33 / 129
第二章 社畜と新しい彼女と親子仲のかたち
13.社畜と水着
しおりを挟む
俺たちが向かったビーチは、南北に長い沖縄本島のちょうど真ん中くらいにあった。リゾートホテルに併設されていて、泳ぐだけでなくボートの貸し出し、シュノーケリングなどもやっている大規模なものだ。
俺は女二人と別れ、さっさと着替えて砂浜に出た。関東にはない真っ白な砂浜が、焼けるような暑さで足の裏から伝わる。
天気はよく、暑いはずなのだがそれは気にならない。海とはそういうものだ。
女の着替えは長い。俺なんか、全部脱いでシャツと海パンを着直すだけだから、すぐだった。シャツは着るかどうか迷ったが、もう若くないから日焼けしたくないし、昔より腹が出ている気がしたので着ることにした(これが決め手だ)。
じっと待っていると、アラサーで生気がなくなりつつある俺も久々の海に興奮して、一人でがっつり泳いでやろうか、と考え始める。だが海を怖がっている理瀬にプレッシャーをかけてはいけないので、俺はしばらく待つことにした。
じきに水着姿になった篠田と理瀬がやってきた。
「おまたせしましたー!」
篠田は、普通にビキニだった。
本人曰く、「若い頃より身体に締まりがなくなった」ということだが、俺にはそんな風に見えない。メリハリがあっていい身体をしている。
それなりのサイズの胸をぶるんぶるん揺らしながら、こっちに走ってくる。やべ。会社で出会って以来、今がいちばん篠田に興奮しているかもしれない。普通の同僚として、性的なイメージを持たないよう意識していたから、こういう状況になると爆発しそうだ。
「ちょ、まっ、まってくださいよ」
その後を、遅れて理瀬がついてきている。
砂浜を歩くのに慣れていないせいか、足元に気をつけながら、どすどすと早足で歩く。
理瀬は、篠田と対象的に普通のワンピースみたいな水着だった。肌色度合いは低く、いつもと比べて肩が出ているくらいだ。あまりそういう意識はなかった(というか、しないようにしていた)が、理瀬はスリムで、モデルのような身体をしていた。胸を除けば、ということだが。
「あ、あれやりたい! あれ絶対楽しいですよ!」
篠田がビーチに浮いている巨大な滑り台を指差した。ここの名物らしい、水上での大きなアスレチックだ。子供たちがきゃーきゃー言いながら遊んでいる。
確かに楽しそうだったので、童心に帰っている俺は「おっ、そうだな」と言いそうになったが、理瀬の顔が青ざめているのを見て、やめた。
「バカ、あれは子供向けのやつだ。大人があんなのではしゃいでどうする」
「えー」
「あそこだけ入場料三千円だぞ」
「やめましょう! 普通に泳ぎましょう!」
さすが俺とほぼ同じ収入の社畜。旅行先でもコスパ最優先だ。
俺たちはまず、遊び道具のレンタル店に行った。
パラソル一本と、理瀬のための浮き輪が一つ。ちなみに理瀬はでかいサメの形をしたビーチボートが欲しそうだったが、落ちて溺れたら洒落にならないのでやめた。
ビーチに穴を堀り、パラソルを立てて少し休憩。お決まりの「日焼け止めクリーム塗ってください!」を篠田が頼んできたので、理瀬にその役を押し付け、浮き輪を膨らませる時間にした。
篠田はいかにも体育会系らしく、ちゃんと準備運動をした。俺と理瀬もそれを真似る。
「さ、行きましょ!」
篠田が海に向かって走りだす。かなり若返りしたようで、輝いて見える。ここにいるアラサーは俺だけのような気がしてきた。
「きゃははははーー! 気持ちいい!」
篠田はばしゃばしゃと水しぶきを立てながら波打ち際を走り、あっという間に深いところへ飛び込んだ。しばらくして浮き上がり、こっちに手を振る。
「こっちですよー!」
俺は本気を出せばついていけたのだが、理瀬が波打ち際で足踏みしている。
「大丈夫だ。あのアホのいるところでも足がつくくらいだから。ゆっくり行こうぜ」
「は、はい」
篠田と対象的に、理瀬はおっかなびっくりと波打ち際に足を踏み入れる。
