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お姫様ベッド
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ジャックに服や雑貨等、この世界で使うものを一通り買って貰った歩は、少し心配そうに隣りを歩くジャックを伺う。
購入物は量がある為かなり重い筈なのに、軽々肩に担いでいるジャック。一体いくらになったのか、言葉や文字は読めるけどお金の単価は判らない歩には、推測できない。けれど沢山迷惑をかけている事は明らかなので心苦しいのだ。
今は無理でも、いつの日かジャックに恩返しできたらと心に誓う歩であった。
そんな二人が店に戻ってくると、大きな木製の塊がどーんと置いてあった。
「うわぁーーーーーー」
「なんだこれは……」
「えっと……いやぁ俺もしんないっすよ。持って行けって言われたから配達しただけですから、文句ならダンに言ってください。とにかく扉開けてもらえますか? これ入れたいんですけど」
「デカくないか。歩のベッドじゃあなかったのか?」
「だから、俺はわかりませんって、組み立ても手伝えって言われて説明書は貰って来ましたけど、中身見てないもんで。俺早く帰りたいんで、ジャックさん速く開けてくださいよ」
「わかった待て」
大きな木材の横に怠そうに佇んで居たのは、大柄の男アルベルトだ。ダンの手伝い兼共同経営者であるアルベルトも、ジャックの風紀委員会時代の後輩にあたる。ダン以上に腕が立ち寡黙で、普段は何を考えているのか判らない人間だが、ダンとアルベルトの二人は学生時代から特に信頼のおけるジャックの後輩だ。
扉を開けたジャックと二人で木材を中に入れ、二階の奥にある日当たりの良い広々とした部屋に誘導して木材を置いた。
「歩この部屋で良いか?向かいの部屋は俺の部屋でな、この部屋は広さもあるし日当たりも良い部屋だから、良いと思うんだが」
「とても綺麗な部屋ですね。良いんですか?使っても」
「ああ、以前は来客用だったが、もう客もねえし気に入ったなら使ってくれ」
ジャックの店は歩から見たら、木造のログハウス風の建物で、内装もお洒落で居心地が良く、締め切っているはずなのに室内に風が気持ちよく流れている感じの建物だ。これから歩の部屋になる場所は大きな窓があり、風と日差しが適度に入ってくる綺麗な薄緑の壁のある部屋で、木目の綺麗な小物入れと洋服タンスが端に置いてあった。
「ジャックさん組み立てましょう。手伝ってください」
「おう。歩は、服をそこに入れとけ。入りきらなかったら言え。他の部屋にも同じ物あったから、とってくる」
「ありがとうございます。入れてみますね」
「下に拭くものあるから使えよ。誰も当分使ってないから一回拭いたほうが良いだろう」
ジャックは、アルベルトとベッドを手際良く組み立てながらも歩にも指示をだす。歩も拭くものを探す為に下に降りていった。
「ジャックさん恋人ですか?」
「なんだよ。アルベルトが珍しいな」
「恋人でもなんでも良いですが、気を付けて下さい。ジャックさんの以前の恋人だったシルビア嬢。婚約者に逃げられたらしいですよ。あの人見た目は良いのにかなり性格破綻してますからね。関わらない方が良いですよ」
「もうキッパリ別れたんだ。と言うか、勝手に騒ぎ立てて付き合う感じにされただけだ。俺は別に手も出してないし、全て仕組まれたものだったぞ。直ぐに他の物件見つけて去って行ってくれて安心したよ」
「モテる人は大変ですね」
「俺は普通だが」
「何をもって普通なんでしょうね」
「なあ、これって凄くないか?」
「俺も組み立てながら驚いてます」
「「………………………」」
階段を登ってくる足音の後、歩が部屋に入ってきた。
「拭くものってこれ使って良いですか…………なんですかそれ?」
「ベッドなんだろうな」
「こんなのに……いえ。ダンさんにいただいたものですが、これって……かなり女性用ですよね。僕、男です」
