【完結】婚活アドバイザーが異世界で結婚相談所を開いたらこじらせハイスペ王子たちがご来店されました〜絶対にご成婚していただきますっ!〜

たかつじ楓@書籍発売中

文字の大きさ
7 / 84
第一章 異世界で結婚相談所?

アドバイスがうまくいく?

しおりを挟む
*   *   *



「初めまして、ハリーと申します。緊張しますね」

「ローザよ。……そ、そうね」


 カフェの窓際の席。ワンピース姿のローザと、スーツ姿のハリーは向かい合って座っていた。

 二人とも、初対面のため表情は固い。


 冒険者ゆえ、普段男性と話す機会も多いというのに、意識すると急に気恥ずかしく、ローザはメニュー表に視線を落としながら何を話そうか悩んでいた。


「ローザさんがケーキがお好きだと聞いていたので。
 このカフェはチョコレートケーキが美味しいんです。良かったらどうですか」


「じゃあ、同じやつで」


 ハリーの言葉に同調する。


 (そう、ローザさんはケーキが大好物。
 良いわ、ハリーさん!)


 アリサは心の中で賞賛を送った。

 実は、うまくいくかとても心配だったアリサは、二人のデートの様子を自分の目で確かめようと、少し前にカフェに来ていたのだ。


 二人の声が聞こえるよう、背中合わせの後ろの席で、魔法使いのようなローブをかぶって顔を誤魔化している。


 ソワソワしながら紅茶を飲んでいて挙動不審だが、緊張している二人は気がつかないのだろう。


 注文すると、すぐに店員から紅茶とケーキが運ばれてきた。


 フォークを手に持ち、チョコレートケーキを口に運ぶ。甘すぎないチョコの風味に、ローザが少し口角を上げる。


「ローザさんみたいなお綺麗な方が、僕みたいな地味な僧侶と会ってくださるなんて思いませんでした。
 もし良かったら、今日来てくださったお礼に、これを……」


 紅茶を一口飲んだハリーは、器を置くと、ラッピングされた小さなプレゼントをローザに手渡した。


 フォークを置きそれを開けると、中にはハンドクリームが入っていた。
 この町では有名なコスメ店で人気の商品だ。


「ハンドクリーム?」

(そう! 初対面のデート時に、あまり高価ではないプレゼントを渡すと、女性は喜ぶって伝えたの、実践してくれたのね!
 消耗品やお菓子が良いって言ったアドバイスも、ハンドグリームならピッタリね)


「ええ。よく教会に回復に来る魔法使いの方は、手先が荒れている事が多いので。
 恥ずかしながら、大きな怪我は治せても、些細な肌荒れは僕には治せないんです」


 ハリーの穏やかな言葉に、ローザは恥ずかしそうに自分の荒れた指先を隠した。


(あら、手荒れの指摘なんて、彼女に失礼じゃないかしら……?)


 コンプレックスの指摘は、一番してはいけないことだ。好感度が一気に下がってしまう可能性もある。


 しかし、ハリーは重ねて告げる。


「ああ、ごめんなさい。
 嫌味で言ったわけではなくて……。
 それは、自分の仕事に誇りを持ち、さまざまな魔法で魔物を倒し、仲間を助けている証ですから」


 恥ずべきことではない、とても気高く誇らしいことなのだと、ハリーは語る。


「尊敬しておりますよ。
 ローザさんに気に入ってもらえるといいな」
 

 優しく微笑むハリーに、頬を紅らめるローザ。

 今もらったばかりのハンドクリームの蓋を開けると、そっと自分の細い指に塗る。
 心が落ち着く香りが、風に乗って舞う。


「いい香り。ハーブ、好きなの。
 ……ありがとう」


「良かった! ネイルも、素敵な色ですね」


 微笑み合い、二人の間には温かく穏やかな時間が流れた。


(ふふ……この二人なら、問題ないみたいね)


 アリサはこれ以上の盗み聞きはやめようと、そっと席を立った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉

狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。 「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。 フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。 対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。 「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」 聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。 「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」 そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。 イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。 ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼ そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ! イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。 しかし……。 「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」 そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

枯れ専モブ令嬢のはずが…どうしてこうなった!

宵森みなと
恋愛
気づけば異世界。しかもモブ美少女な伯爵令嬢に転生していたわたくし。 静かに余生——いえ、学園生活を送る予定でしたのに、魔法暴発事件で隠していた全属性持ちがバレてしまい、なぜか王子に目をつけられ、魔法師団から訓練指導、さらには騎士団長にも出会ってしまうという急展開。 ……団長様方、どうしてそんなに推せるお顔をしていらっしゃるのですか? 枯れ専なわたくしの理性がもちません——と思いつつ、学園生活を謳歌しつつ魔法の訓練や騎士団での治療の手助けと 忙しい日々。残念ながらお子様には興味がありませんとヒロイン(自称)の取り巻きへの塩対応に、怒らせると意外に強烈パンチの言葉を話すモブ令嬢(自称) これは、恋と使命のはざまで悩む“ちんまり美少女令嬢”が、騎士団と王都を巻き込みながら心を育てていく、 ――枯れ専ヒロインのほんわか異世界成長ラブファンタジーです。

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

処理中です...