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第14話 処刑人
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「それでどうしてクーデターを起こして革命政権がイアブーユ家を廃位に追い込んだの? 私も斬首刑か石打の刑になるのかしら?」
「イアブーユ家はイエイヌ族を戦奴として扱い過酷な戦場で何千人も死に追いやった。その代償は払ってもらう。だが、君は聖女として戦奴にも慈悲をかけてくれた。その恩には報いる」
「それは安心したわ。聖女なんて言われてるけど無限に使える薬草扱いで、寿命削ってまで回復の奇跡を使うことを王から強要されてたし」
「この世界は人権も無く、ネットも無ければテレビも無い。コーラもピザも無い地獄だ。俺が変えてみせる。君にも手伝ってほしい」
「ネットが必要なら漁師さんに借りれば良いじゃない。テレビって何?」
「ダリヤ、そういう意味のネットじゃないんだ。ここでいうネットというのは国際的な網という意味でアメリカがミサイル攻撃を受けた際の通信を確保するために──」
「ねえ、ジョン。あなたのことはもうシャジャルと呼ばないから私のこともダリヤと呼ばないで。その名は縁を切った父親が名付けた名だから嫌だわ。私は新しくダレンという名を修道院で貰ったから、そう呼んでね」
「わかった。これからはダレンと呼ぼう」
「そうそう、それで良いわ。あと正式に修道女になったからね。シスターの称号も頂いたわ」
「ワッザファック。ちょっと待ってくれ。なんでこの前修道院に入ったばかりの見習いなのにもう正式な修道女になれるんだ」
「貴族の娘は修道院長かその代理者の許可さえ有れば修道女になれるし、元々私は聖女で回復の奇跡使えたから修道女の資格があったの」
「修道女見習いならともかく修道女になったら結婚もできないんだぞ! 俺が君に結婚を申し込んだのを忘れたか!」
「そ、それは覚えてるのね。とにかく私は死霊教会の修道女になったからあなたとは結婚できないの、ごめんね」
「俺は故郷では十字教徒だが別に夫婦間で信教は自由にして良いと思ってる」
「そういう問題じゃなくて──。待って、あなた死霊教徒になるって言ったじゃない。十字教って何よ」
「簡単に説明すると十字とは救世主が人の原罪を背負って磔刑にかけられたことを象徴し──」
「異世界の邪教の話は良いから。私が信じるのは冥王様と死の天使様だけ」」
「おいおい、ジャパンの人は魔女の宴であるハロウィンを祝って仮装し、救世主の誕生日であるクリスマスをケンタッキーで祝って、新年に鐘を聞いたら女神アマテラスへ寄付しに行く自由と寛容な信仰心を持っているんだぞ」
「ジャパンは不思議な国ね。そういえばあなたが信じる救世主は磔刑になったのよね、私の一族も磔刑になったのかしら?」
「君の父親、アル・イアブーユ王は残念ながら我々の考えに賛同せず旧国軍の先頭に立って戦死した」
「そう。革命が起きたら死ぬのは国王の役目だから仕方ないわ」
「だが、君の兄と妹は生きてるぞ。会ってみるか?」
「私は一人っ子だけど。まあ、会ってみるわ」
地下牢獄へと案内された。
「お、お前は!」
そこには異母兄のアフダルがいた。
「あらー、お久しぶりですね。いつ以来だったかしら」
「ダリヤ。お前は何で捕まってないんだ」
「ふふっ、日頃の行いが良いからかしら。それと私はもう王女のダリヤではなく修道女のシスターダレンですから──」
「そうか、あいつだな。奴隷犬士の奴と仲が良かったからか。頼む、助けてくれ。子供の頃から遊んだ仲だろう?」
「あいつとは俺のことか。アフダル王子」
シャジャル改めジョンが兄のアフダルに話しかける。そこには王族への敬意はもう無い。