「ひゃっ!?」
少し強めの波が来て、理瀬がバランスを崩しそうになる。
その瞬間、理瀬は俺の腕をがしっと掴んだ。
細い体が、ぐっと俺に密着する。近くで見ると、理瀬はやはり十代らしくみずみずしい髪と肌をしている。
水着が少し大きいのか、ちょっと胸元が開いていて――
「あーーっ!?」
篠田が全力ダッシュで俺たちのところへ戻り、理瀬を俺から引き離した。
「理瀬ちゃん、大丈夫!?」
「ちょ、ちょっと転びそうになっただけです、大丈夫ですよ」
「怖い?」
「まだちょっと怖いですけど……でも、冷たくて気持ちいいですよ」
会話しながら、篠田は俺を何度も睨んできた。『彼女の前で女子高生といちゃいちゃしないでください!』という意味だろう。俺としては事故なので、肩をすくめて返した。
……実際のところ、篠田のおかげで理性を保てたので、感謝するべきかもしれない。
「理瀬ちゃん! 泳ぐ練習しよ!」
「えっ、む、無理ですよ、小学生のとき顔つけ十秒もできなかったんですよ」
「それは小学生だったからだよ! 今ならできるよ! さ、軽く潜ってみよ? えいっ!」
篠田は理瀬に抱きついて、無理やりその場で潜った。「おい無理すんなよ」と言ったが、すでに潜った後だったので聞こえていない。
数秒で楽しそうな篠田と、ぷはっと思い切り息を吸う理瀬が浮上してきた。
「理瀬ちゃん、水の中で完全に息止めてるでしょ」
「えっ……違うん、ですか?」
「ちょっと鼻から息出しながら潜ってみて? 完全に止めるよりそっちのほうが楽だから。さ、いくよ、せーのっ!」
また二人が潜り、数秒で浮き上がってくる。篠田の指導は的確で、理瀬はさっきより楽そうだ。こいつスポーツインストラクターとかの方が向いてるんじゃないか。楽しそうだし。
「よくできましたねー!」
「はあ……」
理瀬はくたびれている。もしかして、理瀬が俺に密着したことへの復讐でスパルタ教育をしているのだろうか。いやそんな訳ないよな。仲良いもんな。はは。
「この調子なら、クロールは無理でもバタ足くらいはできるよ! がんばろ!」
「なあ、俺、泳いでていい?」
「どーぞどーぞ」
「えええええ……」
げっそりしている理瀬を見送って、俺は一人で遠泳に出かけた。もちろん海水浴場の範囲内だが、一定のペースでひたすら泳ぎ続けられるのはいい事だ。プールみたいに、いちいちターンする必要もない。終わりのない海をひたすら泳ぐ。いい気持ちだ。
いつの間にか二人が見えなくなるくらい遠くまで泳いでしまい(沖縄のビーチは広いのだ)、あわてて引き返した。篠田が大きく手を振って、俺に合図をする。
「理瀬ちゃん泳げるようになりましたよー!」
理瀬はバタ足でなんとなく泳げるようになっていた。流石にクロールの息継ぎまではできていないが、この短時間ですごい進歩だ。ビーチで遊ぶだけなら十分だし。
「泳ぐの、楽しいですね」
理瀬がその場に立ち、笑顔で言った。スポーツで楽しくなった時はみんなそうするように、邪気のないキレイな笑顔だった。理瀬がそんな顔をするとは思っておらず、俺は驚いた。
笑顔に驚いたあと、理瀬をまじまじと見ていたら、今度は別のことに驚く。
理瀬はワンピース型の水着を脱いで、ビキニになっていた。脱いでビキニにもできるタイプの水着だったらしい。
そう、紛うことなき女子高生のビキニ姿である。篠田が金だとすれば、理瀬はダイヤモンドのように見える。あくまで胸を除けば、ということだが。
「ふ、ふーん」
「……宮本さん、今ちょっといやらしい顔してましたよ」
「ほんと? ほんとなんですか宮本さん?」
俺は直視こそしないものの、視界の中にしっかり理瀬のビキニ姿をキープしていた。その変な視線はすぐ理瀬にばれて、篠田から追及を食らう。
「海に沈めてあげましょうか?」
「帰ったらお母さんに言いますよ」
「どっちも洒落にならないんで勘弁してくださいマジで」
