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一章 量産型勇者の誕生
プロローグ 『始まりの勇者』
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この世界には、勇者という存在が無数に存在する。
百年前に現れた魔王を封印し、世界の英雄となった始まりの勇者。
誰もがそれに憧れ、自分もそうなりたいと願ったからだ。
だが、とある時、一人の人間がこう口にした。
『勇者の基準ってなに?』
そう、勇者と一般人の明確な区切りがなかったのだ。
始まりの勇者だって、一番最初から勇者と呼ばれていた訳ではなく、魔王を封印した事によって勇者と呼ばれるようになったのだ。
では、何故沢山の勇者が存在するのか。
答えは簡単だ。
基準も何もなく、多数の人間が勝手にそう名乗っているだけだからだ。
魔王が封印されて尚、魔王が産み出した魔獣は存在している。
主に勇者の役目は魔獣を狩り尽くす事だ。
後は特になく、人助けや用心棒といったところだろうか。
昔こそ勇者という存在は崇められ、英雄として称えられていたが、現代になっては然程の価値はなくっている。
それでも勇者と名乗る人間が後をたたないのは、やはり魔王を封印したという行動に対する憧れが強いからなのだろうか。
世界を救ったその事実に、誰もが見せられてしまったのだ。
では、本物の勇者は存在しないのか?
いや、最初の勇者は死ぬ間際にこう言葉を残した。
『いつか封印が解け、魔王が復活する時が必ず来る。俺はここで死ぬが、心配はない。何故なら、俺の力を受け継ぐ勇者が必ず現れるからだ』
五十年前に勃発した魔王と人間の戦争ーー魔人大戦に勝利した後、死にゆく勇者が友人に残した最後の言葉がそれだった。
という事は、今もどこかで本物の勇者は存在しているのかもしれない。
アスト王国の国王は血眼になって探したが、結局五十年の間本物の勇者は現れる事はなかった。
だが、そんな時、国王にある知らせが入った。
アスト王国の東の小さな村に、本物の勇者が居るという情報が。
しかし、こういった情報は今までも沢山あったのだ。
自分は勇者だと名乗り、金目当ての悪党が。
そんな事も沢山あったので、今回も国王はそれほど期待してはいなかった。
だから、王都騎士団のしたっぱを向かわせ、その事実を確かめる事にした。
ティアニーズ・アレイクドル。
それが東の村に向かった騎士の少女の名前だ。
腰まで伸びる桜色の髪に、十六歳という年齢ながらも瞳には強い意識が宿っている。
腰についている剣は父親から授かった物で、彼女の命と同等、もしくはそれ以上に大事にしていた。
そんな少女がその村に足を踏み入れた。
少女自身、国王直々の命令だから来たものの、本物の勇者に会えるなんて微塵も思ってはいなかった。
真面目な性格の彼女でなければ、断っていただろう。
しかし、まだティアニーズは知らない。
その村で出会う一人の青年との出会いが彼女自身、そして世界を変える一連の出来事の始まりになるとは。
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誰もがそれに憧れ、自分もそうなりたいと願ったからだ。
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そう、勇者と一般人の明確な区切りがなかったのだ。
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では、何故沢山の勇者が存在するのか。
答えは簡単だ。
基準も何もなく、多数の人間が勝手にそう名乗っているだけだからだ。
魔王が封印されて尚、魔王が産み出した魔獣は存在している。
主に勇者の役目は魔獣を狩り尽くす事だ。
後は特になく、人助けや用心棒といったところだろうか。
昔こそ勇者という存在は崇められ、英雄として称えられていたが、現代になっては然程の価値はなくっている。
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世界を救ったその事実に、誰もが見せられてしまったのだ。
では、本物の勇者は存在しないのか?
いや、最初の勇者は死ぬ間際にこう言葉を残した。
『いつか封印が解け、魔王が復活する時が必ず来る。俺はここで死ぬが、心配はない。何故なら、俺の力を受け継ぐ勇者が必ず現れるからだ』
五十年前に勃発した魔王と人間の戦争ーー魔人大戦に勝利した後、死にゆく勇者が友人に残した最後の言葉がそれだった。
という事は、今もどこかで本物の勇者は存在しているのかもしれない。
アスト王国の国王は血眼になって探したが、結局五十年の間本物の勇者は現れる事はなかった。
だが、そんな時、国王にある知らせが入った。
アスト王国の東の小さな村に、本物の勇者が居るという情報が。
しかし、こういった情報は今までも沢山あったのだ。
自分は勇者だと名乗り、金目当ての悪党が。
そんな事も沢山あったので、今回も国王はそれほど期待してはいなかった。
だから、王都騎士団のしたっぱを向かわせ、その事実を確かめる事にした。
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少女自身、国王直々の命令だから来たものの、本物の勇者に会えるなんて微塵も思ってはいなかった。
真面目な性格の彼女でなければ、断っていただろう。
しかし、まだティアニーズは知らない。
その村で出会う一人の青年との出会いが彼女自身、そして世界を変える一連の出来事の始まりになるとは。
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