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国中総てに虐げられてた私は未来の皇后?
アンソニー王子(レイファ)
しおりを挟む会場が近づいてくると、変な感じの雰囲気になって来ているのが、感じれます。
徐々に泣き声、叫び声が聞こえて来て、私は会場の人々の嘆きが、どうにもできない気持ちが感じとれて……胸が痛くて苦しくて自然と胸に手が……脚も震えて……
「どうかしたのか?顔色が悪いぞ」
レオン様が、私の異変に気が付いたみたいですが、これは隠さなければならない事だと、ルラック君も教えてくれたのでその通りにしなければ。
「泣き声や様々な声が聞こえます。皆様が心配で……」
「ああ…そろそろ着くぞ、気持ちを強く持てよ」
「皆、開けるぞ」
ヴァント殿下が騎士様に目配せされると、スッと大きな扉が開きました。
そこには……阿鼻叫喚の世界が。
綺麗に着飾ったであろう夫人が、なりふり構わずに血を吐き倒れている女の子に、声を掛けて身体を揺さぶっている。
数人の医師であろう者達が、患者である被害者達を診ている。
騎士達は被害者と、その他の人達を分けている。
会場は締め切っており、血の匂いが充満しているが、窓すら開けてはいないようだ。
私は、不思議に思い聞いてみた。
「レオン様、何故他の方達を開放されないのですか?」
「それは、多分騎士団長の判断だろう。この中に犯人がいてはまずいだろう、それに開放するには、リスクもあるからな。
今は、このまま待機だ。レイファ妹は、何処だ?」
私は、会場を見渡しました。見つけた!
「居ました。大きな鏡のある壁の下に女性が3人いますよね。ゴールドとシルバーの髪の双子です。隣のゴールドの髪の女性が義母です。お父様は近くには見当たりません」
「わかった。レイファはデイビーズ夫人と一緒に居なさい。あちらに居るから」
レオン様は、ヴァント殿下や騎士団長の方へ足早に向かいました。
私は妹達をもう一度見ました。遠目ですが、シルフィの様子が明らかにおかしい…この場の雰囲気に怯えている女の子、ということもあり得るのだが、顔色の変化と震えている様子が、ここまで激しいのはやはり、小鳥さん達の言う通り、毒を混入したのは、シルフィなのだろうか。
考えている私の肩に、暖かなかんしょくが。
(大丈夫?レイファ)
「ルラック君貴方達は大丈夫だったの?」
(ルラックは大丈夫だったけど、ソフィアが……即効性じゃあなさそうだから、すぐにってわけじゃあないけど、快毒薬をできるだけ早く飲まないと、ダメだって医者達が話してたよ)
「快毒薬……ラティラさんは」
(こっちだよ)
ルラック君の指示通り進むと、菫色の長い髪の女の子が横たわっていた。息が荒く苦しそうだ。横にはラティラさんが心配そうな眼差しで女の子の額の汗を拭っていた。
話しかけようとした時、扉を勢いよく開ける音と、凛とした良く響く男性の声が聞こえて来た。
「遅くなって済まない!私はマーテェフェル国、第一王子アンソニーだ。
解毒薬を持ってきた!急いで医師達、これを皆に飲ませてくれないか」
私は、扉の方を見た。
この場所は、被害を受けた方々の集められている場所なので、皆寝ているか座っている人達ばかりなので、立っている私には、扉の方向がよく見えた。
その人は、綺麗な朝日の様な輝く黄色の髪をして、瞳は澄んだ水の色だった。
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