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異世界の飲み物
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「失礼します。異世界の部屋だ……」
歩は木製の頑丈そうな扉を押して中へ入った。
室内は思ったよりも明るくて広く、空気も淀んではいない。壁や棚には様々な大きさ形の刃物類が置いてあり、店なので受け渡し用なのだろう、奥に大きな威厳を醸し出している一枚岩の台があった。
「此処は? 剣屋? 鍛冶屋? 色々な刀や鈍器や闘う系の物ばかり…まるでゲームの中の武器屋みたいだ」
「そうだな……剣に見えるだろうが、俺の扱っているのは人は傷付けない刃物だ。闘う様なものでは無い」
「闘わないの?でも、形が全て剣みたいだけど? 貴方が作ってるんですか?」
「俺の店だからな。総てが俺の製作だが、まだまだ未熟で試行錯誤の毎日だ」
歩は珍しそうに、ぐるりと店を歩いて見て回っていた。扉がいくつかあり、向こうにも部屋や、空間があるような感じがして。
「広いお店ですね」
「此処は元々爺さんの店でな、一昨年亡くなってその後、俺が譲り受けたんだ。奥には剣造りに必要な場所はあるが、それ以上に部屋は余っているし広いな…だが、狭いより良いだろう。それよりお前の話だ! こっちに座って話せ! 聞いてやるから」
ジャックは奥に向かってスタスタ歩いて行った。奥がジャックの生活場所だからだ。
歩は着いて行く間も、キョロキョロ頭が右に左にと忙しなく動いている。見た事のない物や、珍しい物が色々あり興味深々だ。
歩は美容師を目指す時、鋏についても少しだけ勉強した。日本の研ぎ師の事も調べたから、似たようなものを見ると懐かしい気持ちになる……けど歩は何かしらの違和感をずっと感じていた。
「あの! 剣だけで色々な事に使える様にするのって、大変ですよね。どうして鋏を使用しないのですか?」
「はさみ?何だそれ?」
「えっ! 髪は何で切るんです? 紙は? 布は?」
「待て待て待て! 何言ってるのか判らないぞ? 髪はミュートで切るし布や紙も同じだか!此処にもミュートがあるぞ、それだが」
ジャックが指さしたのは、細身の小さめのペーパーナイフの様な物だった。
「はっ? これってナイフじゃん! ナイフでどうやって髪を切るんだ? 削ぐのか?」
「まあ、落ち着けよ。ほら座ってろ。その肩にかけてる変な荷物もそこに置いて待ってろ。今、飲み物出してやるから」
ジャックは、歩の頭をポンポン軽くたたいて落ち着かせた後、木製の年季の入った椅子に座らせた。
歩は、鋏は無いの?どうして等と、ぶつぶつ言いながらも大人しく言われた通りに、肩にかけてたリュックを横の椅子に置いてジャックの行動を見ていた。
ジャックは、5、6人用の木製の頑丈そうな机の上に、ドンと30センチ程の鉄でできた道具を置いた。鉄製のものをカチャカチャ動かして、パカッと開いたその中に赤く熟したマーチの実と紫色のミクの実を大量に入れて蓋を閉めた。
すると、下から透明な果汁が流れ出てくる。果汁は、用意されていたコップの中にトプトプ入り、ちょうど良い量になるとジャックが果汁を止めた。
ジャックは、そのコップを歩の目の前へ置き飲む様に進めた。自分用にも注ぎ美味しそうにごくごく飲んでいる。
「うっ……目の前で入れてくれた果物の果汁100%だから、大丈夫だよね。異世界の物を口にするのって何だか勇気いるものだね……」
歩は、コップを手に取りヒンヤリとした果汁を口元へ持っていき目を閉じて勢いよく飲み込んだ。ゴクリと飲み込む音がした瞬間、カッと目が見開きキラキラした瞳でジャックを見上げた。
「なにこれ! 初めて飲んだよこんな美味しいジュース! 甘くて濃厚で微かな酸味がアクセントになってて、最高です。美味しいですね、このジュース」
「それは良かった。おかわりもあるから好きなだけ飲め。飲みながらで良いからお前の事を教えてくれ」
