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第3章 婚活エグゼクティブパーティー
パーティー開始!
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* * *
そしてエグゼクティブパーティ当日。
クレイのコネのおかげですんなりとホテルのパーティーフロアを借りることができ、ケビンの人脈のおかげで経営者や高収入な男性も集めることができた。
アリサが女性会員を集めるため、街中でチラシ配りや宣伝活動を行う。
「ハイスペックな男性と出会える、エグゼクティブパーティはいかがですかー!」
商店街の店員や、冒険者の女性たちは、そのアリサの声掛けに足を止める。
「セントラルホテルでパーティ?
まるでおとぎ話のお姫様みたいなシチュエーションじゃない!」
「会費は少し高いけど……普段はガサツな冒険者の男子ぐらいしか出会いがないし、経営者や貴族も来るかもしれないなんて、最高じゃない!」
会費が高いのが難点かと思ったが、異世界では斬新な出会いの場だと驚かれ、女性もすぐに満員御礼となった。
開催時間となり、ホテルのフロアには着飾った男女が集まっている。
エグゼクティブパーティは大抵仕事終わりの夜に行われる。仲が良くなれば、そのまま二人でロマンティックな夜にデートができるためだ。
「思ったより人数が多いな……」
緊張した様子のケビンが、黒いスーツ姿であたりを見回している。
女性、男性共に二十人超集まったので、なかなかの人数だ。
「何か問題がございましたら、このクレイをすぐに呼んでくださいね」
「子供じゃあるまいし、お前は過保護すぎる」
側近のクレイがルビオに耳打ちしている。
二人とも、パーティ用に身だしなみを整えている。
「では、ルビオ王子、クレイさん、ケビンさん。
頑張ってくくださいね!
私は司会してますので、楽しんで!」
三人に声をかけ、送り出す。
シャンデリアのついた明るい照明に、清潔な白いクロスがかかった丸テーブルには、シャンパンやワインなどの注がれたグラスが並べてある。
パテが塗られたバゲットや、チーズなど、酒に合うか軽食も添えられている。
アリサが指示したように、エグゼクティブパーティは順当に準備されているようだ。
開催時刻になった。
司会者として、アリサは会場の中心に立ち、声を上げる。
「皆様、本日はエグゼクティブ婚活パーティにお集まりいただき、ありがとうございます。
司会をさせていただいます、アリサと申します!」
自己紹介をすると、拍手が巻き起こる。
会釈をして、話を続ける。
「それでは、今からパーティの九十分間、異性との会話をお楽しみくださいませ。
飲み物やお食事はご自由にお取りください。
立食ですが、ソファやテーブルなども使ってくださいね」
全員が驚き、顔を見合わせている。
「ここにある食べ物も飲み物も、自由に取っていいの?」
「ええ、一流ホテルのドリンクやオードブルです、ぜひ楽しんでくださいね」
おおー、と参加者たちから声が上がる。
「みなさん今日は素敵な出会いの場です。
緊張していたら勿体無い。
ぜひ、気になった異性の方に、『よかったらお話ししませんか?』と話しかけてくださいね。
緊張して喉が渇いても、ドリンクは何杯でも飲んでいいので大丈夫です!」
アリサの小粋な冗談に、会場から笑い声が上がる。
(よし、場も温かくなってきたわね)
アリサが合図をすると、ウェイターが参加者全員にドリンクを配る。
「では今宵の素敵な出会いを祝して、乾杯!」
「乾杯!」
その乾杯の合図にて、パーティが始まった。
上品なワンピースを着て、髪も巻いたりアップにし、輝くアクセサリーを身につけた女性たち。
「やあ、どこから来たの?
