《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!

皇子(みこ)

文字の大きさ
27 / 62

籠の中

しおりを挟む
「お兄様、結局全体の被害などはどうでした?」


ラティラは自身のベッドで、ルラックとゴロゴロしたり、毛繕いしながら聞く。椅子に座り、お茶を優美に飲んでいるアルベルトは、軽く微笑み。


「一般客に被害は無い。さっさと避難させたからな。
騎士団をある程度潜り込ませていたのが、良かったな。うちの傭兵も、少人数だが侵入させていたから、相手の動きは手に取るように分かってたんだ。 
     
 レオン殿下の傷は誤算だったが、結果的に意思疎通ができて、うまい具合に王族の地位の構成が、きちんと纏まった事で良しとしよう。
    
 それに、ミネルヴァ妃と父親の大臣と関係者達の長年の汚職や不正を明確に出来たので、私としてはとてもすっきりしてる。全体的にも、首尾良く終わったのではないか」


ラティラは、不満そうに頬を膨らませルラックのホッペをグニグニ両手で伸び縮みさせつつ、文句を言う。


「私は、あれから三日たつのに身体も元気なのに、何故部屋に監禁されているのでしょうか? 外に出たいです。朝の訓練も禁止されてるし! 動きたいです。お兄様!」


アルベルトは大きな溜め息をつき。


「出してやりたいんだよ。朝もいつも通りの生活に、戻してやりたいのだがな。お前はやり過ぎたんだよ。
    
 あの時、騎士団の連中や王宮の近衛兵達が居たんだが、お前とラインハルトの闘う姿を見て、辺境の軍に入隊希望者やお前自身に教えを請う者。
    
 騎士団の連中も、ラティラを闘う女神だと崇めてるんだよ。もう少し落ち着くまで自宅待機だ。庭にも出てはダメだぞ。侵入する奴が出てくるからな。お前はとにかく、大人しくしててくれ……
 
 私は、王宮の後始末もやらねばならないんだよ。あの宰相め….…私に厄介な仕事ばかり回して、自分の事務官にやらせれば良いものを」


その時、扉の外からメイドが来客を伝えて来た。アルベルトが入れる様伝えると、明るい声が部屋に響きわたった。


「ラティラどうだ? 辺境の馬車も今日到着して、いよいよ開店準備だな。これから忙しくなるんじゃないのか? 手伝う事が有れば手伝うぞ!
     
 アルベルトは、宰相の手伝いだろ。今、王宮で次期皇帝は決まっただろ。皇帝と年齢の近い宰相も、次は誰になるかと噂になってるぞ。一番候補は、お前だろアルベルト。 

 今回の謀反も暗躍して解決したのは、次期辺境伯のアルベルト.デイビーズって、名前が独り歩きしてるぞ。多分、誰かさんが噂を流してお前を自分の後釜に、据えたいんじゃないのか? 実際暗躍してたがな。お前は宰相になりたいのか?」
 

「うーん? あまり考えてはなかったな。レオン殿下が皇帝になったら、辺境伯領を継いだかな。ヴァント殿下だと、宰相も興味があるかもな。
    
 レオン殿下は何とか一人でもやりそうだし、私は合わないから一緒に居て、疲れそうだ。ヴァント殿下なら、手伝ってもいいかなって感じかなぁ。ミシェル殿下は、これからどう変化して行くのかを、見てみたいな。今まで母親の背後に隠れていたから、あの子の個性は興味がある」

「お兄様、辺境はどうなるの?」


ラティラは心配になり聞いてみた。


「大丈夫だろ。お前が婿を見つけて辺境を盛り立てて行けばいいことだ。実際、傭兵達はお前の指揮のもと、行動しているではないか?
    
 父上もまだまだ元気で、品種改良してるしな。私は王宮で楽しく暗躍して、裏で皆を操るのも楽しいかもな」


ラティラは寂しそうに俯きながら


「お兄様……と離れるのは嫌です」

「何も変わらないぞ。私はお前の兄だし、辺境伯の息子なのも変わらない。ただ王宮に勤めるだけだ。お前もいつも通り、傭兵達との訓練と武器の開発にナチュラルの維持や改革が、増えただけだろう」


兄妹の話に、ラインハルトも加わった。ラティラの側にいき。ルラックを撫で回しながら。


「今回ここに来たのは、他にも用があってな。 今まで辺境の傭兵と騎士団は、全く繋がりが無かっただろ。
   
  今回を機に、お互いに交流を深め様かと思ってな。ラティラが辺境に帰るなら、私達騎士団も辺境へ行き、合同演習などしてみないか?
    
 私達も旅の途中、盗賊退治や地方の害獣被害など、今まで出来なかったことを進めても行きたいんだよ。
    
 色々要請も実際あるんだよな。訓練よりも実践的に動いていかないと、何のための騎士団なのか、判らないしな。
    
 反対に王宮の騎士団に来て、合同演習しても良いぞ。それはそれで皆も喜ぶと思う。どうだ? お互いに悪いことではないだろう? 今まで交流が、全く無かった事の方がおかしな話なんだよ」


ラインハルトの話を聞いて、ラティラは目を輝かせ。


「凄い凄い。楽しそう! 合同演習って何するの? 辺境の絶壁登る? 森にいる害獣の仕留めた数競う?その後食べようね~ 美味しいんだよ。それから……」


「待て待て、ラティラ。落ち着け! 今は企画の段階だ。近く現実にはするが、落ち着いて色々考えような」

「はい! ラインハルト様」


二人と一匹は若干引き気味で、元気に良い子の返事で答えるラティラをみている。


「おい。アルベルト、思ったより凄い食い付きなんだが……」

「大丈夫だ正常な状態だ」

「まあ、そういう所も好きだが」

嬉しそうにルラックと遊ぶラティラを横目に、2人はボソボソ話していた。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...