「はい。ありがとうございます。僕、貴方にはじめに逢えて良かった」
歩はセイバー王国に来て初めて笑えた。
歩は木製の頑丈そうな扉を押して中へ入った。
室内は思ったよりも明るくて広く、空気も淀んではいない。壁や棚には様々な大きさ形の刃物類が置いてあり、店なので受け渡し用なのだろう、奥に大きな威厳を醸し出している一枚岩の台があった。
「此処は? 剣屋? 鍛冶屋? 色々な刀や鈍器や闘う系の物ばかり…まるでゲームの中の武器屋みたいだ」
「そうだな……剣に見えるだろうが、俺の扱っているのは人は傷付けない刃物だ。闘う様なものでは無い」
「闘わないの?でも、形が全て剣みたいだけど? 貴方が作ってるんですか?」
「俺の店だからな。総てが俺の製作だが、まだまだ未熟で試行錯誤の毎日だ」
歩は珍しそうに、ぐるりと店を歩いて見て回っていた。扉がいくつかあり、向こうにも部屋や、空間があるような感じがして。
「広いお店ですね」
「此処は元々爺さんの店でな、一昨年亡くなってその後、俺が譲り受けたんだ。奥には剣造りに必要な場所はあるが、それ以上に部屋は余っているし広いな…だが、狭いより良いだろう。それよりお前の話だ! こっちに座って話せ! 聞いてやるから」
ジャックは奥に向かってスタスタ歩いて行った。奥がジャックの生活場所だからだ。
歩は着いて行く間も、キョロキョロ頭が右に左にと忙しなく動いている。見た事のない物や、珍しい物が色々あり興味深々だ。
歩は美容師を目指す時、鋏についても少しだけ勉強した。日本の研ぎ師の事も調べたから、似たようなものを見ると懐かしい気持ちになる……けど歩は何かしらの違和感をずっと感じていた。
「あの! 剣だけで色々な事に使える様にするのって、大変ですよね。どうして鋏を使用しないのですか?」
「はさみ?何だそれ?」
「えっ! 髪は何で切るんです? 紙は? 布は?」
「待て待て待て! 何言ってるのか判らないぞ? 髪はミュートで切るし布や紙も同じだか!此処にもミュートがあるぞ、それだが」
ジャックが指さしたのは、細身の小さめのペーパーナイフの様な物だった。
「はっ? これってナイフじゃん! ナイフでどうやって髪を切るんだ? 削ぐのか?」
「まあ、落ち着けよ。ほら座ってろ。その肩にかけてる変な荷物もそこに置いて待ってろ。今、飲み物出してやるから」
ジャックは、歩の頭をポンポン軽くたたいて落ち着かせた後、木製の年季の入った椅子に座らせた。
歩は、鋏は無いの?どうして等と、ぶつぶつ言いながらも大人しく言われた通りに、肩にかけてたリュックを横の椅子に置いてジャックの行動を見ていた。
ジャックは、5、6人用の木製の頑丈そうな机の上に、ドンと30センチ程の鉄でできた道具を置いた。鉄製のものをカチャカチャ動かして、パカッと開いたその中に赤く熟したマーチの実と紫色のミクの実を大量に入れて蓋を閉めた。
すると、下から透明な果汁が流れ出てくる。果汁は、用意されていたコップの中にトプトプ入り、ちょうど良い量になるとジャックが果汁を止めた。
ジャックは、そのコップを歩の目の前へ置き飲む様に進めた。自分用にも注ぎ美味しそうにごくごく飲んでいる。
「うっ……目の前で入れてくれた果物の果汁100%だから、大丈夫だよね。異世界の物を口にするのって何だか勇気いるものだね……」
歩は、コップを手に取りヒンヤリとした果汁を口元へ持っていき目を閉じて勢いよく飲み込んだ。ゴクリと飲み込む音がした瞬間、カッと目が見開きキラキラした瞳でジャックを見上げた。
「なにこれ! 初めて飲んだよこんな美味しいジュース! 甘くて濃厚で微かな酸味がアクセントになってて、最高です。美味しいですね、このジュース」
「それは良かった。おかわりもあるから好きなだけ飲め。飲みながらで良いからお前の事を教えてくれ」
「はい。ありがとうございます。僕、貴方にはじめに逢えて良かった」
歩はセイバー王国に来て初めて笑えた。
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