よかったら一緒に乾杯しないかい?」
積極的な男性参加者が、早速気になった女性に話しかけに行っている。
「私、こういう場所初めてで……。あなたは?」
違う女性は、恥ずかしそうに男性に話しかけているが、出会いの場は初めてだといことをサラっと伝えて純粋な自分をアピールしている。なかなかの熟練の技だ。
着飾った初対面の男女たちは、最初はぎこちない雰囲気だったが、少しずつお酒の力もあってか打ち解け出し、場も温まってきた。
さて、参加しているルビオ、クレイ、ケビンの三人はどうだろうと、アリサが広い会場フロアを見回して、絶句した。
立食パーティだというのに、誰一人自分から女性参加者に話しかけに行っていない。
(どうして女性に話しに行かないの?
あーもう、じれったい!)
ルビオ王子は、ソファに座り不服そうに腕を組んでいる。
楽しく会話をしている男女を横目で見ては、神経質そうな眉をひそめて、シャンパンのグラスに口をつけている。
(偉そうで、女性から話しかけづらいわ!)
気遣い屋のクレイは、王子側近の職業病なのだろうか。
忙しそうなウェイターを手伝い、参加者だというのに飲み物や食器を運んでいる。
(ここはあなたが主役なんだから、食器運ばなくていいのよ!)
ケビンは、女性に自分から話しかけることができず、壁にもたれてワインを一人で飲んでいるだけ。
気心の知れた男友達とばかり冒険をしていたため、男友達からの人望は厚いが、そのせいで女性には奥手なのだろうか。
(男性が壁の花になっちゃ駄目でしょー!)
心の叫びは、三人には届かない。
ソファに一人座るルビオ、あくせく働くクレイ、壁の影にたたずむケビンは、完璧にパーティの趣旨に反して浮いてしまっている。
司会のアリサが目で、女性に話しかけるように合図するが、三人とも気がつかない。
(開始から早くも三十分。
本当はあまり司会が私情を挟んじゃ駄目だけど、このままじゃ何もしないまま時間が過ぎて九十分のパーティが終わっちゃう。
女性たちに少しお願いしよう)
司会はあくまでも公平な立場でいなければいけないので、誰かに肩入れするのは御法度だが。
せっかくエグゼクティブパーティを開くきっかけになり、共に服を買いに行った三人はうまくいって欲しいと思い、サポートすることにした。
そしてエグゼクティブパーティ当日。
クレイのコネのおかげですんなりとホテルのパーティーフロアを借りることができ、ケビンの人脈のおかげで経営者や高収入な男性も集めることができた。
アリサが女性会員を集めるため、街中でチラシ配りや宣伝活動を行う。
「ハイスペックな男性と出会える、エグゼクティブパーティはいかがですかー!」
商店街の店員や、冒険者の女性たちは、そのアリサの声掛けに足を止める。
「セントラルホテルでパーティ?
まるでおとぎ話のお姫様みたいなシチュエーションじゃない!」
「会費は少し高いけど……普段はガサツな冒険者の男子ぐらいしか出会いがないし、経営者や貴族も来るかもしれないなんて、最高じゃない!」
会費が高いのが難点かと思ったが、異世界では斬新な出会いの場だと驚かれ、女性もすぐに満員御礼となった。
開催時間となり、ホテルのフロアには着飾った男女が集まっている。
エグゼクティブパーティは大抵仕事終わりの夜に行われる。仲が良くなれば、そのまま二人でロマンティックな夜にデートができるためだ。
「思ったより人数が多いな……」
緊張した様子のケビンが、黒いスーツ姿であたりを見回している。
女性、男性共に二十人超集まったので、なかなかの人数だ。
「何か問題がございましたら、このクレイをすぐに呼んでくださいね」
「子供じゃあるまいし、お前は過保護すぎる」
側近のクレイがルビオに耳打ちしている。
二人とも、パーティ用に身だしなみを整えている。
「では、ルビオ王子、クレイさん、ケビンさん。
頑張ってくくださいね!