俺は水中土下座を決めた。十秒くらいで浮き上がろうと思っていたが、まだ怒っている篠田がその上に座ってきて、マジで死ぬかと思った。
俺は女二人と別れ、さっさと着替えて砂浜に出た。関東にはない真っ白な砂浜が、焼けるような暑さで足の裏から伝わる。
天気はよく、暑いはずなのだがそれは気にならない。海とはそういうものだ。
女の着替えは長い。俺なんか、全部脱いでシャツと海パンを着直すだけだから、すぐだった。シャツは着るかどうか迷ったが、もう若くないから日焼けしたくないし、昔より腹が出ている気がしたので着ることにした(これが決め手だ)。
じっと待っていると、アラサーで生気がなくなりつつある俺も久々の海に興奮して、一人でがっつり泳いでやろうか、と考え始める。だが海を怖がっている理瀬にプレッシャーをかけてはいけないので、俺はしばらく待つことにした。
じきに水着姿になった篠田と理瀬がやってきた。
「おまたせしましたー!」
篠田は、普通にビキニだった。
本人曰く、「若い頃より身体に締まりがなくなった」ということだが、俺にはそんな風に見えない。メリハリがあっていい身体をしている。
それなりのサイズの胸をぶるんぶるん揺らしながら、こっちに走ってくる。やべ。会社で出会って以来、今がいちばん篠田に興奮しているかもしれない。普通の同僚として、性的なイメージを持たないよう意識していたから、こういう状況になると爆発しそうだ。
「ちょ、まっ、まってくださいよ」
その後を、遅れて理瀬がついてきている。
砂浜を歩くのに慣れていないせいか、足元に気をつけながら、どすどすと早足で歩く。
理瀬は、篠田と対象的に普通のワンピースみたいな水着だった。肌色度合いは低く、いつもと比べて肩が出ているくらいだ。あまりそういう意識はなかった(というか、しないようにしていた)が、理瀬はスリムで、モデルのような身体をしていた。胸を除けば、ということだが。
「あ、あれやりたい! あれ絶対楽しいですよ!」
篠田がビーチに浮いている巨大な滑り台を指差した。ここの名物らしい、水上での大きなアスレチックだ。子供たちがきゃーきゃー言いながら遊んでいる。
確かに楽しそうだったので、童心に帰っている俺は「おっ、そうだな」と言いそうになったが、理瀬の顔が青ざめているのを見て、やめた。
「バカ、あれは子供向けのやつだ。大人があんなのではしゃいでどうする」
「えー」
「あそこだけ入場料三千円だぞ」
「やめましょう! 普通に泳ぎましょう!」
さすが俺とほぼ同じ収入の社畜。旅行先でもコスパ最優先だ。
俺たちはまず、遊び道具のレンタル店に行った。
パラソル一本と、理瀬のための浮き輪が一つ。ちなみに理瀬はでかいサメの形をしたビーチボートが欲しそうだったが、落ちて溺れたら洒落にならないのでやめた。
ビーチに穴を堀り、パラソルを立てて少し休憩。お決まりの「日焼け止めクリーム塗ってください!」を篠田が頼んできたので、理瀬にその役を押し付け、浮き輪を膨らませる時間にした。
篠田はいかにも体育会系らしく、ちゃんと準備運動をした。俺と理瀬もそれを真似る。
「さ、行きましょ!」
篠田が海に向かって走りだす。かなり若返りしたようで、輝いて見える。ここにいるアラサーは俺だけのような気がしてきた。
「きゃははははーー! 気持ちいい!」
篠田はばしゃばしゃと水しぶきを立てながら波打ち際を走り、あっという間に深いところへ飛び込んだ。しばらくして浮き上がり、こっちに手を振る。
「こっちですよー!」
俺は本気を出せばついていけたのだが、理瀬が波打ち際で足踏みしている。
「大丈夫だ。あのアホのいるところでも足がつくくらいだから。ゆっくり行こうぜ」
「は、はい」
篠田と対象的に、理瀬はおっかなびっくりと波打ち際に足を踏み入れる。
「ひゃっ!?」
少し強めの波が来て、理瀬がバランスを崩しそうになる。
その瞬間、理瀬は俺の腕をがしっと掴んだ。
細い体が、ぐっと俺に密着する。近くで見ると、理瀬はやはり十代らしくみずみずしい髪と肌をしている。
