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序曲
第6話 少女と魔剣士の話
しおりを挟むさて肝心の特訓だが、剣術の基礎はできているようで、教えたことを素直に飲み込んでくれるし、そのうえ身体能力も悪くない。
でも1つ問題があった。彼女は珍しいことに魔力操作の感覚を掴めていないのだ
以前感じた魔力の気配の希薄さは彼女のこれに由来するのかもしれない。
基礎の身体能力だけでカバーしきるのは魔剣士としては厳しいだろう。
ならただの剣士で良いのではないか、とも考えたがこの世界には魔剣士以外の剣技が存在しないのだ。
当然素の身体能力では魔法で強化された身体能力で勝てるはずもない。
だから前世にあったただの剣術を教えたんだけど、なぜそんなことが思いつくのかと質問されたときには適当にはぐらかした。僕が考えたわけじゃないから、深く掘り下げられたら困るしシン・マケンも同じようなものだからね。
世間一般にこんな言葉がある。
王国では、『剣を持てば、魔剣士。学を持てば、魔術師』
魔術師は魔剣士に携わる研究者を言い、この言葉の肝心な所はすなわち魔力は武と密接な関係があるということだ。
だが魔力があるのはもはや当然で、重要なのは能力を左右するのは魔力操作できる能力だ。
これは王国や魔剣士に限った話ではなく、すべての武を持つものやそれに関わるの例えば魔術師なんかも戦うことはなくとも最低限求められるのが魔力を操作するスキル、ということらしい。
つまり、この世界の武は前提に魔力量、それを活用できる能力として魔力操作であり、魔力量が多く魔力を自在に操作できるのであれば文句なしの実力者ということだろう。
たしかに姉さんは魔力量もさることながら、剣をふるう時の魔力操作能力も父のそれとは比べ物にならない。
父の能力で王都で騎士になれるのなら、きっと姉さんは騎士団長も夢ではないんじゃないだろうか。
おまけ程度の補足だが、王国以外の国では、帝国には魔剣士の他に字面そのままな魔拳士や、他の国では魔獣士という魔獣使いがいるとのことだ。
先ほど聞いた話を加えれば、センタン技研都市というやけに瀟洒な場所では銃が開発されたということ。この世界の標準から察するに魔術師が携わり、銃の機構に魔力を組み込んだものまで出てきてもおかしくないだろう。
「ふっ!」
銃なんてものまで発達しているなんて、魔剣士が求められなくなる時もくるんじゃないだろうか。
「はっ!」
でもこの世界では魔力によって身体能力を向上すると、使い方次第では前の世界で考えられない超越した動きができる。
「やぁ!」
もしかしたら弾丸すら見切れることができるのかもしれない。
「うーん」
僕は彼女の剣をいなしながら考えをまとめていた。
「はぁぁ!」
彼女はそれを埒が明かないと捉えたのか、大ぶりの一撃を繰り出す。
「よし決めた」
「!」
カラン、と彼女の木剣が地面に落ちる。
「今日はここまでだ。この前話した通り、そう遠くない日には実戦だ。それまでは稽古をつけるけど、自主的にも頑張ってね」
「はぁはぁ…ん、わかった。ありがとう」
彼女は濡れた黒髪を耳にかけ、息を切らしながら一礼する。
それに対し僕は手をあげ返礼したあと、踵を返し帰ろうとする。
「あ、そうだ」
いや、でもまだわからないか…そういえばアレもあった。これだけは教えておこうか。
…いや待てよ、それよりここまで頑張ったのなら何かご褒美があってもいいんじゃないか?
何がいいか…そういえば
「今度の花火大会、見に行こうか」
最後に見た彼女はなにか言いたげそうな顔をしていた。
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