私は司会してますので、楽しんで!」
三人に声をかけ、送り出す。
シャンデリアのついた明るい照明に、清潔な白いクロスがかかった丸テーブルには、シャンパンやワインなどの注がれたグラスが並べてある。
パテが塗られたバゲットや、チーズなど、酒に合うか軽食も添えられている。
アリサが指示したように、エグゼクティブパーティは順当に準備されているようだ。
開催時刻になった。
司会者として、アリサは会場の中心に立ち、声を上げる。
「皆様、本日はエグゼクティブ婚活パーティにお集まりいただき、ありがとうございます。
司会をさせていただいます、アリサと申します!」
自己紹介をすると、拍手が巻き起こる。
会釈をして、話を続ける。
「それでは、今からパーティの九十分間、異性との会話をお楽しみくださいませ。
飲み物やお食事はご自由にお取りください。
立食ですが、ソファやテーブルなども使ってくださいね」
全員が驚き、顔を見合わせている。
「ここにある食べ物も飲み物も、自由に取っていいの?」
「ええ、一流ホテルのドリンクやオードブルです、ぜひ楽しんでくださいね」
おおー、と参加者たちから声が上がる。
「みなさん今日は素敵な出会いの場です。
緊張していたら勿体無い。
ぜひ、気になった異性の方に、『よかったらお話ししませんか?』と話しかけてくださいね。
緊張して喉が渇いても、ドリンクは何杯でも飲んでいいので大丈夫です!」
アリサの小粋な冗談に、会場から笑い声が上がる。
(よし、場も温かくなってきたわね)
アリサが合図をすると、ウェイターが参加者全員にドリンクを配る。
「では今宵の素敵な出会いを祝して、乾杯!」
「乾杯!」
その乾杯の合図にて、パーティが始まった。
上品なワンピースを着て、髪も巻いたりアップにし、輝くアクセサリーを身につけた女性たち。
「やあ、どこから来たの?
よかったら一緒に乾杯しないかい?」
積極的な男性参加者が、早速気になった女性に話しかけに行っている。
「私、こういう場所初めてで……。あなたは?」
違う女性は、恥ずかしそうに男性に話しかけているが、出会いの場は初めてだといことをサラっと伝えて純粋な自分をアピールしている。なかなかの熟練の技だ。
着飾った初対面の男女たちは、最初はぎこちない雰囲気だったが、少しずつお酒の力もあってか打ち解け出し、場も温まってきた。
さて、参加しているルビオ、クレイ、ケビンの三人はどうだろうと、アリサが広い会場フロアを見回して、絶句した。
立食パーティだというのに、誰一人自分から女性参加者に話しかけに行っていない。
(どうして女性に話しに行かないの?
あーもう、じれったい!)
ルビオ王子は、ソファに座り不服そうに腕を組んでいる。
楽しく会話をしている男女を横目で見ては、神経質そうな眉をひそめて、シャンパンのグラスに口をつけている。
(偉そうで、女性から話しかけづらいわ!)
気遣い屋のクレイは、王子側近の職業病なのだろうか。
忙しそうなウェイターを手伝い、参加者だというのに飲み物や食器を運んでいる。
(ここはあなたが主役なんだから、食器運ばなくていいのよ!)
ケビンは、女性に自分から話しかけることができず、壁にもたれてワインを一人で飲んでいるだけ。
気心の知れた男友達とばかり冒険をしていたため、男友達からの人望は厚いが、そのせいで女性には奥手なのだろうか。
(男性が壁の花になっちゃ駄目でしょー!)
心の叫びは、三人には届かない。
ソファに一人座るルビオ、あくせく働くクレイ、壁の影にたたずむケビンは、完璧にパーティの趣旨に反して浮いてしまっている。
司会のアリサが目で、女性に話しかけるように合図するが、三人とも気がつかない。
(開始から早くも三十分。
本当はあまり司会が私情を挟んじゃ駄目だけど、このままじゃ何もしないまま時間が過ぎて九十分のパーティが終わっちゃう。
女性たちに少しお願いしよう)
司会はあくまでも公平な立場でいなければいけないので、誰かに肩入れするのは御法度だが。
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