《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!

皇子(みこ)

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懺悔

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[最後の方にいじめの描写あります。ご注意願います]





「うぅ~~~~ん……う~~~~……あーーーよくねたぁ~~~」


ラティラは両手を広げ、勢い良く腹筋を使い起き上がった。そしてキョロキョロ周りを見渡して。


「? どこ、ここ? あれ? 私何してたんだっけぇ あーー 思い出したぁ試合! 試合ぃ~ あっ私のショーテル! ショーテルは? どこ?」


ラティラは勢い良くベッドから降りて、ドア迄突進して扉を開けると、シャペルとアランが腰に手を当てて立ちはだかっていた。


「お嬢待ちなさい。今はまだ安静にしていないと駄目だと、医者からの言いつけです。ベッドに戻って下さい」

「お嬢の欲しい物はコレでしょ。愛しのショーテルは、要りませんか?」


シャペルがラティラの目の前で、袋入りのショーテルをプラプラ揺らした。


「欲しい! やっと私の手に馴染んできた。模擬戦用のショーテル!」


ベッドに座ったラティラにショーテルを渡し、アランとシャペルは大きなため息を、1つ同時に吐いた。


「心配させないで下さい。ジェフリー殿から貴女が医務室に運ばれたと聞いて、急いで来てみれば意識が無くて本当に心配したんです」

「そうだよー 普段元気過ぎる程、元気な人に何か有るとビックリするでしょ」


二人の真剣な表情をみて。


「ごめんなさい。自分でもまさかの展開で驚いてるのよね。今更声掛けてくるとかあり得ないから……」

「医師からは、水分補給不足だと言われましたが、まぁいいでしょう。お嬢も色々ありますし、アルベルト様にはきちんと話すのですよ」

「アラン……ありがとう……お兄様にはちゃんと話すわ」


「じゃ私達は外で待機して居ますから。後、ララの実の果汁水を騎士団員の方々にきちんと説明して、よく冷えた果汁水を飲んで貰いましたから。丁度水分不足で倒れた方が居ましたので、皆様興味深々でした。多分ですが、大量生産した方が良いかも知れませんよ。何となくですが。では、失礼します」


二人は扉を開けて外に出て行きました。


「怖い……目が怖いわ。ララの実の果汁水、そんなに重かったのかしら? アランの何となくは当たるのよね。私が倒れたのが良かったのかしら? 大量生産~

 ララの実の果汁水は運動後の身体の水分補給には、完璧な飲み物なのよね。最近の辺境では、暑い日の訓練の途中にもララの実果汁水を飲ませるのを、習慣にしているぐらいだもの。そのおかげで倒れたり、気分が悪くなる人が居なくなったのよね。

 これから定期的に騎士団に、ララの実果汁水を納品する事が出来たら。う~ん上出来だね。倒れた理由はさて置き、良かった」


「良くないよね」


いつのまにか部屋の中にアルベルトが……


「お兄様……あの……」

「倒れた理由は言わなくて良いよ。 で、どうする? 私の立ち会いの下、元凶を呼んで来て話すかい? この様な機会も無いから、お互い話してみればどうだ?」

「今なら言いたい事言ったら、スッキリするんじゃ無いのか?」

「お兄様……近くに居てくれる?」

「勿論だとも」

「……女は度胸よね……頑張るわ」


ラティラが暫く黙り込み、何事かを決心しているのを横目にしながらも、アルベルトは冷たい視線でドアの方をチラリと見たが。次の瞬間には笑顔を作り、目元を下げてラティラに話しかけた。

 アルベルトとラティラの兄妹は、今日あった事や先程のララの実果汁水の大量生産の話等。和やかな雰囲気の中で楽しい時間を過ごしていた。

 ドアをノックする音が聞こえ。アルベルトがどうぞと、返事を返すと扉が開き、最初にラインハルトがその後にレオン殿下が入って来た。

 ラティラは毅然とした態度を取りたいのだが。身体が少し震えてしまっているのを察知した。ラインハルトは、素早くラティラの空いていた右横に移動し、微かに震えているその手を両手で軽く包み込んだ。


「えっ?」


驚くラティラは見ないままに、ラインハルトはレオン殿下を見据えて。


「さぁ言いたい事あるんだろ? 言えよ殿下」

「そうだな……元々の原因は全て私だ。私の傲慢な所が、貴女や弟を傷つけたんだ。貴女が何処まで覚えているのか判らないが聞いて欲しい」


ラティラは少しだけ躊躇したが、右手の暖かさに力を貰い。頷いた。

 レオン殿下は心を決めて話出した。


「あの年は、私が九歳。貴女と我が弟ヴァントは六歳だったな 。

 あの頃の私は、周りの子供や大人達にチヤホヤされて、いい気になって居たんだ。

 自己主張ばかりで人を思いやる気持ちなど、一欠片も無かったんだよ。貴女とヴァントは、子供だけのお茶会で知り合ったんだよな。すぐに仲良くなり周りから見ても、ほのぼのと良い感じだった。私も側で見ていたんだ。

 それから君達は良く遊んでいたよな。本を読んだり、探検してたりとあの頃の私は羨ましかったんだと思う。私の周りは皆、私が王太子だった為に利益が有ったのだろう。

 私に気に入られようとお互いが蹴落としあったり、陥れてたりと酷いものだっだ。ピリピリしてたんだ私自身も周りも。その中での君達は幸せそうで許せなかったんだ……今思うと酷い奴だよ。

 ヴァントは側妃の子供なんだ。私は皇后の子供だから、私の方が地位が高く全てが優位な立場だったんだ。それで、ヴァントに貴女を虐めろと言ったんだが、嫌だと断られた。

 私は腹が立って見ておけと、手は出すなと言いつけた。ヴァントを弱みで脅してな。それで、周りの取り巻き達を使い。貴女に嫌がらせをしたんだ。

 色々したな……私が知ってるだけでも、池に落としたり物をズタズタに切り裂いたり、上から水をかけたり、泥を頭に落としたり、体形の事を罵ったり……多分私が知らない所でも、取り巻き達は色々してたのだろう。

 それで、ふと気付くと貴女は、辺境の地に帰っていて、ヴァントもあれ以来私を避けるようになったんだ。公の場でしか話した事は無いよ。皇帝に相談したら、貴女が二度と王宮に来たく無いと言っていると聞いて。

 私は自身の我儘で君達2人の、人生を捻じ曲げてしまった事にやっと気づいたんだ。許されるとは思っていない。私に権力の力があるという事。心の弱さ、 多人数で一人を排除するという事の残虐さ。やってしまった事は取り返しがつかないという事。この十一年ずっと私の心の片隅にあったんだ……以上だ」


誰も何も言わなかった。言えなかったのだ。かける言葉も無いから。


ラティラの頭は真っ白だった。何も考えられない。ただ右手だけが暖かかった………
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