「お前! さっさと俺をここから出せ! 奴隷犬士の分際で! おい! ダリヤ! そいつにこの牢屋の扉を開けるように命令しろ! お前の犬だろ!」
「アスホール野郎だな。アフダル、お前何か勘違いしてるんじゃないか」
「そうよ、私はダリヤではなくシスターダレンだから」
「違う、そこじゃない。もうお前を甘やかしてくれる部下は全員死んだぞ。ミスバーフ、ハーリド、マルワーン、サッダーム。みんな死んだ。アル・イアブーユ王も死んだ。イアブーユ家とそれに忠誠を誓う貴族連中は皆殺しだ。イエイヌ族のみんなで決めた」
「わ、わかった。シャジャル、君の言うとおりにする。ひ、一つだけ、一つだけわからないことがある。教えてくれ」
「なんだ? 王族に対する死刑のやり方か? この世界では斬首刑のようだが野蛮だから絞首刑を命じている。あと、俺のことをファックな名前で呼ぶな。俺はジョンだ」
「わかった、ジョン。そこに俺の妹がいるだろ。なぜ妹は自由に牢の外を動き回っているんだ? イアブーユ家は皆殺しなんだろ?」
「ああ、彼女と俺は結婚するつもりなんだ。妻の兄を殺すのはいくらそれがアスホール野郎でも気がひけてな。今日までお前を生かしといてやったんだ」
「私は修道女になったから結婚できないって言ってるでしょ。それに兄と言っても半分しか血が繋がっていないし、子供の頃から目が見えないことをからかわれていじわるされて、この間は乱暴されそうになったし」
「……というわけでお前を生かす必要はまったくなくなったな」
ガチャンッ。スラッ。
ジョンは牢の扉を開き曲刀を鞘から抜いたようだ。
「ま、待て、やめろ。女に振られたからって短気を起こすのは──!」
ズバッ。ビチャッ。
「ちょっと、こっちまで血が飛んで来たんだけど。あなた、斬首刑は野蛮とかさっき言ってなかった? 裁判もなしに首をはねるなんて文明人のやること?」
「こんな野蛮な奴にはふさわしい最期だ。俺の故郷では街中で女を襲ってる奴を見つけたらガンで撃ち殺して良いことになってる。ガン社会だからな」
彼が住んでいた異世界はこちらとあまり変わらないらしい。
「イアブーユ家はイエイヌ族を戦奴として扱い過酷な戦場で何千人も死に追いやった。その代償は払ってもらう。だが、君は聖女として戦奴にも慈悲をかけてくれた。その恩には報いる」
「それは安心したわ。聖女なんて言われてるけど無限に使える薬草扱いで、寿命削ってまで回復の奇跡を使うことを王から強要されてたし」
「この世界は人権も無く、ネットも無ければテレビも無い。コーラもピザも無い地獄だ。俺が変えてみせる。君にも手伝ってほしい」
「ネットが必要なら漁師さんに借りれば良いじゃない。テレビって何?」
「ダリヤ、そういう意味のネットじゃないんだ。ここでいうネットというのは国際的な網という意味でアメリカがミサイル攻撃を受けた際の通信を確保するために──」
「ねえ、ジョン。あなたのことはもうシャジャルと呼ばないから私のこともダリヤと呼ばないで。その名は縁を切った父親が名付けた名だから嫌だわ。私は新しくダレンという名を修道院で貰ったから、そう呼んでね」
「わかった。これからはダレンと呼ぼう」
「そうそう、それで良いわ。あと正式に修道女になったからね。シスターの称号も頂いたわ」
「ワッザファック。ちょっと待ってくれ。なんでこの前修道院に入ったばかりの見習いなのにもう正式な修道女になれるんだ」
「貴族の娘は修道院長かその代理者の許可さえ有れば修道女になれるし、元々私は聖女で回復の奇跡使えたから修道女の資格があったの」
「修道女見習いならともかく修道女になったら結婚もできないんだぞ! 俺が君に結婚を申し込んだのを忘れたか!」
「そ、それは覚えてるのね。とにかく私は死霊教会の修道女になったからあなたとは結婚できないの、ごめんね」