そのベッドは、上からは白いレースで囲われていて、とってもファンシー。布団は白地に赤とピンクの可愛い花柄で。まさしく寝心地最適ふわふわ仕様のお姫様ベッドだった。
購入物は量がある為かなり重い筈なのに、軽々肩に担いでいるジャック。一体いくらになったのか、言葉や文字は読めるけどお金の単価は判らない歩には、推測できない。けれど沢山迷惑をかけている事は明らかなので心苦しいのだ。
今は無理でも、いつの日かジャックに恩返しできたらと心に誓う歩であった。
そんな二人が店に戻ってくると、大きな木製の塊がどーんと置いてあった。
「うわぁーーーーーー」
「なんだこれは……」
「えっと……いやぁ俺もしんないっすよ。持って行けって言われたから配達しただけですから、文句ならダンに言ってください。とにかく扉開けてもらえますか? これ入れたいんですけど」
「デカくないか。歩のベッドじゃあなかったのか?」
「だから、俺はわかりませんって、組み立ても手伝えって言われて説明書は貰って来ましたけど、中身見てないもんで。俺早く帰りたいんで、ジャックさん速く開けてくださいよ」
「わかった待て」
大きな木材の横に怠そうに佇んで居たのは、大柄の男アルベルトだ。ダンの手伝い兼共同経営者であるアルベルトも、ジャックの風紀委員会時代の後輩にあたる。ダン以上に腕が立ち寡黙で、普段は何を考えているのか判らない人間だが、ダンとアルベルトの二人は学生時代から特に信頼のおけるジャックの後輩だ。
扉を開けたジャックと二人で木材を中に入れ、二階の奥にある日当たりの良い広々とした部屋に誘導して木材を置いた。
「歩この部屋で良いか?向かいの部屋は俺の部屋でな、この部屋は広さもあるし日当たりも良い部屋だから、良いと思うんだが」
「とても綺麗な部屋ですね。良いんですか?使っても」
「ああ、以前は来客用だったが、もう客もねえし気に入ったなら使ってくれ」
ジャックの店は歩から見たら、木造のログハウス風の建物で、内装もお洒落で居心地が良く、締め切っているはずなのに室内に風が気持ちよく流れている感じの建物だ。これから歩の部屋になる場所は大きな窓があり、風と日差しが適度に入ってくる綺麗な薄緑の壁のある部屋で、木目の綺麗な小物入れと洋服タンスが端に置いてあった。
「ジャックさん組み立てましょう。手伝ってください」
「おう。歩は、服をそこに入れとけ。入りきらなかったら言え。他の部屋にも同じ物あったから、とってくる」
「ありがとうございます。入れてみますね」
「下に拭くものあるから使えよ。誰も当分使ってないから一回拭いたほうが良いだろう」
ジャックは、アルベルトとベッドを手際良く組み立てながらも歩にも指示をだす。歩も拭くものを探す為に下に降りていった。
「ジャックさん恋人ですか?」
「なんだよ。アルベルトが珍しいな」
「恋人でもなんでも良いですが、気を付けて下さい。ジャックさんの以前の恋人だったシルビア嬢。婚約者に逃げられたらしいですよ。あの人見た目は良いのにかなり性格破綻してますからね。関わらない方が良いですよ」
「もうキッパリ別れたんだ。と言うか、勝手に騒ぎ立てて付き合う感じにされただけだ。俺は別に手も出してないし、全て仕組まれたものだったぞ。直ぐに他の物件見つけて去って行ってくれて安心したよ」
「モテる人は大変ですね」
「俺は普通だが」
「何をもって普通なんでしょうね」
「なあ、これって凄くないか?」
「俺も組み立てながら驚いてます」
「「………………………」」
階段を登ってくる足音の後、歩が部屋に入ってきた。
「拭くものってこれ使って良いですか…………なんですかそれ?」
「ベッドなんだろうな」
「こんなのに……いえ。ダンさんにいただいたものですが、これって……かなり女性用ですよね。僕、男です」
そのベッドは、上からは白いレースで囲われていて、とってもファンシー。布団は白地に赤とピンクの可愛い花柄で。まさしく寝心地最適ふわふわ仕様のお姫様ベッドだった。
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