悪役令嬢と七つの大罪

美雨音ハル

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本編

第16話 第四王子グレン

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 とうとう中間試験が明日から始まる。
 相変わらずロザリアは武具の召喚ができなかった。
 もう一年生の中ではロザリアとアリスしか、武具の召喚をできないものはいない。
 このままでは、明日の実技試験は落第決定だ。
 あのアレイズが情けをかけてくれるはずもない。

「どうしよぉ~」

 ロザリアは深いため息を吐いて、訓練場の片隅で肩を落とした。
 出ないものは出ない。
 ロザリアはもう一度、目をつぶって手を前に突き出した。

 ──お願い、どうか私にも武具を。

 あまりにも集中していたからだろうか。
 ロザリアは声をかけてくる人物に、なかなか気づくことができなかった。

「ねえ、ちょっと」

「!」

 ロザリアはぎょっとして後ろを振り返った。
 そこには赤寮の制服を着た赤髪の男子と、それを取り囲むように数人の女子がいた。
 胸元のバッチには三本の線が引かれている。
 おそらくロザリアの三つ上の三年生なのだろう。

「さっきからグレン様がそこをどいてくれないかと言っているのに、聞こえていなかったの?」

 女の子たちがキッとロザリアをにらんだ。
 凄まれて、ロザリアは一気に緊張してしまう。
 まだ悪い癖が出た。
 声が出なくなってしまったのだ。

「ねえ、なんとか言ったらどうなのよ?」

(あ、謝らなきゃ……)

 アリスと普段から話すようになったおかげか、ロザリアは緊張しても謝罪だけはできるようになっていた。

「あの、ごめんなさい」

 震える声でそう言って、頭をさげる。
 けれど女の子たちの怒りは収まらないようだった。

「謝るくらいなら、最初からどけばいいのに」

「……」

「グレン様に無礼だわ」

 その場の空気が最悪になったところで、グレンと呼ばれた少年が、ロザリアのバッチに目を留めた。

「そうか、君は一年生だから僕のことを知らなかったわけか」

「……?」

 ロザリアが冷や汗をかいていると、グレンは苦笑混じりに言った。

「僕の名前はグレン・アイオレス・バルハザード」

「!」

「この国の第四王子さ」
 
 や、やらかした~。
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