《完結》僕は棄てたのだ。

皇子(みこ)

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暖かさ温もり

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,,ぐ~~~~~,,


僕のお腹が鳴ってしまった。


「悪い……腹減ったな。俺も水の中は好きだが、そろそろふやけるから、外に出るか」


僕は、過去の話をプールの中で抱きしめられたまま、ゆったりとした気分で話してた。

 辛い話が殆どなのに、綺麗な夜空を見上げ背後から隼人さんに護られていると、過去の話だと割り切って話せてしまえた。

    元々、家族に対しては今更涙も出ないし、期待もした事無いからサバサバ話してしまえたと思う。

   それよりも、隼人さんのイタズラな手が気になって仕方がなかったんだよ。笑いながらスキンシップって豪語してたけど、アレは少し行き過ぎだと思うんだ。

   隼人さんは、僕を養子にしてくれるみたいだ。隼人さんは俺は天涯孤独だから、楓がたった一人の家族になってくれると嬉しいって、優しい笑顔で言ってくれた。

 僕も、それが現実になるととても嬉しい。だけど、詳しくは判らないけど、簡単な事では無いのは良く分かってる。


「楓、外は寒いから此処で待ってろ。タオル持って来るから」


僕から手を離し、水から出てソファの所にあるタオルを取りに行ってくれた。今まではいつも一人でそれが当たり前だったのに、暖かさを知ると少しでも離れると寂しいと、心が訴えて来るようだ。


「来い楓」
 

大きな手で暖かな肌触りの良いタオルを使って、身体を包む様に拭いてくれる隼人さんに僕は。


「こんなに優しくされると、離れられなくなるよ……」

「好都合な事だな。離れられなくしてやるよ」


手は優しくタオルを動かしながら、唇は近づき合わさってくる……

 僕のはじめてのキスは、柔らかく優しく暖かかった。少し離されて、おでことおでこをくっつけて、視界いっぱいにお互いの笑顔が……

 クスクス笑い合い、このまま時が止まればいいのに……


「おーい! そろそろいい加減離れなさい。橘、まだ手は出さないで下さい。未成年です」

「橘オーナー適当にテーブルに飯置いときました。じゃあ、俺は定位置で待機しています。あっそれと楓ちゃん俺は裕樹だからね、これからもご贔屓に!」


部屋からプールに続く扉の所で、2人の人間がこちらを見ている。

 遠目だけど1人は、裕翔さんにそっくりだった。

 双子はやっぱり似てるんだな。すぐに帰って行ったけど。もう1人は、キチッとしたスーツを着て真面目そうな眼鏡をかけた、細身の男性だった。誰だろう?

     横では大きな溜息を隼人さんがついてる。


「透、早い! 早過ぎるだろうが。俺達の愛の語らいが……」

「何が愛の語らいですか? 貴方がそんな事してるの、初めて見ましたね。

 来るもの拒んで去る者追わずの貴方が。人間変われば変わるものですね…っとそんな事より! さっさと、養子縁組の話纏めますよ。時は金なりです」

「仕方ない、楓入るぞ」


隼人さんが、僕の手を組み合わせるように繋ぎ、家の中に入った。僕はバスタオルにくるまったままだ。隼人さんは、腰にタオルを簡単に巻いている。

 隼人さんはスーツの人とすれ違う時に、気軽に話しかけた。僕は何だか恥ずかしくて、俯いて……でも、ダメだと思い少し頭を下げた。


「服着替えて来るから、頼んでたものは何処だ?」

「橘のクローゼットに裕樹君が置きましたよ」

「サンキューな」

「楓行くぞ」


と言って、そのまま部屋を進んで行った。何処かの部屋の扉を開けると10畳以上の部屋の中、服が沢山掛けてあった。横には、靴がズラリと並んでいるし! この部屋も凄い!!


「こっち楓の服な。未だ少ないがこれから色々似合う物を探して行こうな」


沢山の服の一部に、明らかに他とは、テイストの違う服が多数こちらには掛けてあった。僕の今迄持ってた服より、遥かにこちらの方が多いのだが…


「これとこれなら似合うだろう。着てみろ」


隼人さんが選んでくれた物は、細身のデニムパンツに、落ち着いたオレンジのティシャツ、クリーム色の大きなボタンが沢山付いた薄手で長めのカーディガンだった。

 いつも僕は、スーパーの特売で買って来た服をずーっと来てたから、こんなにキチンとした服は初めてだ。似合うのかな? 僕なんかに……


「ほらほら早くしないと! 時は金なりの、イライラした奴が乗り込んでくるぞ! 俺が着替えさしてやろうか?」


僕はふるふる頭を振りながら。


「大丈夫です。1人で着替えれます」

「そうか……残念だ」


隼人さんは、笑いながら自分の服を着ていた。

 僕も早く着ないと、と思い着替えた。凄いサイズがピッタリあってる。色柄も落ち着いてるし、好きな感じだ。側に並んでいる服を見て、これが全て僕の服なんて、申し訳ないけど嬉しいな。


「隼人さん。こんなに服をありがとうございます! とてもとても嬉しいです」


振り返ると、隼人さんも着替えており、スポーツテイストの楽そうな服を着ていた。


「おっ! サイズもピッタリで雰囲気も可愛いし、良く似合うな。近く俺がオススメの店で選んでやるからな。今の所はこれで我慢してくれ」


僕は、ふるふる首を振り。


「これで充分です。こんなにあっても着れませんよ、隼人さん」

「良いから良いから、俺の楽しみだよ。恋人をコーディネートできるなんてな」

「時は金なりー」

「ふう……行くぞ」
「はい」


遠くの方から微かに聞こえるように声が聞こえてきて、僕達は其方に向かい歩き出した。

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