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国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?
レッド・ゴールド(レイファ・エドウィン)
しおりを挟む「フレア様どうしましょう!」
私は、お勉強が終わった後で、急いでフレア様のお部屋にお邪魔しました。
「まあまあ珍しい事。レイファちゃんがそんなに慌てているなんて? どうしたのかしら?」
「フレア様! レオン様が私をお城の舞踏会にと、今朝誘われたのですが、私はまだ人の中には怖くて入れません……」
「あーそうよねぇ……では、街にお散歩になんてどうかしら? 護衛にミミを連れて行きなさい。あの子は警護もできますし、レイファちゃんも話しやすいのではなくて?
今から馬車で、街近く迄行って、後は歩いて二人で美味しいものでも食べてらっしゃいな。レイファちゃんは離宮に来てから、一歩も出た事無いですわよね。わたくしこれは良い機会だと思うのです。そうと決まれば、服はこのままで大丈夫ね。髪を可愛くして貰って、出掛けてみなさい。レイファちゃん。こーゆう事は勢いなのよ」
私はいきなりの展開で戸惑っていたら、メイドさん達が数人来て髪を可愛く結び始めました。
「レイファちゃんは妖精さんっぽいのが可愛いわよ」
「「「はい! フレア様」」」
私は、皆さんの気迫でなすがままです。
「「「できました」」」
「そうね。妖精ではないけれど可愛いわ!!」
鏡の中の私は、前髪を適度に落として、耳の前に長い髪を下ろし後の髪は後ろに何やら可愛く纏められてリボンで結ばれました。
「ありがとうございます。とても可愛いと思いますが、街に行くのは……」
「はい! はい! 大丈夫ですからね。ミミはまだかしら?」
「ミミは外の馬車で待機して居ります」
セベルさんが答えています。私はセベルさんを見て首をフリフリ振りました。すると、ニッコリ笑顔で返してくださいました……セベルさん。
何だか、行かないと駄目みたいですね。はじめの一歩は怖いですが……心を決めて行きましょう!
私もいつまでも離宮に閉じこもっては要られませんしね。待ってくれているミミさんの馬車まで、皆様着いてきてくれました。本当に優しい方々です。
「フレア様、皆様行って参ります」
私は一大決心で言い切り馬車に乗り込みました。ミミさんが向かいに座り、御者のサニーさんが動きますと、伝えてくれた後、馬車は動き出しました。
皆様の声援が聞こえてきます。私も窓から身を乗り出し、行ってきまーすと手を振りました。
「レイファ様。身を乗り出すと危のうございます。キチンと座って下さい」
「はい。ごめんなさいミミさん」
「街は人が多い場所ですからね、私の側を離れてはいけませんよ」
「わかりました! くっつきます」
「適度に……」
「はい」
ミミさんは少し無表情な方ですが、とても優しいのです。猫さんがこの前、ミミさんがご飯くれるのよ。美味しいのって喜んでいましたからね!
鳥さんも、巣から落ちた雛さんをミミさんがキャッチして、高い木に駆け登り雛を元に戻してくれたのよ~っと感謝していましたし。御礼を私からでも言えれば良いのですが……
おかしな娘だと思われそうで言えないのです。その様な事を考えていたら、馬車が急に止まりました。
「どうかしたのでしょうか?」
「待ってください」
ミミさんは、窓を小さく開けて外の様子を伺っています。
「道の真ん中に馬が倒れています。その横には心配そうな青年がいます。多分旅の途中かと」
私は馬? 馬なら何か手助け出来るかも知れないと、外に出ようとしたらミミさんに止められて。
「出るのはやめておいた方がいいです。私達には出来る事はありませんから」
「ミミさんお願いします。大丈夫ですから」
説明できる事ではなかったので、ミミさんに伝わるか判らなかったけれども、お願いしてみました。
「わかりました」
ミミさんがスッと扉を開けてくれました。外に出ると声が聞こえて来ました。
「アルト! アルト! どうしたんだ? さっきまでは元気だったではないか? アルト」
男性がとても心配そうに馬さんに語りかけています。この道は少し細くて馬さんが横に寝転ぶと馬車は通る事が出来ません。
離宮への道だからそんなに頻繁に馬車も通りませんし、きっと離宮へ向かっていたのでしょう。あっ! そんな事よりも、馬さんが……
「大丈夫ですか。少し良いですか?」
私は馬さんの顔の近くに行って見ると、ゼイゼイと息が荒く苦しそうです。
馬さんどうしたのですか?
(じょうちゃんは、はなせるのか? わしは、あしのうえのうらが、いたくてな! たえれんのじゃ!)
見ても良いですか?
(みてくれると、たすかる! エドウィンになかれるのはかなわん!)
私は足の上? 太腿かしら? 覗いてみた。
「あなたエドウィンさんかしら?」
「えっ? 何故私の名を?」
「そんな事は良いですから、馬さんのここ見てください!」
エドウィンさんが私の手の指す方を覗くと。
「あっ腫れてる! これは?」
「これは多分蜂か何かに刺されたのだろう! 私は離宮に帰り荷馬車を持ってきます。お二人は大丈夫でしょうか?」
「サニー、レイファ様の事は大丈夫ですから、急がなければ。確か離宮に薬があったと思いますから、連れて行って薬を打たなければ死んでしまいます」
「お願いします! お二人の事は私が護ると約束致しますから」
「サニーさん早く!」
「わかりました。行って参ります」
「アルト! アルト! おい! おい!大丈夫だから治るからな、お前と俺は相棒だろうが……」
私が、サニーさんを見送っていたら、背後からエドウィンさんの叫び声が、振り返ると馬さんの身体がビクビクしてる!
「もしかしたら毒蜂かも知れません…」
隣でポツリとミミさんが、悲しそうに呟きました。
「ミミさん毒蜂だったら?」
「私の知る限りですが、毒が回り……」
「そんな……」
私が馬さんに近づいて行くと、エドウィンさんが。
「すまない! 君達は何か用事があって馬車に乗ってたんだろうに、私達の所為で行けなくなってしまったな」
私は、必死で馬さんの震える身体を宥めているエドウィンさんに、泣きそうになって……本当ならエドウィンさんが一番辛いのに、馬さんもさっきエドウィンさんには泣いて欲しく無いって!
2人の想い合う愛情が私の心に突き刺さる。私は、愛情なんて知らずに育って来て、愛情というものが判らなかった……
これが愛情なのかもしれない。危機迫ってもお互いを想い合う心。優しさを忘れない心。
私は身体が熱く熱くなって、掌が勝手に動きだした。馬さんの脚の腿辺りに掌が……掌からレッドゴールドのキラキラ光る霧みたいなものが出てきて、腿を中心に馬さんに降り注ぐ………
(じょうちゃんありがとうよ……)
私は馬さんの言葉を聞きながら、意識が遠くなっていった……
[エドウィン視点です]
アルトが、瀕死の状態だったのを助けてくれた女の子がいた。
黒髪の左右違う目が印象的な、神秘的雰囲気漂う女の子の掌から、レッドゴールドの霧状の物が出てきたんだ。
色と形は多少違うが、以前俺の友人も似た様なものを操っていたから、何となく理解できた。
アルトに倒れ込む様に倒れて行く女の子を俺は抱き留め、馬車の中に寝かせた。一緒に居たもう1人の女性が、ボー然としていたから、軽く声を掛けた。
「おい! 君! 大丈夫かい?」
「は、はい! 大丈夫ですが……」
「あー そうだね。さっきの事はできれば内緒にできるかな? 君と彼女がどんな関係か判らないが、彼女の事を心配する気持ちがあるなら、この事を広めないであげてくれ。この様な未知の力は、人を狂わせるからな、注意が必要なんだよ」
ぼんやりしていた女性の目が覚めて、しっかりした眼差しを、俺に返してきた。
もう大丈夫そうだな。こういう力には味方が居た方が楽だからな。
俺も変な後悔は、一度で充分だよ……
(エドウィンは《私も異世界で魔法を使えました!》に出て来ていた人です。
宜しければ是非ご覧下さい(^ ^))
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