「俺は故郷では十字教徒だが別に夫婦間で信教は自由にして良いと思ってる」
「そういう問題じゃなくて──。待って、あなた死霊教徒になるって言ったじゃない。十字教って何よ」
「簡単に説明すると十字とは救世主が人の原罪を背負って磔刑にかけられたことを象徴し──」
「異世界の邪教の話は良いから。私が信じるのは冥王様と死の天使様だけ」」
「おいおい、ジャパンの人は魔女の宴であるハロウィンを祝って仮装し、救世主の誕生日であるクリスマスをケンタッキーで祝って、新年に鐘を聞いたら女神アマテラスへ寄付しに行く自由と寛容な信仰心を持っているんだぞ」
「ジャパンは不思議な国ね。そういえばあなたが信じる救世主は磔刑になったのよね、私の一族も磔刑になったのかしら?」
「君の父親、アル・イアブーユ王は残念ながら我々の考えに賛同せず旧国軍の先頭に立って戦死した」
「そう。革命が起きたら死ぬのは国王の役目だから仕方ないわ」
「だが、君の兄と妹は生きてるぞ。会ってみるか?」
「私は一人っ子だけど。まあ、会ってみるわ」
地下牢獄へと案内された。
「お、お前は!」
そこには異母兄のアフダルがいた。
「あらー、お久しぶりですね。いつ以来だったかしら」
「ダリヤ。お前は何で捕まってないんだ」
「ふふっ、日頃の行いが良いからかしら。それと私はもう王女のダリヤではなく修道女のシスターダレンですから──」
「そうか、あいつだな。奴隷犬士の奴と仲が良かったからか。頼む、助けてくれ。子供の頃から遊んだ仲だろう?」
「あいつとは俺のことか。アフダル王子」
シャジャル改めジョンが兄のアフダルに話しかける。そこには王族への敬意はもう無い。
「お前! さっさと俺をここから出せ! 奴隷犬士の分際で! おい! ダリヤ! そいつにこの牢屋の扉を開けるように命令しろ! お前の犬だろ!」
「アスホール野郎だな。アフダル、お前何か勘違いしてるんじゃないか」
「そうよ、私はダリヤではなくシスターダレンだから」
「違う、そこじゃない。もうお前を甘やかしてくれる部下は全員死んだぞ。ミスバーフ、ハーリド、マルワーン、サッダーム。みんな死んだ。アル・イアブーユ王も死んだ。イアブーユ家とそれに忠誠を誓う貴族連中は皆殺しだ。イエイヌ族のみんなで決めた」
「わ、わかった。シャジャル、君の言うとおりにする。ひ、一つだけ、一つだけわからないことがある。教えてくれ」
「なんだ? 王族に対する死刑のやり方か? この世界では斬首刑のようだが野蛮だから絞首刑を命じている。あと、俺のことをファックな名前で呼ぶな。俺はジョンだ」
「わかった、ジョン。そこに俺の妹がいるだろ。なぜ妹は自由に牢の外を動き回っているんだ? イアブーユ家は皆殺しなんだろ?」
「ああ、彼女と俺は結婚するつもりなんだ。妻の兄を殺すのはいくらそれがアスホール野郎でも気がひけてな。今日までお前を生かしといてやったんだ」
「私は修道女になったから結婚できないって言ってるでしょ。それに兄と言っても半分しか血が繋がっていないし、子供の頃から目が見えないことをからかわれていじわるされて、この間は乱暴されそうになったし」
「……というわけでお前を生かす必要はまったくなくなったな」
ガチャンッ。スラッ。
ジョンは牢の扉を開き曲刀を鞘から抜いたようだ。
「ま、待て、やめろ。女に振られたからって短気を起こすのは──!」
ズバッ。ビチャッ。
「ちょっと、こっちまで血が飛んで来たんだけど。あなた、斬首刑は野蛮とかさっき言ってなかった? 裁判もなしに首をはねるなんて文明人のやること?」
「こんな野蛮な奴にはふさわしい最期だ。俺の故郷では街中で女を襲ってる奴を見つけたらガンで撃ち殺して良いことになってる。ガン社会だからな」
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