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第一章 異世界で結婚相談所?
アドバイスがうまくいく?
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* * *
「初めまして、ハリーと申します。緊張しますね」
「ローザよ。……そ、そうね」
カフェの窓際の席。ワンピース姿のローザと、スーツ姿のハリーは向かい合って座っていた。
二人とも、初対面のため表情は固い。
冒険者ゆえ、普段男性と話す機会も多いというのに、意識すると急に気恥ずかしく、ローザはメニュー表に視線を落としながら何を話そうか悩んでいた。
「ローザさんがケーキがお好きだと聞いていたので。
このカフェはチョコレートケーキが美味しいんです。良かったらどうですか」
「じゃあ、同じやつで」
ハリーの言葉に同調する。
(そう、ローザさんはケーキが大好物。
良いわ、ハリーさん!)
アリサは心の中で賞賛を送った。
実は、うまくいくかとても心配だったアリサは、二人のデートの様子を自分の目で確かめようと、少し前にカフェに来ていたのだ。
二人の声が聞こえるよう、背中合わせの後ろの席で、魔法使いのようなローブをかぶって顔を誤魔化している。
ソワソワしながら紅茶を飲んでいて挙動不審だが、緊張している二人は気がつかないのだろう。
注文すると、すぐに店員から紅茶とケーキが運ばれてきた。
フォークを手に持ち、チョコレートケーキを口に運ぶ。甘すぎないチョコの風味に、ローザが少し口角を上げる。
「ローザさんみたいなお綺麗な方が、僕みたいな地味な僧侶と会ってくださるなんて思いませんでした。
もし良かったら、今日来てくださったお礼に、これを……」
紅茶を一口飲んだハリーは、器を置くと、ラッピングされた小さなプレゼントをローザに手渡した。
フォークを置きそれを開けると、中にはハンドクリームが入っていた。
この町では有名なコスメ店で人気の商品だ。
「ハンドクリーム?」
(そう! 初対面のデート時に、あまり高価ではないプレゼントを渡すと、女性は喜ぶって伝えたの、実践してくれたのね!
消耗品やお菓子が良いって言ったアドバイスも、ハンドグリームならピッタリね)
「ええ。よく教会に回復に来る魔法使いの方は、手先が荒れている事が多いので。
恥ずかしながら、大きな怪我は治せても、些細な肌荒れは僕には治せないんです」
ハリーの穏やかな言葉に、ローザは恥ずかしそうに自分の荒れた指先を隠した。
(あら、手荒れの指摘なんて、彼女に失礼じゃないかしら……?)
コンプレックスの指摘は、一番してはいけないことだ。好感度が一気に下がってしまう可能性もある。
しかし、ハリーは重ねて告げる。
「ああ、ごめんなさい。
嫌味で言ったわけではなくて……。
それは、自分の仕事に誇りを持ち、さまざまな魔法で魔物を倒し、仲間を助けている証ですから」
恥ずべきことではない、とても気高く誇らしいことなのだと、ハリーは語る。
「尊敬しておりますよ。
ローザさんに気に入ってもらえるといいな」
優しく微笑むハリーに、頬を紅らめるローザ。
今もらったばかりのハンドクリームの蓋を開けると、そっと自分の細い指に塗る。
心が落ち着く香りが、風に乗って舞う。
「いい香り。ハーブ、好きなの。
……ありがとう」
「良かった! ネイルも、素敵な色ですね」
微笑み合い、二人の間には温かく穏やかな時間が流れた。
(ふふ……この二人なら、問題ないみたいね)
アリサはこれ以上の盗み聞きはやめようと、そっと席を立った。
「初めまして、ハリーと申します。緊張しますね」
「ローザよ。……そ、そうね」
カフェの窓際の席。ワンピース姿のローザと、スーツ姿のハリーは向かい合って座っていた。
二人とも、初対面のため表情は固い。
冒険者ゆえ、普段男性と話す機会も多いというのに、意識すると急に気恥ずかしく、ローザはメニュー表に視線を落としながら何を話そうか悩んでいた。
「ローザさんがケーキがお好きだと聞いていたので。
このカフェはチョコレートケーキが美味しいんです。良かったらどうですか」
「じゃあ、同じやつで」
ハリーの言葉に同調する。
(そう、ローザさんはケーキが大好物。
良いわ、ハリーさん!)
アリサは心の中で賞賛を送った。
実は、うまくいくかとても心配だったアリサは、二人のデートの様子を自分の目で確かめようと、少し前にカフェに来ていたのだ。
二人の声が聞こえるよう、背中合わせの後ろの席で、魔法使いのようなローブをかぶって顔を誤魔化している。
ソワソワしながら紅茶を飲んでいて挙動不審だが、緊張している二人は気がつかないのだろう。
注文すると、すぐに店員から紅茶とケーキが運ばれてきた。
フォークを手に持ち、チョコレートケーキを口に運ぶ。甘すぎないチョコの風味に、ローザが少し口角を上げる。
「ローザさんみたいなお綺麗な方が、僕みたいな地味な僧侶と会ってくださるなんて思いませんでした。
もし良かったら、今日来てくださったお礼に、これを……」
紅茶を一口飲んだハリーは、器を置くと、ラッピングされた小さなプレゼントをローザに手渡した。
フォークを置きそれを開けると、中にはハンドクリームが入っていた。
この町では有名なコスメ店で人気の商品だ。
「ハンドクリーム?」
(そう! 初対面のデート時に、あまり高価ではないプレゼントを渡すと、女性は喜ぶって伝えたの、実践してくれたのね!
消耗品やお菓子が良いって言ったアドバイスも、ハンドグリームならピッタリね)
「ええ。よく教会に回復に来る魔法使いの方は、手先が荒れている事が多いので。
恥ずかしながら、大きな怪我は治せても、些細な肌荒れは僕には治せないんです」
ハリーの穏やかな言葉に、ローザは恥ずかしそうに自分の荒れた指先を隠した。
(あら、手荒れの指摘なんて、彼女に失礼じゃないかしら……?)
コンプレックスの指摘は、一番してはいけないことだ。好感度が一気に下がってしまう可能性もある。
しかし、ハリーは重ねて告げる。
「ああ、ごめんなさい。
嫌味で言ったわけではなくて……。
それは、自分の仕事に誇りを持ち、さまざまな魔法で魔物を倒し、仲間を助けている証ですから」
恥ずべきことではない、とても気高く誇らしいことなのだと、ハリーは語る。
「尊敬しておりますよ。
ローザさんに気に入ってもらえるといいな」
優しく微笑むハリーに、頬を紅らめるローザ。
今もらったばかりのハンドクリームの蓋を開けると、そっと自分の細い指に塗る。
心が落ち着く香りが、風に乗って舞う。
「いい香り。ハーブ、好きなの。
……ありがとう」
「良かった! ネイルも、素敵な色ですね」
微笑み合い、二人の間には温かく穏やかな時間が流れた。
(ふふ……この二人なら、問題ないみたいね)
アリサはこれ以上の盗み聞きはやめようと、そっと席を立った。
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