雪の華

おもち

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13.魔法事務所

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 魔法界の住人である魔法使いは、国が1つ立てられるくらいの人数が、存在するらしい。
 しかし、その中で魔物を倒すことができる退魔師や、彼らのサポートをしている処理班、司令塔の役割をしている本部の面々になるためには、魔法学校に入って魔物やら魔法やらについて詳しく学ぶ必要があるというわけだ。
 魔法学校は日本に3校あるが、その中の1つ、最も大きな魔法学校は、北海道某所に存在する。これまでに数多くの退魔師を輩出してきたその施設は「北海道魔法事務所(NMO)」と呼ばれている魔法組織によって運営されている。
 NMOは、魔法やらについて学ぶ魔法学校と魔物を駆除する役割の大きく分けて2つの役割がある。
 2つを統括している本部が事務所のトップの組織として存在し、その次に魔法界に3人しかいない殿堂級の退魔師、1級、2級、3級の退魔師と続き、最後に退魔師のサポートを行う処理班のスタッフがいる。
 魔法学校のスタッフは退魔師や処理班と兼任している場合が多く、彼らは魔法学校と区別するためにNMOのうち魔物を駆除する組織のことを事務所と呼んでいた。
 事務所のスタッフは総勢で300人程度らしい。
 
 つまり、俺が今いるのは、北海道内なのか。
 魔法界は全く別の世界だと思っていたが、地理的な位置は、人間界と同じらしい。

 美鈴から大まかな説明を受けた後、とりあえず今日はここで過ごしてください、と案内された場所は事務所の3階に位置する一室だった。
 退魔師などのスタッフが訓練に使用するらしいその部屋はかなり広く、フローリングの床に大きな鏡がある訓練時に役立つであろう部屋のほかに、簡易的なシャワー室やキッチン、ベッドもあり、まるでホテルのようであった。

 「もう日付も変わっていますし、細かい説明は明日行います。とりあえず今日はもう寝てください。一応部屋には食べ物もありますので。明日は、朝9時に迎えに来ます。今日は本当に、申し訳ございませんでした。」

 それではおやすみなさい、そう言ってお辞儀をした彼女を後目に扉をしめた。
 
 改めて部屋の中を見回す。
 とりあえずシャワーを浴びよう。
 シャワー室へ向かう道中何の気なしに立ち寄ったキッチンで冷蔵庫の扉を開けてみた。
 冷蔵庫の中には、炭酸飲料やお酒、ローストビーフに揚げ物にパン、ポテトやアイスなど小腹を満たすには十分すぎる食べ物や飲み物が用意されていた。
 「ここに住みたい……。」

 涼太は冷蔵庫のポテトをつまみながら、シャワーへと向かうのだった。
 
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