水着が少し大きいのか、ちょっと胸元が開いていて――
「あーーっ!?」
篠田が全力ダッシュで俺たちのところへ戻り、理瀬を俺から引き離した。
「理瀬ちゃん、大丈夫!?」
「ちょ、ちょっと転びそうになっただけです、大丈夫ですよ」
「怖い?」
「まだちょっと怖いですけど……でも、冷たくて気持ちいいですよ」
会話しながら、篠田は俺を何度も睨んできた。『彼女の前で女子高生といちゃいちゃしないでください!』という意味だろう。俺としては事故なので、肩をすくめて返した。
……実際のところ、篠田のおかげで理性を保てたので、感謝するべきかもしれない。
「理瀬ちゃん! 泳ぐ練習しよ!」
「えっ、む、無理ですよ、小学生のとき顔つけ十秒もできなかったんですよ」
「それは小学生だったからだよ! 今ならできるよ! さ、軽く潜ってみよ? えいっ!」
篠田は理瀬に抱きついて、無理やりその場で潜った。「おい無理すんなよ」と言ったが、すでに潜った後だったので聞こえていない。
数秒で楽しそうな篠田と、ぷはっと思い切り息を吸う理瀬が浮上してきた。
「理瀬ちゃん、水の中で完全に息止めてるでしょ」
「えっ……違うん、ですか?」
「ちょっと鼻から息出しながら潜ってみて? 完全に止めるよりそっちのほうが楽だから。さ、いくよ、せーのっ!」
また二人が潜り、数秒で浮き上がってくる。篠田の指導は的確で、理瀬はさっきより楽そうだ。こいつスポーツインストラクターとかの方が向いてるんじゃないか。楽しそうだし。
「よくできましたねー!」
「はあ……」
理瀬はくたびれている。もしかして、理瀬が俺に密着したことへの復讐でスパルタ教育をしているのだろうか。いやそんな訳ないよな。仲良いもんな。はは。
「この調子なら、クロールは無理でもバタ足くらいはできるよ! がんばろ!」
「なあ、俺、泳いでていい?」
「どーぞどーぞ」
「えええええ……」
げっそりしている理瀬を見送って、俺は一人で遠泳に出かけた。もちろん海水浴場の範囲内だが、一定のペースでひたすら泳ぎ続けられるのはいい事だ。プールみたいに、いちいちターンする必要もない。終わりのない海をひたすら泳ぐ。いい気持ちだ。
いつの間にか二人が見えなくなるくらい遠くまで泳いでしまい(沖縄のビーチは広いのだ)、あわてて引き返した。篠田が大きく手を振って、俺に合図をする。
「理瀬ちゃん泳げるようになりましたよー!」
理瀬はバタ足でなんとなく泳げるようになっていた。流石にクロールの息継ぎまではできていないが、この短時間ですごい進歩だ。ビーチで遊ぶだけなら十分だし。
「泳ぐの、楽しいですね」
理瀬がその場に立ち、笑顔で言った。スポーツで楽しくなった時はみんなそうするように、邪気のないキレイな笑顔だった。理瀬がそんな顔をするとは思っておらず、俺は驚いた。
笑顔に驚いたあと、理瀬をまじまじと見ていたら、今度は別のことに驚く。
理瀬はワンピース型の水着を脱いで、ビキニになっていた。脱いでビキニにもできるタイプの水着だったらしい。
そう、紛うことなき女子高生のビキニ姿である。篠田が金だとすれば、理瀬はダイヤモンドのように見える。あくまで胸を除けば、ということだが。
「ふ、ふーん」
「……宮本さん、今ちょっといやらしい顔してましたよ」
「ほんと? ほんとなんですか宮本さん?」
俺は直視こそしないものの、視界の中にしっかり理瀬のビキニ姿をキープしていた。その変な視線はすぐ理瀬にばれて、篠田から追及を食らう。
「海に沈めてあげましょうか?」
「帰ったらお母さんに言いますよ」
「どっちも洒落にならないんで勘弁してくださいマジで」
俺は水中土下座を決めた。十秒くらいで浮き上がろうと思っていたが、まだ怒っている篠田がその上に座ってきて、マジで死ぬかと思った。
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる