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国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?
アンソニー王子の想い1(アンソニー)
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私はマーテェフェル国・第一王子アンソニー
私の国は閉鎖的で思考も偏っているのだが、皆はこれが当たり前だと思っているのだ。
かく言う私も、幼少の頃は不思議にも思わずに、教師達に偏った知識を植え付けられて、それが普通だと思っていた。
無知とは恐ろしい。
国王と王妃はこの国の在り方を変えようとされていた様だが、上位貴族達の力が強く、なかなか思う様にはいかなかった。
王宮内の力関係は、貴族達に支配されていたからだ。
貴族達は、裏で国の資源を他国に密輸し、それを資金に王宮、王族、国の政治を陰からずっと仕切っていたのだ。
代々の国王は幼き頃からの教師陣や周りの洗脳によって傀儡となっていた。
だが、父上には信頼のおける友が一人おり、閉鎖的な国が嫌で病弱と偽り、友を身代わりに内緒で、他国へと長期間居たのだと父上が言っていた。
マーテェフェルの貴族達は、王族を軽んじていた為、父上は気付かれる事無く内々に、他国の王族と親交を深める事ができたと言う事だ。
私自身、思考が偏っていると言う事を気付いていなかったのだが、10歳のある日勉強が嫌で、皆に内緒で王宮を抜け出した。
街に出て、賑やかな雰囲気を感じ我が国は何て平和で住み心地の良い場所なんだろうと、笑顔溢れる民衆達を見ながら歩いて居たのだが、何やら争う声が聞こえてきた。
女の子の声が聞こえ、私は声のする方へ駆け出した……そこには、幼いみすぼらしい格好の女の子が数人の大人達に、罵り蹴られていた。
止めに入ると、こいつは人間じゃないから、何してもいいんだよ等、よく判らない事を言い痛めつける事を続行しようとしたので、私はその子を抱き上げ走って逃げた。
軽かった……
傷だらけで震えているこの子を抱きしめ、大人達を振り切る為無我夢中で走っていると、涙が出そうになってきた。
私は次期王で、男だから泣くことはならないのに……
皆が不自由無く幸せだと思っていたんだ。こんなに小さな子供を容赦なく蹴るなど有り得ないことだ。
私は王宮近くの誰も知らない、秘密の場所に隠れた。
草に覆われたこの場所は、私しか知らない秘密の場所だから、誰も来ることはない。
震えている子供を草の上に寝かせた。
「大丈夫か」
「…………」
その子供と目が合った。瞳の色が左右違う……髪の色も珍しい。
身形は薄汚れているが、この子からは何か言い表せないものが感じれた。
普段王宮で見ている、ヘラヘラした人間とはちがう何かが。私はその子から目が離せなく、じっと見てしまっていた。綺麗な瞳に魅入られていた。
気付くとその子は、私が追いかける隙も無く素早く逃げていった。
後日、教師達から禁忌の色の事。それを纏う人間は、この国では人では無い事を教えられた。
周りのメイドや騎士達も、黒色は身に纏う事も使う事も駄目だと言うのだ。
その様な事が罷り通るこの国に住むあの子はどんなに苦しい思いをしているのだろう。
私は父上の元へ行き、この国を変えたい苦しんでいる子供が居るから助けたい事を訴えたのだが、父上からは今その子を保護してもこの国に居る限り逃げ場は無い。
お前がこの国を変えろ。と、言われて同年代数人と他国へと留学した。
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