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14.再会
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翌朝。
宣言通り、9時に部屋の扉がノックされる。
まだ残っている眠気を振り払うように2、3度頭を軽く振ると、涼太は扉に手をかけた。
扉を開くと、昨晩同様髪を1つにまとめ、黒の服に身を包んだ美鈴の姿が目に入った。
「おはようございます。昨晩はよく眠れましたか?」
そう尋ねる美鈴にえぇ、まあ、と曖昧に返答する。
「昨晩の件について話し合った結果、涼太さんの対処について決定しました。お話しすると長くなります。本部の者も交えてお話しすることになりますので、付いて来てください。」
美鈴はこちらです、と言って歩き始める。
本部という事は、この事務所と呼ばれている組織の中で一番偉い部署という事だ。
そんなお偉方を交えた話とは、いったいどのようなものなのだろうか。
もしかして、命の危険もあるのではないか。
アニメとかならよくある話だ。
「秘密を守るために」とか「世界の均衡を保つために」とか言って、少数の命が犠牲になる。
俺の命は彼らから見ればミジンコほどの価値もないだろう。
だが、まだ殺されると決まったわけではない。
俺の望みを通してもらうことも可能かもしれない。
望み……。
俺は何を望んでいるんだろう。
やはり、魔法への憧れは捨てきれない。
だが、人間界で通っていた大学は……。
親や友達にはなんて説明をすればいいんだ。
「NMOの最上階、7階に向かいます。」
その声にはッと前を見ると、白色のエレベーターが目に飛び込んできた。
美鈴が、上向きの矢印が描かれたボタンを押す。
――ポーン。
無機質な音とともにエレベーターの扉が開いた。
内装はいたってシンプルな作りになっていた。
窓はなく外の景色は見えない。
しかし、照明はとても明るく、シンプルなデザインが清潔感を醸し出していた。
「どうぞ。」
美鈴はそう言いながら、エレベーターの外からさっと扉をおさえ、7階と書かれたボタンを押した。
涼太はどうも、と言いながらエレベーターに乗り込む。
朝早い時間帯だが、エレベーターには誰も乗っていない。
魔法使いはエレベーターという人間界の大発明はあまり使わないのだろうか。
そんなことを考えているうちに、再び無機質な音がエレベーター内に広がった。
どうやら、7階についたようだ。
音もなくスーッとエレベーターの扉が開く。
美鈴は「開く」ボタンをおさえながら、どうぞ、と涼太に降りるように促した。
涼太はその言葉に従い7階へと足をおろす。
7階は重厚感の漂う赤いカーペットのようなもので覆われた通路が奥まで延びている。
薄暗い照明が何とも言えない雰囲気を出していた。
「こちらです。」
そう言って歩き出した美鈴の後に続く。
彼女は、通路の突き当り、大きな扉の前で立ち止まった。
見上げるほどの大きさで木造の両開きの扉。
この中に、事務所の偉い人たちが……。
涼太は思わず唾を飲み込んだ。
――コン、コン、コン。
美鈴が3回ノックをすると、どうぞ、と低く落ち着いた男性の声が扉の向こう側から聞こえてきた。
美鈴がノブに手をかけて扉を押す。
――ぎぃ……。
重厚そうな扉が音を立てて開く。
「どうぞ。」
そう言いながら、美鈴は涼太に中へ入るようにと促した。
室内に入ると大きな窓と、がっしりとした大きな長机が目に飛び込んできた。
長机の真ん中には、先ほど返事をしたであろう口にひげを蓄えた60代くらいの男性が座っている。
「どうぞ、そちらへ。」
男性は長机の反対側を手で指した。
その言葉に従い椅子へと腰掛ける。
涼太は椅子へ腰かけて、何の気なしに男性の右へと視線を滑らせた。
――え……。
思わず口から声が漏れる。
どうして……。
涼太の目の前には、雪の姿があった。
宣言通り、9時に部屋の扉がノックされる。
まだ残っている眠気を振り払うように2、3度頭を軽く振ると、涼太は扉に手をかけた。
扉を開くと、昨晩同様髪を1つにまとめ、黒の服に身を包んだ美鈴の姿が目に入った。
「おはようございます。昨晩はよく眠れましたか?」
そう尋ねる美鈴にえぇ、まあ、と曖昧に返答する。
「昨晩の件について話し合った結果、涼太さんの対処について決定しました。お話しすると長くなります。本部の者も交えてお話しすることになりますので、付いて来てください。」
美鈴はこちらです、と言って歩き始める。
本部という事は、この事務所と呼ばれている組織の中で一番偉い部署という事だ。
そんなお偉方を交えた話とは、いったいどのようなものなのだろうか。
もしかして、命の危険もあるのではないか。
アニメとかならよくある話だ。
「秘密を守るために」とか「世界の均衡を保つために」とか言って、少数の命が犠牲になる。
俺の命は彼らから見ればミジンコほどの価値もないだろう。
だが、まだ殺されると決まったわけではない。
俺の望みを通してもらうことも可能かもしれない。
望み……。
俺は何を望んでいるんだろう。
やはり、魔法への憧れは捨てきれない。
だが、人間界で通っていた大学は……。
親や友達にはなんて説明をすればいいんだ。
「NMOの最上階、7階に向かいます。」
その声にはッと前を見ると、白色のエレベーターが目に飛び込んできた。
美鈴が、上向きの矢印が描かれたボタンを押す。
――ポーン。
無機質な音とともにエレベーターの扉が開いた。
内装はいたってシンプルな作りになっていた。
窓はなく外の景色は見えない。
しかし、照明はとても明るく、シンプルなデザインが清潔感を醸し出していた。
「どうぞ。」
美鈴はそう言いながら、エレベーターの外からさっと扉をおさえ、7階と書かれたボタンを押した。
涼太はどうも、と言いながらエレベーターに乗り込む。
朝早い時間帯だが、エレベーターには誰も乗っていない。
魔法使いはエレベーターという人間界の大発明はあまり使わないのだろうか。
そんなことを考えているうちに、再び無機質な音がエレベーター内に広がった。
どうやら、7階についたようだ。
音もなくスーッとエレベーターの扉が開く。
美鈴は「開く」ボタンをおさえながら、どうぞ、と涼太に降りるように促した。
涼太はその言葉に従い7階へと足をおろす。
7階は重厚感の漂う赤いカーペットのようなもので覆われた通路が奥まで延びている。
薄暗い照明が何とも言えない雰囲気を出していた。
「こちらです。」
そう言って歩き出した美鈴の後に続く。
彼女は、通路の突き当り、大きな扉の前で立ち止まった。
見上げるほどの大きさで木造の両開きの扉。
この中に、事務所の偉い人たちが……。
涼太は思わず唾を飲み込んだ。
――コン、コン、コン。
美鈴が3回ノックをすると、どうぞ、と低く落ち着いた男性の声が扉の向こう側から聞こえてきた。
美鈴がノブに手をかけて扉を押す。
――ぎぃ……。
重厚そうな扉が音を立てて開く。
「どうぞ。」
そう言いながら、美鈴は涼太に中へ入るようにと促した。
室内に入ると大きな窓と、がっしりとした大きな長机が目に飛び込んできた。
長机の真ん中には、先ほど返事をしたであろう口にひげを蓄えた60代くらいの男性が座っている。
「どうぞ、そちらへ。」
男性は長机の反対側を手で指した。
その言葉に従い椅子へと腰掛ける。
涼太は椅子へ腰かけて、何の気なしに男性の右へと視線を滑らせた。
――え……。
思わず口から声が漏れる。
どうして……。
涼太の目の前には、雪の姿があった。
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