」
「リリィ」
真剣に話すリリィに、ふよふよと浮遊していたミルがトントンと肩を叩き、メルが声をかけた。
「しっ、今電話してるから。えーと、はい、あ、女の子です……」
「「リリィ!」」
二人が声をそろえて、大きな声を出した。
「何?」
さすがのリリィも、受話器から耳を離して、いぶかしげな顔をする。
ミルが眉を寄せて言った。
「ショコラ、いなくなっちゃったよ」
「は?」
メルも不安そうに言う。
「ベッドにも、館のどこにもいないの」
「何言って……」
リリィが口を開いたところで、玄関の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい馬鹿っ!」
どうやらヤマトが何かを怒っているらしい。
「誰だよ玄関の扉開けたやつは!」
──館の中にも、心なしか冷たい風が吹いているような気がする。
「っ」
リリィは真っ青になって、受話器を置いた。
そのままショコラの部屋へ駆け出して扉を開ければ、ものの抜け殻になったベッドが目に入る。
「ショコラさん!?」
声をあげて部屋を見渡すが、誰もいない。
びゅうう、と冷たい風が、頬を通り抜けた気がした。
「まさか……!」
リリィは真っ青になって、玄関へ駆け出した。
暴力的な風が、びゅうびゅうと鋭い音をたてて吹いている。
まるで大男が、窓をどんどんと叩いているようだ。
心なしか、館の中にも冷たい風が侵入しているような気がする。
リリィはそんな吹雪の音を遮るように、受話器を耳に押し付け、大きな声でハキハキとしゃべっていた。
「はい、そうです。獣人の子供です。十五歳で……」
「リリィ」
真剣に話すリリィに、ふよふよと浮遊していたミルがトントンと肩を叩き、メルが声をかけた。
「しっ、今電話してるから。えーと、はい、あ、女の子です……」
「「リリィ!」」
二人が声をそろえて、大きな声を出した。
「何?」
さすがのリリィも、受話器から耳を離して、いぶかしげな顔をする。
ミルが眉を寄せて言った。
「ショコラ、いなくなっちゃったよ」
「は?」
メルも不安そうに言う。
「ベッドにも、館のどこにもいないの」
「何言って……」
リリィが口を開いたところで、玄関の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい馬鹿っ!」
どうやらヤマトが何かを怒っているらしい。
「誰だよ玄関の扉開けたやつは!」
──館の中にも、心なしか冷たい風が吹いているような気がする。
「っ」
リリィは真っ青になって、受話器を置いた。
そのままショコラの部屋へ駆け出して扉を開ければ、ものの抜け殻になったベッドが目に入る。
「ショコラさん!?」
声をあげて部屋を見渡すが、誰もいない。
びゅうう、と冷たい風が、頬を通り抜けた気がした。
「まさか……!」
リリィは真っ青になって、玄関へ駆け出した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,138
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる