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お兄様に紹介
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「あれ? この場所は……昨夜の薔薇園。あの湖は何処に?」
ラティラは、肩からひょいと片手でルラックを持ち上げた。目の前に持ってきて、両手の平に立たせ、落ち着いてゆっくり眺めてみる。
「ルラック。あなた小さな仔猫なの? あれ? よく見ると……ちょと、いーってしてみてよ。 あー 牙があるわ、猫はこんな牙無いから何だろう……何かの獣かな?」
ラティラはルラックの口をこじ開けて中を観察していると、頭をふるふるされて手を外された。
(もう、口に手をいれないでよね。だから、外の世界初めてなんだよ、何にもわかんないの。それよりこれなに? 綺麗だね)
「薔薇よ綺麗でしょ。今が1番の見頃なんだって、ゆっくり眺めましょう。 こんなに綺麗な薔薇はここにしか無いからね。見ておかないともう見る機会はないわよ」
(ここ住んでないの?)
「私の家は、ずーっとずーっと遠くなのよ。もう少ししたら帰るから楽しみにしててね」
「「お嬢」」
「探したんですよ! いつのまにか抜け出して、こんな所で薔薇の鑑賞ですか?」
「あれ? このちっちゃい可愛いの、何処で拾ったんです? 初めてみるかも~ ちょっと良いですか?」
シャペルがルラックの首の上の皮を引っ張っり持ち上げて、身体全体を見回した。ルラックはキューキュー声を上げてラティラに助けを呼んだ。
(助けてよ。おじょー 目が回る~)
「シャペル終了よ。私のペットだから返してね。名前はルラックよ、5年は近くに居るから」
「お嬢。この子俺見たことない。大概の、生き物知ってるんだけどな。なんだろ?」
シャペルは首を傾げながら考え込んでいる。
「そんな事はどうでも良いです。そろそろアルベルト様が迎えに来ますよ」
アランが冷たく言い放つ。
「お兄様来るの早くない?」
「お嬢が何かしでかさないうちに、屋敷に確保したいのでは?」
ラティラは顔色が蒼ざめ、もうしでかした後かも……と、ルラックを眺めた。でも、この子は無害だから平気だよね。拾った事にしようと決めた。
「お嬢。何をお考えか知りませんが、サッサと支度して帰りの準備をしますよ。そんな格好で居るのがバレたら、アルベルト様に叱られますが良いのですか?」
「あー 早く着替えないと見つかっちゃう」
「誰にみつかるの?」
「お兄様よお兄様」
ラティラが声の方に振り向くと、アルベルトが笑顔で居ました。早朝だとは思えない、きっちり爽やかな佇まいです。
「おはよ。ラティラが帰りたいと昨日言ったから、迎えに来たんだけど、服は……まぁ朝の鍛錬したの? それは良いよ。頭の上にいる白い物体は何?」
ルラックは眺めが良く、居心地の良い場所を見つけたらしい。ラティラのポニーテールの結び目にのんびりと乗っている。
「えーと……お兄様おはようございます! この子はルラックです。可愛いでしょ。この白いふわふわな毛並みは最高ですよ。そして、黒がポイントなんです。お目目も透き通ったブルーで、このぷにぷにの肉球はサイコーですのよ! ホラホラ柔らかくて良いのです、掌に乗せてみて下さい」
ラティラは、アルベルトの両手の掌を無理矢理広げ、その上にポンっとルラックを乗せた。アルベルトとルラックの視線が合わさり、アルベルトの極上笑みが溢れる。アルベルトはルラックを片手の掌に持ち替えてルラックを撫ではじめた。
(おじょー この人に撫でてもらうと頭が、ふわふわするよ~)
首の辺りや耳の後ろ、頭の方から背中から尻尾の付け根迄、アルベルトは撫でまくっている。 ルラックは気持ち良すぎてふにゃふにゃだ。
「お兄様、撫で方お上手なのですね……」
「言ってなかったか? 小動物は嫌いではない」
「アルベルト様。めっちゃ好きですよね~ 俺も動物詳しいですが、その撫で方プロですよプロ」
アルベルトは満足した顔で、ラティラの手の中にルラックを乗せた。
「そんな事はどうでも良い、さあ行くぞ。変な奴が湧いてくる前にとっとと屋敷に帰るぞ」
アルベルトは、サッサと歩き出した。その後を皆は急いで付いて行く。ラティラのポニーテールの結び目には、キョロキョロするルラックが楽しそうに張り付いていた。
ラティラは、肩からひょいと片手でルラックを持ち上げた。目の前に持ってきて、両手の平に立たせ、落ち着いてゆっくり眺めてみる。
「ルラック。あなた小さな仔猫なの? あれ? よく見ると……ちょと、いーってしてみてよ。 あー 牙があるわ、猫はこんな牙無いから何だろう……何かの獣かな?」
ラティラはルラックの口をこじ開けて中を観察していると、頭をふるふるされて手を外された。
(もう、口に手をいれないでよね。だから、外の世界初めてなんだよ、何にもわかんないの。それよりこれなに? 綺麗だね)
「薔薇よ綺麗でしょ。今が1番の見頃なんだって、ゆっくり眺めましょう。 こんなに綺麗な薔薇はここにしか無いからね。見ておかないともう見る機会はないわよ」
(ここ住んでないの?)
「私の家は、ずーっとずーっと遠くなのよ。もう少ししたら帰るから楽しみにしててね」
「「お嬢」」
「探したんですよ! いつのまにか抜け出して、こんな所で薔薇の鑑賞ですか?」
「あれ? このちっちゃい可愛いの、何処で拾ったんです? 初めてみるかも~ ちょっと良いですか?」
シャペルがルラックの首の上の皮を引っ張っり持ち上げて、身体全体を見回した。ルラックはキューキュー声を上げてラティラに助けを呼んだ。
(助けてよ。おじょー 目が回る~)
「シャペル終了よ。私のペットだから返してね。名前はルラックよ、5年は近くに居るから」
「お嬢。この子俺見たことない。大概の、生き物知ってるんだけどな。なんだろ?」
シャペルは首を傾げながら考え込んでいる。
「そんな事はどうでも良いです。そろそろアルベルト様が迎えに来ますよ」
アランが冷たく言い放つ。
「お兄様来るの早くない?」
「お嬢が何かしでかさないうちに、屋敷に確保したいのでは?」
ラティラは顔色が蒼ざめ、もうしでかした後かも……と、ルラックを眺めた。でも、この子は無害だから平気だよね。拾った事にしようと決めた。
「お嬢。何をお考えか知りませんが、サッサと支度して帰りの準備をしますよ。そんな格好で居るのがバレたら、アルベルト様に叱られますが良いのですか?」
「あー 早く着替えないと見つかっちゃう」
「誰にみつかるの?」
「お兄様よお兄様」
ラティラが声の方に振り向くと、アルベルトが笑顔で居ました。早朝だとは思えない、きっちり爽やかな佇まいです。
「おはよ。ラティラが帰りたいと昨日言ったから、迎えに来たんだけど、服は……まぁ朝の鍛錬したの? それは良いよ。頭の上にいる白い物体は何?」
ルラックは眺めが良く、居心地の良い場所を見つけたらしい。ラティラのポニーテールの結び目にのんびりと乗っている。
「えーと……お兄様おはようございます! この子はルラックです。可愛いでしょ。この白いふわふわな毛並みは最高ですよ。そして、黒がポイントなんです。お目目も透き通ったブルーで、このぷにぷにの肉球はサイコーですのよ! ホラホラ柔らかくて良いのです、掌に乗せてみて下さい」
ラティラは、アルベルトの両手の掌を無理矢理広げ、その上にポンっとルラックを乗せた。アルベルトとルラックの視線が合わさり、アルベルトの極上笑みが溢れる。アルベルトはルラックを片手の掌に持ち替えてルラックを撫ではじめた。
(おじょー この人に撫でてもらうと頭が、ふわふわするよ~)
首の辺りや耳の後ろ、頭の方から背中から尻尾の付け根迄、アルベルトは撫でまくっている。 ルラックは気持ち良すぎてふにゃふにゃだ。
「お兄様、撫で方お上手なのですね……」
「言ってなかったか? 小動物は嫌いではない」
「アルベルト様。めっちゃ好きですよね~ 俺も動物詳しいですが、その撫で方プロですよプロ」
アルベルトは満足した顔で、ラティラの手の中にルラックを乗せた。
「そんな事はどうでも良い、さあ行くぞ。変な奴が湧いてくる前にとっとと屋敷に帰るぞ」
アルベルトは、サッサと歩き出した。その後を皆は急いで付いて行く。ラティラのポニーテールの結び目には、キョロキョロするルラックが楽しそうに張り付いていた。
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